“実質的フラッグシップ”の実力を検証
エソテリック「P-02X/D-02X」を聴く - Grandiosoの技術を凝縮したトラポ&DAC
エソテリックの「Grandioso」シリーズの思想と技術を2筐体に凝縮したSACDプレーヤー「P‐02X」/DAコンバーター「D-02X」。実質的なフラッグシップとも言える両モデルを鈴木裕氏がレビューする。
■新2モデルのポジショニングと概要
Grandiosoシリーズの思想を行塾した”実質的な”旗艦機
現在のエソテリックにおいて、デジタルプレーヤーのフラッグシップはGrandiosoシリーズの「P1/D1」である。CD/SACDトランスポートで、本体と電源部を別筐体にする「P1」、モノラル構成で左右チャンネル用に別筐体を持つD/Aコンバーターの「D1」、合わせて4筐体という超弩級のデジタルプレーヤーだ。
美しく優美なラインをフロントパネルに持つP1/D1、それはエソテリックにとってはラボラトリーモデル的な位置づけだという。過剰とも言える物量を投入し、現代のデジタルテクノロジーの可能性を追求した、理想主義的なモデルというポジショニングである。それに対して、“実質的なフラッグシップ”という言い方をするのが「P-02/D-02」のコンビだった。その最新作が「P-02X」と「D-02X」になる。
少し振り返ると、長らくエソテリックのデジタルプレーヤーのフラッグシップは2筐体だった。1987年のエソテリックブランドとしての第一世代である「P-1/D-1」、SACDが登場した状況において究極のCD再生を求めて2001年に登場した「P-70/D-70」があり、初めてSACDに対応した2筐体モデルである「P-03/D-03」は国内外での数々の賞を総嘗めにした。
そして2010年にスタートした一体型CD/SACDプレーヤーの“K”シリーズによって、SACDプラットフォームを刷新。それを受けて2011年に登場したのが先代の「P-02/D-02」だった。そして2016年、ついにモデルチェンジを果たして登場したのがこのP-02X/D-02Xだ。
■前モデルからの進化ポイント
「02」後継機という位置付けを超えて大きな進化を遂げた
02シリーズから02Xシリーズへの変更内容を見ると、02Xは02の後継機種という位置づけよりも、むしろGrandioso P1/D1の4筐体を2筐体に凝縮したモデルのように思えてくる。
まずそれを感じるのが、トランスポートとDACの接続が「EL-LINK3」から「ES-LINK4」へと進化した部分だ。これは4倍オーバーサンプリング/48bit伝送から、8倍オーバーサンプリング/48bit伝送になったことを意味する。ケーブル自体はHDMI規格でヴァン・デン・ハルの製品を採用しているが、オーディオデータ、L/Rクロック、ビットクロックをそれぞれ差動で送り込んでいる。
平易にいうと、P-02X側でやれることはやっておいて、D-02X側のデジタル処理の負担を軽くする、という設計思想を押し進めているのだ。PCM信号をアナログ信号へ変換する時にbit数を上げてより滑らかな波形を生成する技術も、従来モデルの35bitからD1と同様の36bitのD/Aプロセッシング・アルゴリズムを採用している。
DACデバイスはAKMの「AK4490」を選択し、DSDの対応が2.8MHzから11.2MHzへと大きく拡充したのも時代の変化を感じる。また、DAC部の回路規模は従来型の差動8回路から16回路へと倍になっている。バッファーアンプ部はGrandioso C1で高い評価を獲得したHCLD(ハイ・カレント・ライン・ドライバー)に進化し、従来よりも10倍近いスルーレートを達成している。その他のスペックにおいても、f特はよりワイドレンジに、SN比も6dB高い121dBに改善されるなど申し分ない進化が見られる。
その他、P-02Xのメカドライブ部を固定する5mm厚のスチールのリジッドベース部には、トライ&エラーによって決定したスリット加工がほどこされ、メカ部と回路部の振動コントロールを行っている。一方、メカドライブ自体はスピンドルのベアリングが02のセラミックから、スチールのセレクト品に変わった以外、熟成のVMK-3.5-20Sをキャリー・オーヴァーしている。
