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人気モデルの妹機を徹底解剖

AKGの新ハイブリッドイヤホン「N30」をN40と比較試聴!姉妹機の音はどんな風に違うのか?

公開日 2017/02/16 13:01 土方久明
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N40とは「音質」でなく「音のキャラ」が違うモデル

試聴音源は、読者の方が音色や音調をイメージしやすいようにJ-Pop、アニソン、Jazz、クラシックと幅広く用意した。フォーマットはハイレゾのFLACを中心に、MP3でも確認をする。

試聴を行う土方氏

N30のサウンドは、オーディオ的な見地で表現するならば、中高域がクリアでワイドレンジ。トーンバランスはフラットを基軸としながらも、高域が少しブライトでキレが良い。中域は密度が高く、情報量に優れる。低域は高域のサウンドキャラクターをそのまま下ろしたような音調で、音圧に頼らず、立ち上がりと弾力感がバランス良い。温度感や滑らかさはN40に軍配が上がるが、その代わり全帯域のスピード感が上がっている印象だ。

MP3音源、fripSide「Run into the light」(MP3 256Mbps)では、バックミュージックと、南條愛乃のボーカルに音色的な透明感がある。打ち込みの様々な楽器とバスドラムの立ち上がりが良く、スピード感を求める楽曲との相性が良さを感じる。音のキャラクターはN40と近いが、違いは中低域。例えば、バスドラムの表現が重厚なN40に対して、N30は立ち上がりに優れている。

fripSide「Run into the light」

RADWIMPS「前々前世[movie ver.]」(FLAC 48kHz/24bit)では、こちらも一聴してスピード感ある音調。ボーカルはリアルで、距離感も遠すぎずバランスが良い。ギターやベースなど各楽器も明瞭に分離して、空間は広いが中心部が抜けていないことに感心する。ハイレゾ音源の良さがしっかりと出音に反映されている印象だ。

RADWIMPS「前々前世[movie ver.]」

オールドジャズの名盤、「ルー・ドナルドソン『Swing and Soul』 (192kHz/24bit FLAC)」では、一聴してサックスとピアノがリアルだ。1957年発売のアルバムながら、リマスターとハイレゾ化によって音質の上がったアルバムの良さをしっかりと表現する。オールドジャズ再生で必須のグルーヴ感やルー・ドナルドソンの吹くアルトサックスの色艶はN40に良さを感じるが、演奏のスピード感はN30もなかなか優れている。

ルー・ドナルドソン『Swing and Soul』

最後は、クラシックのピアノ協奏曲、「反田恭平『ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 』 (96kHz/24bit FLAC)」を聞く。マルチドライバーやハイブリッド型イヤホンの性能を図るには、ピアノを聴くと分かりやすい。88鍵のピアノの最低音は27.5Hz、最高域は4,186KHzと幅広く、ひとつの楽器として広い帯域を表現する。またハイレゾの場合は原理上可聴帯域以上の倍音成分もしっかりと記録されているので、このヘッドホンのように、ハイブリッド型かつ高域限界の高いイヤホンの試聴には最適な音源なのである。

反田恭平『ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 』

黎明期のハイブリッド型イヤホンは、高い音と低い音の音調に違いがあり、ひどい時は、まるで別の種類のピアノを演奏しているかのごとく聞こえてしまうことがあった。しかしN30はその音調や音色が揃っていて、ニュアンスに一貫性がある。これは2つのドライバーのセッティングがうまくいっていることを意味する。もちろんオーケストラ再生で大切な、情報量や音場の広がりも秀逸。N40との差異を書くなら、中低域の温度や密度感の違いにより、重厚さに違いが生じることである。


メカニカル・チューニング・フィルターも試す

音調を可変できるメカニカル・チューニング・フィルターも試してみた。2種類のフィルターを見比べると、網目の大きさが違う。ゴムパッキンの色も変えてあるので区別は容易だ。標準で装着されている、「REFERENCE」から「BASS BOOST」に付け替えて、先ほど聞いた音源を改めて再生した。基本となる音調は同様だが、バスドラムやベースなど低域の量が大きく増して、中高域の密度感も上がって聞こえる。トーンバランスとしてはリファレンスの方が正しいが、これを用いれば、製品を買い替えなくても好みの低域量で聞けるのは嬉しいところ。EDMなどとは相性が良さそうだ。またN30にはN40で付属していた「HIGH BOOST」が付属していないが、高域についてはスタンダードな状態でもかなり伸びているので、これ以上は必要ないと判断されたのかもしれない。

メカニカルチューニングフィルターは手でつけ外し可能。それぞれブラックとグレーのリングが付いているので見分けも容易



N30でまず感心したのが、これだけ小さなハウジングにハイブリッド型として2つのドライバーを搭載し、結果的に良好な音質を達成していることだ。本機の音はレンジが広く、高域の透明感や歯切れの良い低域を備えておりオーディオ的な性能が高い。そして極端にモニターライクというわけではなく、適度な響きも聞こえて、それが音楽的な楽しさにつながっている。

メーカーでは同シリーズで姉妹機を発売する場合、使用するパーツやチューニングを“あえて"変えて上位モデルとの音質的なグレードを表現することもある。しかしN30の場合は、音質のグレードを変えるというよりは、音のキャラクターを変えて違いを表現している。さらにN40の評価をフィードバックしたのでは?と思える、スピード感や低域の弾力感の良さを備えている。

N30はN40の単なる弟機としてではなく、しっかりとした個性を備えた魅力的な1台だ。どちらかのモデルの購入を考えている方は、是非2つのモデルを聞いて音の違いを楽しんで欲しい。

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