NA7004などの機能・音質をリアルレポート
【ユーザーレポート】マランツのネットオーディオ機器を読者4名が自宅で体験!
音質向上や操作性向上に満足
「NA7004」モニターレポート 千葉県・鈴木様
まず、今回このプレゼント企画に応募したきっかけです。
これまでトランスポートとしてCambridge AudioのiPodドック「iD100」を用いて、iPod Classicの非圧縮音源を再生していました。iPodの操作性を生かし、リモコンでフルコントロールができるため導入したのですが、画面が小さく、遠くから文字が識別できないことに頭を悩ませていました。
そこでネットワークオーディオプレーヤーを導入し、iPod touchなどでリモート操作するのがいいのかなと何となく考えていたところ、この企画を知り、運良く希望の製品を入手することができました。
それでは設定に入る前に環境整備です。まずはiPod touchを購入し、DMCとして純正のWizz Appの他、PlugPlayer、DiXiM DMCを導入しました。また、設置場所には有線LANを引っ張れないので無線LAN子機を導入(本機には無線LAN機能はない)しました。
DLNA対応NASは導入済でしたので、これで本機をつなげるだけかと思っていたら、ここで問題が発生しました。なんと久しぶりにNASを立ち上げようとしたらエラーで立ち上がらないのです。何度やってもだめなので、急遽新品(別製品)を購入しました。
ようやく本機の設定に入ります。LANケーブルをつなげ、電源を入れて少し待っていたら、何もせずに設定が完了したようです。ディスプレイには認識したメディアサーバーが表示されています。これは何とも簡単でした。早速iPod touchでDMCを起動したところ、無事に認識し、難なく再生できました。
■アップコンバートした音源を聞くと音質が明らかに良くなった
それでは本題の音のレポートに移りたいと思います。機器環境はスピーカーがWilson BeneschのARCです。アンプはCHORD Cyan ClickでDACも内蔵していて、アナログ入力、デジタル入力のどちらも対応しています。
もともとコンパクトなシステムを目指していたため、これに加えて上記のiD100からデジタル入力で聴いていました。今回はiD100に変えてNA7004を導入し、デジタル出力、アナログ出力の両方を試します。コンパクトなシステムを目指していたはずですが存在感抜群となってしまいました(笑)。まあラックのスペースは空いていたのでよしとします。
まずはトランスポートの比較をするため、アンプにはデジタル入力で固定しました。比較に用いた曲はSinne Eegのアルバム「Waiting for Dawn」より”What It Means To Me”です。iPod音源は非圧縮のAIFFで管理していたため、NA7004対応としてFLAC形式にそのまま(44.1kHz、16bit)変換し、NASに保存しました。
もともとiD100の音質には特に不満はなかったですが、NA7004にするとほんの少しだけ、音がクリアになったような気がします。ただ、ほとんど変わらない程度なので、気がするだけかもしれません。
次にKORG社のAudioGateを用いて88.2kHz、24bitにアップコンバートしたバージョンを作成し、NA7004で再生しました。明らかに音が変わりました。特にボーカルの滑らかさが全然違います。元のバージョンで聴いてみると、今までは微妙に声がざらついていた事に気づきました。また、ピアノの音もひとつひとつの音がくっきりと力強く聴き取れるようになりました。アプコンでこれほど違うとは驚きです。ハイレゾ音源もぜひ試してみたいと思いました。
■お金を出していても大満足の音質向上
これでトランスポートとしての性能は明らかに向上したことがわかりました。次はアンプにアナログ、デジタルのどちらで送るのかを決めなくてはなりません。とは言っても、DACチップは同じシーラスロジック社でCyan ClickはChordette Gemと同じCS4351、NA7004はCS4398ですから、結果は目に見えていたのですが…。
同じ曲のアプコンバージョンで比較しましたが、結果は予想通りでした。どちらも音の傾向は似ています。透明感があり、若干中低域が厚い音です。
しかし両者を比較すると、NA7004のDACの方が圧倒的に奥行きの深い音で、1枚ベールを剥いだようなクリアな音でした。空気感の表現能力が高いというか、音の輪郭がはっきりします。
そのままの勢いでお気に入りの1曲、Jerry Gonzalez and the Fort Apache Bandのアルバム「Firedance」の”Isabel, The Liberator”をアプコンバージョンで聴きました。これはLive録音ですが、これまでのシステムで聴いてきたものを遙かに上回る緊張感を感じる事ができました。
各楽器の生々しさも向上し、臨場感あふれる演奏を堪能する事ができました。改めてDACの重要性を再認識した気がします。NA7004のDACはエントリークラスですから、もっと高性能のDACだとどうなるのだろう、と余計な事を考えてしまいました。とはいえ、仮にお金を出してNA7004を購入したとしても、これだけの音質向上は大満足です。
■AirPlayは「十分いけるじゃないか」
次に、iPod touchからのAirPlayを試してみました。AIFFでの再生です。「十分いけるじゃないか」という感想です。さすがにアプコンバージョンをNA7004で再生したものには劣りますが、iD100からの再生に匹敵しているのではないかと思います。手軽にPCやiPhoneなどから再生できますので、私以外の家族でも簡単に扱えるでしょう。何よりiPod touchのUIは圧倒的に優れていますので、気軽に聴きたいときは私もAirPlayを利用するかもしれません。
■メディアサーバーとの相性には注意したい
ここでDMCの操作性について話を移すと、Wizz Appはさすがに純正だけあって、電源のON/OFFや入力切替等の操作が可能なので便利です。一方で、選曲操作は画面の切替に時間がかかったり、1度に表示される曲数が少なかったりするなど、使いづらいです。その点では、PlugPlayerやDiXiM DMCの方が優れていて、さくさくと選曲操作ができます。
DMCは同時に起動しても問題ないので、基本操作はWizz Appで、選曲操作は他のアプリで、という事になりそうです。もちろん純正のWizz Appの改良には多いに期待したい所です。
また使っているうちにわかったのですが、メディアサーバーの選択には注意が必要です。DMCを用いた選曲操作において、アーティストを選択→アルバムを選択→曲を選択、という操作がしたかったのですが、アーティストを選択すると曲一覧表示になってしまい、希望の操作ができませんでした。
最初はよくわかっておらずDMCの仕様かと思っていたのですが、全くの勘違いでした。メディアサーバーが構築するデータベースによるものでした。特に何も考えず安価なNASを購入してしまったため、あまり相性が良くないものを選んでしまったようです。
そこでPCにDLNAサーバーソフト、TversityとTwonkyMediaをインストールして、PCをサーバーとしてみたら、同じDMCを用いてもアーティストを選択→アルバムを選択→曲を選択、という操作が行えました。特にTwonkyMediaの操作性が良かったように思います。
またメディアサーバーは、操作性の違いだけではなく、レンダラーとの相性もあるようです。私が購入したNASでは、アップコンバートしたFLACを再生するとたまに音飛びが発生しますが、相性の良いものではそんなことはないようです。マランツもサーバーソフトにTwonkyMediaを推奨しているようですし、TwonkyMediaが入っているQNAPのNASなどを今後導入したいと思っています。
本機の不満点としてよく挙がっているのが、NASからの再生ではギャップレス再生ができないことです。私自身としてはギャップレス再生が必要な場面は多くないので、そんなに気になりません。どうしてもギャップレスで再生したいような場面ではAirPlayで再生すればいいのではないかと思います。
最後になりますが、このプレゼント企画のおかげで我が家の環境の操作性、音質ともにかなり向上する事ができました。このような貴重な機会を与えていただいた音元出版様とマランツ様、本当にどうもありがとうございました。
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