NA7004などの機能・音質をリアルレポート
【ユーザーレポート】マランツのネットオーディオ機器を読者4名が自宅で体験!
第一号機として非常に高い完成度
「M-CR603+LS603」モニターレポート 愛知県・K様
いつもPhile-webを見させて頂き、非常に参考にさせて頂いています。まさか当選するとは思っていなかったため、非常に驚くとともにうれしい限りです。
今回マランツの「M-CR603」+「LS603」について、正直にできる限り詳しくモニターレポートをさせて頂きます。
■4年前の新築を機にホームシアターを復活
まず私自身の紹介からはじめますと、33歳会社員で、妻、5歳娘、1歳息子の4人家族です。学生時代からのオーディオ好きで、オーディオ歴は約15年。社会人になってオーディオブームは一旦収束気味でしたが、4年前の新築を機にホームシアターを復活させました。
自宅は一戸建てで、リビングシアターを楽しんでいます。システム構成は以下の通りです。
【リビング】
・AVアンプ YAMAHA「RX-V2067」<DMR>
・フロントハイト用アンプ SONY「STR-VA555ES」
・プロジェクター SONY「VPL-HS20」
・スクリーン NAVIO「MR502」
・テレビ SONY“BRAVIA"X1000
・Blu-rayプレーヤー「PlayStation 3」
・CDプレーヤー SONY「CDP-XA5ES」
・センタースピーカー DENON「SC-C777SA」
・メインスピーカー DIATONE「DS-800Z」
・リアスピーカー YAMAHA「NS-B700」
・サラウンドバックスピーカー DENON「SC-101」
・フロントハイト PANASONIC
・サブウーファー YAMAHA「YST-SW45」
・無線LANルーター/簡易NAS BUFFALO「WZR-HP-G301NH」(簡易NAS)<DMS>
・NAS QNAP「TS112」<DMS>
・iPod touch(第4世代)、Xperia「SO-01B」<DMC>
【ダイニング】
・テレビ TOSHIBA“REGZA"「37Z7000」
・HDD+DVDレコーダー SONY「RDZ-D5」
■M-CR603はセカンドシステムとして活用
なおネットオーディオに関しては、DLNAサーバソフトにTwonky Media/PS3 media serverを、DLNAクライアントソフトにPlug PlayerやDiXiM DMCなどを用い、FLACによる環境を構築中です。現在、CD約100枚分程度のデータがあります。
さらに今回の当選にあたって、簡易NASではなく省電力サーバが必要と感じ、QNAP「TS112」を導入し、常時起動させる環境としました。
今回いただいたM-CR603はダイニング側に置き、セカンドシステムとして、家族の皆が気軽に使えるコンポとして使用することに決めました。リビング側は様々な機器が入り組んでいるので、アンプの電源を入れてから音楽の再生をはじめるまでの手順があり、だれもが簡単に行える環境にないためです。
ネットワークオーディオでは、ヤマハ「RX-V2067」を約1年近く使用しているので、それとの比較も行ってみました。
まずデザインについて。レシーバーとスピーカー部の、ブラックの鏡面デザインは、個人的には好みですが、非常に埃がつきやすく、目立ちやすいのがやや難点と思いました。埃がつきにくいよう改善されると非常によいと感じました。
さて、AirPlayは初めて実際に使用してみましたが、iPod touchからの音楽再生は、DLNAでのFLAC再生に比べて非常に音質が悪く感じましたが、逆にPCからのAirPlayは、期待以上に音質が良かったです。
AirPlayに関しては個人的には興味があまりなく、どういう使い方を想定しているのかが理解できていません。たとえば、iPhoneやiPod touchにALACなどを溜め込んでいる人が使用するのでしょうか。
特に私の環境ですと、もともとPCは別途アンプに音声出力しており、わざわざ別の部屋のアンプに音を飛ばす必要がなく、DLNAに比べメリットを感じません。
仮に音質にこだわらず、圧縮音源を気軽に無線で飛ばすのであれば、わざわざDLNAを搭載しているような機器を購入する必要は無いように感じますので、もっと低価格な製品にこそ必要と感じました。
■DMCアプリにはさらなる高機能化を期待したい
続いて、DLNAでのネットワーク再生について試しました。操作を確認したコントロールアプリ/DMCアプリは、Androidが「AVR-Remote」「Twonky」「BubbleUPnP」、iPod touchが「Plug Player」「DiXiM DMC」「Wizz App」となります。
操作は「RX-V2067」導入時に検討した際に最も良かったPlug Playerを引き続き使用。それ以外のアプリも動作的には問題なく、スムーズに使用できました。使い勝手ではPlug Playerが最適と感じました。
他社にもメーカー独自のアプリがありますが、アンプの電源操作、入力切替などは問題ありませんが、DMCとしては使い勝手が悪く、DMCアプリは他を使用したくなるのが実情です。
アプリの切り替えが面倒なので1本で完結したいため、本来はメーカーアプリの改善をいただくのがベストです。個人的には、有償でもよいので高機能なものを出して欲しいです。マランツ独自の「Wizz App」は、曲リストのページ送り動作が非常に重く、この点ではPlug Playerの後塵を拝しています。
■期待以上の音質で価格以上の価値を実感した
ディスプレイが非常に高精度で、ある程度は純正リモコンでも選曲可能である点は良いと思います。この場合、後述する連続再生も可能でした。
スピーカーの「LS603」も24,150円(ペア)とは思えないクリアな音で、低音は少し物足りないものの、価格以上の価値があると感じました。
NASでのFLACの再生により、圧倒的な利便性を得ることができ、かつ音質も十分。2台目のつもりだったが、1台目としても十分使える製品です。また機械に疎い嫁さん、子供でも十分に操作できる点もポイントです。
不満点も挙げますと、MAXボリュームの設定がないのは残念です。DMCの操作によっては大音量となりやすいため、機器の操作に詳しくない嫁さん、子供が操作することを考えると、ぜひ欲しい機能です。
またギャップレス再生ができないことは、現状どこのメーカーでも共通の課題となっていますが、ぜひ今後の改善を希望します。個人的には、クラシック系やノンストップのダンス系などはほとんど聴かないので、影響するのはライブ版音源くらいですが…。
音質などについては値段以上の価値が感じられ、手軽に音楽を楽しむという点では、すばらしい機器と思いました。
まだネットワークオーディオに関しては、環境構築、操作面など細かな点で不満もありますが、それはM-CR603に限った話ではなく、ネットワークオーディオ共通の課題と感じます。
たとえば、再生自体は手軽なのですが、そこまでの環境構築は意外に苦労しました。これは本機に限らず、他社製品の導入時もそうだったのですが。しかも今回は、QNAP TS-112も同時期に導入したため、トラブルの原因がどちらにあるか追求するのに苦労しました。はじめにネットワーク環境の構築が必要なことを考えると、だれもが簡単に使いこなすのには、まだ時間がかかるのかな、と思います。
特にこのクラスの製品を選択する人は、iPhoneやiPodに入れた圧縮音源を、ドックスピーカーで聴くのに満足しない人たちがターゲットと思われます。オーディオ機器単体で考えるのではなく、NASやDMCアプリなども合わせたトータルでの商品開発が、今後重要になるのではないでしょうか。
まだまだDLNAの規格自体これからだと思いますし、改善点も多いと思いますが、いち早くネットワークオーディオに本格参入したマランツには非常に期待しています。NA7004や本機も、第1号機として考えたら完成度は非常に高いと思います。これからも大切に使わせて頂きます。