独立電源も採用。フォノイコにも注力

マランツ、出力400Wの旗艦プリメイン「PM-10」。フルバランス/BTL構成などセパレート技術を凝縮

公開日 2017/01/17 10:00 編集部:小澤貴信
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マランツは、同ブランドのフラグシップとなるプリメインアンプ「PM-10」を2月下旬から発売する。価格は60万円(税抜)。

marantz「PM-10」

昨年10月に先行して発売されたフラグシップSACDプレーヤー「SA-10」(関連ニュース)と対になるプリメインアンプで、セパレートアンプのパフォーマンスを一筐体で実現することをコンセプトとしている。スイッチングアンプ(クラスDアンプ)の採用により定格出力400Ω×2(4Ω)、ダンピングファクター500(8Ω)のBTL構成パワーアンプを実現。また、プリ/パワーを一貫してフルバランス構成とした。

「PM-10」

背面端子部

周波数特性によって音質が変化しないコンスタント・カレントフィードバック・フォノイコライザーを搭載したことも特徴。アナログ入力端子は、バランスXLRを2系統、アンバランスRCAを4系統、フォノ(MM/MC high/MC low)を1系統搭載する。

製品発表に先だって開催されたプレス向け発表会では、マランツのサウンドマネージャーである尾形好宣氏、マーケティング担当の高山健一氏がその詳細を説明した。以下に本製品の詳細を紹介していく。

尾形好宣氏

高山健一氏


セパレートならではの大出力/フルバランス/独立電源をプリメインで実現

マランツの新たな旗艦プリメインアンプとなるPM-10は、“セパレートアンプ・コンセプト”の元に開発された。これは、現時点でマランツ最後のセパレートアンプである旗艦プリ/モノパワー「SC-7S2/MA-9S2」(2006年発売)で実現した“セパレートアンプならではの優位性”を、プリメインアンプで実現させるというものだ。

セパレートアンプ「SC-7S2/MA-9S2」の内容を一筐体で実現することを目指した

セパレートアンプの優位性として3つの要素を挙げた

セパレートアンプならではの優位性とは具体的にどのようなものか、同社は3つの要素に集約して定義する。それは(1)大出力/駆動力、(2)フルバランス/BTL構成、(3)セパレート電源だ。

結果として本機は、400W×2(4Ω)・ダンピングファクター500という大出力/駆動力、プリ/パワー部の全段フルバランス構成およびBTL構成パワーアンプ、プリ部およびパワー部L/Rで独立した電源を、プリメインアンプの限られた筐体スペースの中で実現させた。そして、これらの要素がマランツが目指すリファレンスサウンドの獲得へとつながっている。

PM-10の筐体内部

高山氏は「フルバランス構成構成を優先して駆動力を抑える、という選択肢もあるのでしょうが、その点は妥協しませんでした。PM-10はセパレートアンプだからこそ可能とされていた3つの要素を、プリメインアンプとして実現した希有なモデルなのです」と紹介する。

PM-10はセパレートアンプの長所たる3要素を満たすプリメインアンプだとアピール

そして、限られたシャーシの中でフルバランス構成と大出力を両立させるために採用されたのが、次に説明するHypexスイッチングアンプである。

Hypexスイッチングアンプによる大出力・駆動力の実現

パワーアンプ部については、マランツのアナログアンプ技術を最大限活かせること、そして音質に妥協することなく大出力と小型化を両立させることが開発時の大命題となった。

BTL構成のため、Hypex Ncore基板が合計4枚配置されている。ヒートシンクは自社製

Hypex Ncoreモジュール

PM-10はプリメインアンプながら400W(4Ω)/200W(8Ω)という大出力を実現したが、この心臓部として採用されたのが、Hypex社のパワーアンプ・モジュール「Hypex Ncore」だ。しかも本機はBTL構成を採っているので、Hypex Ncoreモジュールを片chあたり2基、合計4基搭載している。

Hypex Ncoreの特徴は、スモールパッケージで大出力ができることに加えて、音声信号の入力がアナログバランス入力に特化していることも挙げられる。これによりフルバランス・プリアンプからのバランス出力を、変換なしのピュアな状態でスイッチングアンプへ入力できるわけだ。

PM-10の回路構成の概略図

尾形氏はPM-10のインピーダンス別・周波数特性グラフを示しながら、Hypex Ncoreの優位性についても説明した。通常のクラスDアンプでは、10~20kHzで特性のばらつきが見られるようになるが、Hypex Ncoreでは50kHzまでほぼフラットな特性を獲得していると尾形氏。「この特性はほぼアナログアンプと同じと言えます。これはHypexを採用した大きな理由の1つです」と説明した。各帯域にわたって歪みが極めて少ないことも特徴だという。

PM-10の周波数特性は、優れたアナログアンプのそれと変わらないとのこと

もうひとつ、Hypex Ncoreを採用した大きな理由となったのが、インピーダンス変動による周波数特性の変動が少ないという特徴を備えている点だ。これは上のグラフの3本の線が50Hz付近までほぼ一致していることが示している。結果、接続するスピーカーの付加によってアンプのキャラクターが左右されるということがなく、大出力と正確な再現性を両立することが可能になるという。

Hypex社のスイッチングアンプは、マランツのDAC内蔵アンプ「HD-AMP1」(関連ニュース)でも採用された。しかし、コンパクトなデスクトップアンプであるHD-AMP1が「Hypex UcD」というモジュールを用いたのに対して、PM-10ではHypexの最上位「Hypex Ncore」が用いられている。しかも本機に採用されたのはBtoB向けタイプで、コンシューマ向けには販売されていないものだという。

ちなみにHypexは元フィリップスのエンジニアが起こした会社で、マランツはB&Wのサブウーファーにアンプユニットを供給していた際に、今回のHypex Ncoreと同一タイプのアンプを採用していた。この時から、Hypexの優れた性能に着目していたのだという。

次ページフルバランス構成のディスクリート・プリアンプを採用

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