流通と思いを同じくしながら
お客様へ新たな価値を訴求



パイオニアマーケティング(株)
代表取締役社長
山崎一彦
ビジュアルグランプリ2011 SUMMER ネットワーク大賞
AVアンプ
VSA-LX55/VSA-1021/VSA-921
(写真はVSA-LX55)

ビジュアルグランプリ2011 SUMMER 技術賞

フェイズコントロールプラス

ビジュアルグランプリ2011 SUMMER 金賞受賞モデル/ソフト・アプリケーション
BDP-LX91/BDP-LX54/BDP-430/VSA-LX55/iControAV2/Air Jam
(VGP各部門の詳細はこちらをクリック)
 
AVアンプの新たなステージを打ち出したパイオニアの2011年モデルが、「ネットワーク大賞」を受賞した。その存在はリビングの核となり、新たな顧客層へのアプローチにつながる。次の価値を提案、具体策を掲げて流通とともに新たな一歩を踏み出した同社の戦略を、山崎氏に聞いた。
 

2つの新テーマを確立しオーディオ市場を拡大する

−− このたび総合賞において「ネットワーク大賞」を受賞されました。新たな価値訴求における、非常に重要なカテゴリーです。


山崎 身に余る光栄な賞をいただき厚く御礼申し上げます。秋に向けた流通の皆様との商談会の中で、今回受賞致しましたAVアンプが、いかにお客様のオーディオの楽しみを拡げ、また、多くのお客様が抱えるホームシアター構築への障壁を取り除くお手伝いができるかについて話をさせていただいているところです。商品そのものも非常に成熟してきていますし、市場には大きなチャンスがあると思っております。当社のみならず、業界にとってもチャンスの時を迎えていると改めて感じています。

7.1ch再生対応のミドルクラスAVアンプVSA-1021。AirPlay対応やDLNA1.5に準拠するなど充実のネットワーク機能を搭載し、192/24までの入力ソースに対応する。また、AVアンプとしては初めて「Made for iPad」認証を取得している。

ここで、私どもの今後の方針についてお話させていただきます。まず、ネットワークを含めたインフラを使って一気に市場に浸透させたいということ、そして、古くからニーズは顕在化していたものの、直接ビジネスに繋げられないでいたものを何とかかたちにしたいということ。


昨年来パイオニアでは、2015年に向けたビジョンとして「街でも家でも車でも、笑顔と夢中が響き合う」という言葉を掲げています。音を中心にパートナー様と共に多くのお客様と接点をもち、もっと楽しく、ワクワクするようなシーンをお届けしたいと思っています。


私どもは中長期的なテーマとして「音」を基盤としたビジネス構造の変革を推進しています。オーディオの楽しさをもっと提案し、新しい価値、新しい市場を作り上げたいと考えています。もちろん、音や画をじっくり味わうことに手は抜きませんが、もっと生活が楽しくなる、豊かな気持ちになれるというようなところに可能性を感じています。


そのひとつが、オーディオ機器に遠ざかっている若者達を巻き込むということ。「サウンドデザイン」という考え方で、ニーズに合わせた提案をし、ミニコンポから離れている世代に興味を示していただけるような新しいオーディオ機器、ワクワクする商品をつくっていきたいと思います。


VGP2011SUMMER金賞を受賞したパイオニアの「AirJam」。Bluetooth経由で最大4台までのiPod touch/iPhone/iPadをAVアンプとワイヤレス接続し、互いの楽曲情報を共有したり聴いたりすることができる。
賞を頂戴したAVアンプも同様です。AVアンプはiPodやスマートフォンのコンテンツのコントロールセンターとなる存在になりましたが、マニアの方々を超えて多くの方々にフィットするに至っていません。それをリビングでコアとなるようなカテゴリーにしたいと思っています。


テレビはこれからどんどん単価が下がり、来年以降は台数減が見込まれて、流通の皆様も頭を悩ませておられます。ここでリビングに必要な商品というものが出てくれば、業界も盛り上がるのではないかと思います。


業界は昨年夏の猛暑、エコポイントと恵まれた状態が続き、残念ながら震災に見舞われたものの今も省エネ、エコのキーワードで追い風が吹いています。しかし当然ながらこの秋以降の戦略についてはずっと課題になっていました。商談会に来ていただいた流通の皆様は私どもからのこうしたご提案を真摯に受け止めてくださり、売り場をどうやってつくるか、どうやって社内教育をするか、社内組織をどのようにつくるかという領域にまで話が及び、いよいよ機が熟したという思いです。


そういう中で、私どもはホームシアターをもっと手軽に、単品コンポのことはよくわからない方でも手を出し易いパッケージシステムなどの取り組みも積極的に展開しながら、障壁を取り除いて気持ちよくお客様に使っていただけるようなチャレンジをしていきたいと思っています

AVアンプはかつてのホームシアターの中核機から、マルチメディアの中核機に変わりました。しかしそれを店頭でお客様に伝え切れていない、わかりやすいアドバイスができていないというのが現状です。環境を整える、接客をしてデモするということをどれだけ実践できるか。それをパイオニアは、流通の皆様と共に、この秋口からやっていこうと思っております。

新たな価値がお客様に伝わる人づくり、店頭づくりに着手

−− 方策を具体的にお聞かせいただけますか。

山崎 専門業態(専門性にこだわる商売をして頂いている得意先様)の強みが同時に育成されることが目標であり、時間をかけてゆっくりやらせていただきたいと思っています。まず人づくり。我々の体制も整え、専門業態の方々と同じ情報を共有しながら同じ思いを熟成させていきたいのです。秋から年末にかけて発売する多くの新製品とも連動させて参ります。


流通の中でも専門店様、そしてオーディオビジュアルを御専門と認識をされている量販店様はぜひ、お客様にどう伝えるか、どうお応えできるか、提案できるかを身につけていただきたい。メーカーとしては、どれだけその後押しができるかがポイントです。


ここでは販売店様が共感してくださることが重要であり、我々の一方的な押しつけでは市場は盛り上がりません。商談をきっかけに、成功事例を重ねてどんどんやっていこうということになればと思っております。ぜひご期待ください。

 

【関連リンク】

パイオニア製品情報サイト
【Phile-webスペシャルサイト】Pioneer encyclopedia

 
山崎一彦氏 プロフィール

1957年生まれ。1980年慶応大学法学部卒業、同年パイオニア(株)入社。宇都宮営業所勤務。85年東京中央営業所、91年近畿量販営業所および量販部、大阪中央営業所に勤務。 97年国内営業部 マーケティング部 オーディオ課長に就任。98年首都圏量販部長に就任、2003年関西統括部長に就任、2005年パイオニアマーケティング(株)量販部長に就任、その後商品本部長、営業本部長を歴任し、2008年6月に同社代表取締役社長に就任、現在に至る。