公開日 2021/05/20 06:40
ノイズ対策の新常識:電源の取り方ひとつで再生音は大きく変化! デジタルとアナログ機器の分離は必須
【短期集中連載(2)】周辺環境にも目を配ろう
前回の記事では、電源や電磁波の高周波からノイズはやってきて、オーディオの音に悪い影響を与えるということを整理した。それでは、そのノイズをどう対策していくか。今回は3つの具体的な例を挙げて、対策のやり方やその意味を紹介してみよう。
■アンプとデジタル機器の電源コンセントを分ける
たとえばCDプレーヤーやUSB-DACといったデジタル機器。これらの電源ケーブルとアンプ(アナログ機器)の電源ケーブルが同じコンセントに挿してある場合、挿してある場所を分けてみよう。デジタル機器が発生させる高周波のノイズが電源ケーブルを通してアンプに影響を与えるからだ。
部屋の中にいくつか壁コンセント設置されているならば、たとえばCDプレーヤーを右にある壁コンセント。アンプを左に壁コンセントに挿すといったように分けてみよう。
あるいは壁コンセントとアンプやCDプレーヤーの間に電源タップを介して電気を取っているのであれば、その電源タップをふたつにしてみよう。
また、6口(または4口)の電源タップの場合、2口の壁コンセントが3つ(または2つ)組み合わされている場合もある。こういう場合、違うコンセントから電源を取るようにしても良い。単純に離れている口に挿す、という言い方をしてもいい。
以上のいずれかを行ってその前後の再生音を比較すれば、音の混濁が減っているはず。これは何をやっているのかというと、CDプレーヤーやUSB-DACの場合、デジタルの高周波ノイズが電源ケーブルを通して還流してしまう。そのため、アンプの電源を取っている場所との物理的な〈距離〉を離すことによって影響度を下げようという考え方だ。
壁コンセントの電気は交流の100Vで、50/60Hzのサイン波の形をしている。ここに高周波ノイズが乗っている。ただし、100Vの電圧に対して、ノイズの電圧はかなり低い。それでも再生音に影響があるのだが。しかし、〈距離〉を取ることによってノイズの電圧が下がっていく=影響が減少していく、という考え方だ。
■部屋の照明のLEDを白熱電球に交換する
音楽を聴いている部屋の照明器具がもしLEDであるのなら、白熱電球に交換してみよう。電気の使用量が多くなるので環境問題的にはマイナスだが、再生音の向上にとってはきちんとした効果のあるやり方だ。たとえば音の背景が静かになったり、高域の歪みっぽさが減少する。
そもそもLED照明の作動原理にノイズの原因がある。LEDは発光ダイオードで極性があり、直流を流す必要がある。AC100Vを直流に変換したり電圧を調節する回路はPWM(Pulse Width Modulation/パルス幅変調)を使っていて、これには数百Hzほどの周波数が使われている。この周波数自体もノイズだが、その高調波(倍音)の領域のノイズも発生している。これは電磁波としても空中に出るが、電源にも還流することになる。
ちなみに医療現場では、高度医療機器への悪い影響をなくすように発生ノイズを低減したLEDの照明器具が存在しているほどで、これを使うやり方もあるかもしれないが(筆者は未体験)、白熱電球の方が安価だし、再生音に対しての効果は間違いない。
また、LEDの照明自体が実はそれ自体から音のノイズを発生させているという要素もある。
拙宅で、オーディオを鳴らしている部屋のLED8個全部を、一度に白熱電球に交換した時のことだ。再生音への影響を確認する前に、無音状態の時にすでに部屋が静かになった経験もある。精密な計測機器があれば数値的にきちんと計測できたはずだ。今までも静かだと思っていたのが、発熱電球にすることで明白にしんとして、何かほっとするような感じになった。
LED照明は寿命が長い、電気代が安い等のメリットがあるのは事実だが、ことオーディオに関してはデメリットも少なくない。ノイズを発生させない照明に変更ができるのであれば、これもぜひ試してほしい方策だ。
■フェライトコアを取り付ける。ただしやりすぎは厳禁
PCの電源アダプターの一部に装着されていたり、市販品として単体でも販売されている「フェライトコア」。「パッチンコア」という言い方をした方が思い出せる人が多いかもしれない。フェライト磁石の高周波吸収特性を使ったノイズフィルターだ。ケーブルを二重に巻きつけた方が効果は高い。さまざまなサイズのものがあるが、大きさによってひとつ300円〜1000円ほどで購入できる。
使い方にコツがある。というか、使い方によっては再生音が好ましくない方向にいく場合もあるので、その注意点。
オーディオ用に開発されていないフェライトコアは、再生音にエグミのような感じを与えたり、低音感を薄くする場合もある。フェライトコアを使用した時のオーディオ機器の再生音についての作り込み、音質的な考慮とかヴォイシングといったことがされていないからだ。
コツとしては、オーディオ機器から離れたところに使いたい。たとえば冷蔵庫やエアコン、他の部屋のAV機器、マイコンを使った家電の電源ケーブルなどだ。拙宅では、オーディオルームのエアコンと、比較的近い場所にある冷蔵庫の電源ケーブルに取り付けている。
そして、大事なのは2〜3個を取り付けてみるごとにオーディオの再生音を確認することだ。単に増やせばよいということではなく、何かマイナスの要素を感じたら、取り外すとか、数を減らす、場所を変えるという過程を踏んでいきたい。
完璧なオーディオ機器も完璧なノイズフィルターもないと考えた方がいい。家庭環境によっても異なるものなので、ひとつひとつ実際に音を確認しながら対策を進めていきたい。
▶▶▶集中連載(3)ノイズ対策の新常識:ストリーミングにも効く! アクセサリーの効果的な使い方を徹底解説
▶▶▶集中連載(4)ノイズ対策の新常識:アース対策の基本をおさらい!仮想アース導入のメリットは?
