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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第80回】ハイレゾ初心者はまずコレを! 高橋敦のオススメ作品ベスト10

公開日 2014/03/20 13:09 高橋敦
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宇多田ヒカル「First Love」


▼基本データ
フォーマット:FLAC|96kHz/24bit
販売サイト :e-onkyo music、mora
楽曲の詳細&ダウンロードはこちら:
http://www.e-onkyo.com/music/album/uml7069/(e-onkyo music)
http://mora.jp/package/43000006/00600406427069/(mora)

▼項目評価
ボーカル |★★★★★|
質感   |★★★★・|
帯域の広さ|★★★★・|
解像感  |★★★★・|
空気感  |★★★・・|
空間性  |★★★・・|

▼紹介コメント
この作品は基本「前回参照」だが、フォローを一点。

このハイレゾ音源は「アナログマスターテープからのハイレゾ化」とのことだ。ではマスター前の録りの段階のメディアとスペックは何だったのだろう?僕は「Pro Toolsでの48kHz/24bit録音の可能性が高い」と推測する。

アナログマルチテープの可能性は低い。もしも録りからアナログならそれはオーディオファンにとっては嬉しいポイントになる。だからもしも僕がそれを販売する立場ならその点も積極的に説明して打ち出すし、買う立場としてもそうしてほしい。そうされていないということは…と推測する。

当時の業界標準デジタルレコーダーPCM-3348は、普及しなかった上位モデルの他は、CD(44.1kHz/16bit)と同程度のスペックだ。それが大本であればそれを説明なく「ハイレゾ」として売るのは無理がある。この線も薄い。

残るのがPro Toolsでの48kHz/24bit録音だ。16bit録音とは前述の理由から考えにくい。そして当時のPro Toolsの最高スペックは48kHz/24bitだ(48kHz/24bit対応は1997年であり、1998年〜1999年録音の本作は実働タイミング的にはギリだが…)。

というわけで僕は、「First Love」はPro Tools 48kHz/24bit録音&編集からアナログ出力してアナログのアウトボードでマスタリング処理してのアナログマスターと推測する。

録音が48kHz/24bitならその時点ではハイレゾだし、アナログテープならハイレゾの情報量を生かしつつアナログの感触も付与したマスターを作成できる。そしてそれを余さず再度デジタル化するには余裕のあるスペックが必要だ。96kHz/24bitでの配信、それをハイレゾとすることに妥当性はあると思う。そして僕自身としては何よりも、実際に聴いてその音質に納得できている。まあこれは推測にすぎないし、仮にこの通りだったとしても、それをどう受け取るかは各自の感じ方、考え方次第だが。

▼CD音源との比較
詳しくは連載前回参照だが、ハイレゾ版の方が明確にダイナミクスレンジを広げたマスタリングになっており、音楽的にもオーディオ的にもハイレゾ版を推薦。



木下林檎(CV:田村ゆかり)&中沢 農(CV:花澤香菜) 草壁ゆか(CV:田村ゆかり)「TVアニメーション『のうりん』挿入歌&エンディングテーママキシシングル」


▼基本データ
フォーマット:WAV|48kHz/24bit
販売サイト :Ototoy
楽曲の詳細&ダウンロードはこちら:
http://ototoy.jp/_/default/p/39986

▼項目評価
ボーカル |★★★★★|
質感   |★★★・・|
帯域の広さ|★★★・・|
解像感  |★★★・・|
空気感  |★★★・・|
空間性  |★★★・・|

▼紹介コメント
ご本人としての作品ではないものの、田村ゆかりさんのパブリックイメージもモチーフにしていると思われるアッパーなアイドルポップス「コードレス☆照れ☆PHONE」を収録。ゆかりさんの歌を遂にハイレゾで満喫できる作品だ。またもう一曲は、同じくご本人名義ではなくキャラソンではあるが、田村ゆかりさんと花澤香菜さんのツインボーカルという恐ろしい豪華さ。でも花澤さんについては先ほどご本人のアルバムを紹介しているのでここでは特に、ゆかりさん演じる草壁ゆか(木下林檎)「コードレス☆照れ☆PHONE」について見ていこう。

まず項目評価の「ボーカル」が五つ星である件については、田村ゆかりさんの歌声をハイレゾで楽しめるだけですでに僕の心が五つ星でメーターが振り切れているので、音質の評価としては全く成立していない。その点についての抗議は一切受け入れない。

アニメの中で大人気アイドルが歌う楽曲という設定であり、現実のアイドルはもうこういう曲はあんまりやらないレベルにアイドルらしいアイドルポップスだ。アイドルポップスの定型を詰め込んだ作曲編曲になっており、それが成功して好ましい意味で既視感だらけの曲に仕上がっている。ぱっと思い出せるところで近年でこれに匹敵するレベルでアイドル感満載の現実のアイドル曲は、指原莉乃さん「それでも好きだよ」あたりだろうか。それをそういうものとして楽しむのが乙というものだ。

▼CD音源との比較
ハイレゾ版はCD盤よりも少しだがコンプを緩めてダイナミクスを広げている。しかしその少しの手直しと24bitの効果はそれなりに十分で、空間にスペースが確保されて全体の見晴らしが改善されている。

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