■新2モデルのポジショニングと概要
Grandiosoシリーズの思想を行塾した”実質的な”旗艦機
現在のエソテリックにおいて、デジタルプレーヤーのフラッグシップはGrandiosoシリーズの「P1/D1」である。CD/SACDトランスポートで、本体と電源部を別筐体にする「P1」、モノラル構成で左右チャンネル用に別筐体を持つD/Aコンバーターの「D1」、合わせて4筐体という超弩級のデジタルプレーヤーだ。
美しく優美なラインをフロントパネルに持つP1/D1、それはエソテリックにとってはラボラトリーモデル的な位置づけだという。過剰とも言える物量を投入し、現代のデジタルテクノロジーの可能性を追求した、理想主義的なモデルというポジショニングである。それに対して、“実質的なフラッグシップ”という言い方をするのが「P-02/D-02」のコンビだった。その最新作が「P-02X」と「D-02X」になる。
少し振り返ると、長らくエソテリックのデジタルプレーヤーのフラッグシップは2筐体だった。1987年のエソテリックブランドとしての第一世代である「P-1/D-1」、SACDが登場した状況において究極のCD再生を求めて2001年に登場した「P-70/D-70」があり、初めてSACDに対応した2筐体モデルである「P-03/D-03」は国内外での数々の賞を総嘗めにした。
そして2010年にスタートした一体型CD/SACDプレーヤーの“K”シリーズによって、SACDプラットフォームを刷新。それを受けて2011年に登場したのが先代の「P-02/D-02」だった。そして2016年、ついにモデルチェンジを果たして登場したのがこのP-02X/D-02Xだ。
■前モデルからの進化ポイント
「02」後継機という位置付けを超えて大きな進化を遂げた
02シリーズから02Xシリーズへの変更内容を見ると、02Xは02の後継機種という位置づけよりも、むしろGrandioso P1/D1の4筐体を2筐体に凝縮したモデルのように思えてくる。
まずそれを感じるのが、トランスポートとDACの接続が「EL-LINK3」から「ES-LINK4」へと進化した部分だ。これは4倍オーバーサンプリング/48bit伝送から、8倍オーバーサンプリング/48bit伝送になったことを意味する。ケーブル自体はHDMI規格でヴァン・デン・ハルの製品を採用しているが、オーディオデータ、L/Rクロック、ビットクロックをそれぞれ差動で送り込んでいる。
平易にいうと、P-02X側でやれることはやっておいて、D-02X側のデジタル処理の負担を軽くする、という設計思想を押し進めているのだ。PCM信号をアナログ信号へ変換する時にbit数を上げてより滑らかな波形を生成する技術も、従来モデルの35bitからD1と同様の36bitのD/Aプロセッシング・アルゴリズムを採用している。
DACデバイスはAKMの「AK4490」を選択し、DSDの対応が2.8MHzから11.2MHzへと大きく拡充したのも時代の変化を感じる。また、DAC部の回路規模は従来型の差動8回路から16回路へと倍になっている。バッファーアンプ部はGrandioso C1で高い評価を獲得したHCLD(ハイ・カレント・ライン・ドライバー)に進化し、従来よりも10倍近いスルーレートを達成している。その他のスペックにおいても、f特はよりワイドレンジに、SN比も6dB高い121dBに改善されるなど申し分ない進化が見られる。
その他、P-02Xのメカドライブ部を固定する5mm厚のスチールのリジッドベース部には、トライ&エラーによって決定したスリット加工がほどこされ、メカ部と回路部の振動コントロールを行っている。一方、メカドライブ自体はスピンドルのベアリングが02のセラミックから、スチールのセレクト品に変わった以外、熟成のVMK-3.5-20Sをキャリー・オーヴァーしている。