対策その1 デジタル機器とアナログ機器の〈距離〉を取る
■アンプとデジタル機器の電源コンセントを分ける
たとえばCDプレーヤーやUSB-DACといったデジタル機器。これらの電源ケーブルとアンプ(アナログ機器)の電源ケーブルが同じコンセントに挿してある場合、挿してある場所を分けてみよう。デジタル機器が発生させる高周波のノイズが電源ケーブルを通してアンプに影響を与えるからだ。
部屋の中にいくつか壁コンセント設置されているならば、たとえばCDプレーヤーを右にある壁コンセント。アンプを左に壁コンセントに挿すといったように分けてみよう。
あるいは壁コンセントとアンプやCDプレーヤーの間に電源タップを介して電気を取っているのであれば、その電源タップをふたつにしてみよう。
また、6口(または4口)の電源タップの場合、2口の壁コンセントが3つ(または2つ)組み合わされている場合もある。こういう場合、違うコンセントから電源を取るようにしても良い。単純に離れている口に挿す、という言い方をしてもいい。
以上のいずれかを行ってその前後の再生音を比較すれば、音の混濁が減っているはず。これは何をやっているのかというと、CDプレーヤーやUSB-DACの場合、デジタルの高周波ノイズが電源ケーブルを通して還流してしまう。そのため、アンプの電源を取っている場所との物理的な〈距離〉を離すことによって影響度を下げようという考え方だ。
壁コンセントの電気は交流の100Vで、50/60Hzのサイン波の形をしている。ここに高周波ノイズが乗っている。ただし、100Vの電圧に対して、ノイズの電圧はかなり低い。それでも再生音に影響があるのだが。しかし、〈距離〉を取ることによってノイズの電圧が下がっていく=影響が減少していく、という考え方だ。
対策その2 ノイズ源自体をなくす
■部屋の照明のLEDを白熱電球に交換する
音楽を聴いている部屋の照明器具がもしLEDであるのなら、白熱電球に交換してみよう。電気の使用量が多くなるので環境問題的にはマイナスだが、再生音の向上にとってはきちんとした効果のあるやり方だ。たとえば音の背景が静かになったり、高域の歪みっぽさが減少する。
そもそもLED照明の作動原理にノイズの原因がある。LEDは発光ダイオードで極性があり、直流を流す必要がある。AC100Vを直流に変換したり電圧を調節する回路はPWM(Pulse Width Modulation/パルス幅変調)を使っていて、これには数百Hzほどの周波数が使われている。この周波数自体もノイズだが、その高調波(倍音)の領域のノイズも発生している。これは電磁波としても空中に出るが、電源にも還流することになる。
ちなみに医療現場では、高度医療機器への悪い影響をなくすように発生ノイズを低減したLEDの照明器具が存在しているほどで、これを使うやり方もあるかもしれないが(筆者は未体験)、白熱電球の方が安価だし、再生音に対しての効果は間違いない。
また、LEDの照明自体が実はそれ自体から音のノイズを発生させているという要素もある。
拙宅で、オーディオを鳴らしている部屋のLED8個全部を、一度に白熱電球に交換した時のことだ。再生音への影響を確認する前に、無音状態の時にすでに部屋が静かになった経験もある。精密な計測機器があれば数値的にきちんと計測できたはずだ。今までも静かだと思っていたのが、発熱電球にすることで明白にしんとして、何かほっとするような感じになった。
LED照明は寿命が長い、電気代が安い等のメリットがあるのは事実だが、ことオーディオに関してはデメリットも少なくない。ノイズを発生させない照明に変更ができるのであれば、これもぜひ試してほしい方策だ。
対策その3 ノイズを取り除くアイテムを使う
■フェライトコアを取り付ける。ただしやりすぎは厳禁
PCの電源アダプターの一部に装着されていたり、市販品として単体でも販売されている「フェライトコア」。「パッチンコア」という言い方をした方が思い出せる人が多いかもしれない。フェライト磁石の高周波吸収特性を使ったノイズフィルターだ。ケーブルを二重に巻きつけた方が効果は高い。さまざまなサイズのものがあるが、大きさによってひとつ300円〜1000円ほどで購入できる。
使い方にコツがある。というか、使い方によっては再生音が好ましくない方向にいく場合もあるので、その注意点。
オーディオ用に開発されていないフェライトコアは、再生音にエグミのような感じを与えたり、低音感を薄くする場合もある。フェライトコアを使用した時のオーディオ機器の再生音についての作り込み、音質的な考慮とかヴォイシングといったことがされていないからだ。
コツとしては、オーディオ機器から離れたところに使いたい。たとえば冷蔵庫やエアコン、他の部屋のAV機器、マイコンを使った家電の電源ケーブルなどだ。拙宅では、オーディオルームのエアコンと、比較的近い場所にある冷蔵庫の電源ケーブルに取り付けている。
そして、大事なのは2〜3個を取り付けてみるごとにオーディオの再生音を確認することだ。単に増やせばよいということではなく、何かマイナスの要素を感じたら、取り外すとか、数を減らす、場所を変えるという過程を踏んでいきたい。
完璧なオーディオ機器も完璧なノイズフィルターもないと考えた方がいい。家庭環境によっても異なるものなので、ひとつひとつ実際に音を確認しながら対策を進めていきたい。
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