開発者インタビューも収録
マランツ「HD-AMP1」を聴く。最上位「PM-10」と並行して開発したDAC内蔵アンプ
マランツの新旗艦プリメイン「PM-10」が注目を集めているが、実はこのPM-10と平行して開発されたのが、DAC内蔵の小型プリメインアンプ「HD-AMP1」だ。同じHypex社のスイッチングアンプを採用した点でも「血を分けた」と言える本機の魅力を、角田郁雄氏が分析した。
■ヘッドホンからスピーカーへチャレンジする方に、ぜひ薦めたいアンプがある
このところ各地のオーディオ店のイベントやオーディオショウにて、熟練の愛好家に加えて、若い世代の姿を見かけることが増えた気がする。こうした方の中には、今まではヘッドホンでオーディオを楽しんできたが、これからは本格的にスピーカーを導入して良い音で楽しもうと考えている人も多いそうだ。こうした20代〜30代は、重厚長大なオーディオをはたしてどれほど求めているのだろうか。社会人になった若者たちが憧れるのは、シンプルでデザインの良い、高品位なオーディオ機器なのではないだろうか。
こうした方々にお薦めしたいのが、マランツのUSB-DAC内蔵プリメインアンプ「HD-AMP1」だ。サイズは小さいが出力は35W/8Ω、70W/4Ωあり、スリムな3ウェイ・フロア型スピーカーくらいなら軽々と鳴らせる。10〜15万円クラスのプリメインアンプを望む方にぜひ聴いて欲しいし、候補になることだろう。
HD-AMP1の大きな特徴となっているのは、マランツの新しい最上位アンプ「PM-10」も採用する、オランダ Hypex社のスイッチングアンプ・モジュールを搭載したことだ(アンプのモデルはPM-10とは異なる)。私はPM-10を高く評価しているが、このコンパクトなアンプはマランツの新しい旗艦モデルと開発を共にしたのである。
詳しくは後述するが、HD-AMP1の音質は柔らかみがあり、アナログレコードのような格別に豊かな倍音を発する。その一方で、立ち上がりが俊敏であることも魅力だ。直熱三極管「300B」を想起させる透明度の高い響きを聴かせてくれ、マランツが目指す空間再現性を見事に披露してくれる。
この価格帯では考えられない豊富な機能と先進的な技術を備えることも特筆したい。スタジオサウンドを創出する英B&Wの2ウェイ・ブックシェルフ型スピーカー「CM6 S2」を本機に並べて、ユニボディのMac Book AirをUSBケーブルでつなげれば、シンプルで様になるハイレゾ・プレイバックシステムが完結する。
CDのコレクションを楽しみたいなら、同じデザインのCDプレーヤー「HD-CD1」や価格の近いSACDプレーヤー「SA8005」を選びたい。洗練された意匠ゆえに、きっと部屋でも絵になることだろう。
■現代的な使い勝手を配慮した機能の充実。11.2MHz DSDにも対応
HD-AMP1は美しい木目調のサイドパネルが印象的で、シルバーゴールドのボディも堅牢かつ品位が高い。入力はパソコンを接続するUSB-B端子、USBメモリーやiPhoneなどをつなぐUSB-A端子、そのほか同軸デジタルを1系統、光デジタルを2系統装備する。
しかもハイレゾ再生では、384kHz/32bit PCMと11.2MHz DSDなど現時点での最高スペックに対応する。RCAのアナログ入力も2系統装備するので、CDプレーヤーはもちろん、フォノイコライザーを組み合わせればレコードプレーヤーも接続できる。
スルーレートの高いオペアンプと同社お家芸のディスクリート構成HDAM-SA2バッファーアンプを組み合わせた、制動力が高いヘッドホンアンプも備える。サブウーファー用のアナログライン出力も備えるのでテレビとの組み合わせも念頭に入る。実に使いがいのある内容だ。
■マランツで初めてESS製DACを搭載。デジタル基板も充実
惜しみなく投入された技術にもぜひ注目してほしい。内部を見ると、アナログとデジタル回路を分離した見事な基板コンストラクションが確認できる。USBと同軸/光のデジタル入力を備えたデジタル処理部は独立していて、USBレシーバーにはX-MOSを採用する。ここで処理されたデジタル信号はD/A変換を含めたアナログ基盤へ接続されるが、その際にデジタルノイズ混入を防ぐべく、4素子・7回路の高速アイソレーターで構成した「デジタル・アイソレーション・システム」を用意。この技術もマランツがHi-Fiコンポーネントで培ってきたものだ。
■ヘッドホンからスピーカーへチャレンジする方に、ぜひ薦めたいアンプがある
このところ各地のオーディオ店のイベントやオーディオショウにて、熟練の愛好家に加えて、若い世代の姿を見かけることが増えた気がする。こうした方の中には、今まではヘッドホンでオーディオを楽しんできたが、これからは本格的にスピーカーを導入して良い音で楽しもうと考えている人も多いそうだ。こうした20代〜30代は、重厚長大なオーディオをはたしてどれほど求めているのだろうか。社会人になった若者たちが憧れるのは、シンプルでデザインの良い、高品位なオーディオ機器なのではないだろうか。
こうした方々にお薦めしたいのが、マランツのUSB-DAC内蔵プリメインアンプ「HD-AMP1」だ。サイズは小さいが出力は35W/8Ω、70W/4Ωあり、スリムな3ウェイ・フロア型スピーカーくらいなら軽々と鳴らせる。10〜15万円クラスのプリメインアンプを望む方にぜひ聴いて欲しいし、候補になることだろう。
HD-AMP1の大きな特徴となっているのは、マランツの新しい最上位アンプ「PM-10」も採用する、オランダ Hypex社のスイッチングアンプ・モジュールを搭載したことだ(アンプのモデルはPM-10とは異なる)。私はPM-10を高く評価しているが、このコンパクトなアンプはマランツの新しい旗艦モデルと開発を共にしたのである。
詳しくは後述するが、HD-AMP1の音質は柔らかみがあり、アナログレコードのような格別に豊かな倍音を発する。その一方で、立ち上がりが俊敏であることも魅力だ。直熱三極管「300B」を想起させる透明度の高い響きを聴かせてくれ、マランツが目指す空間再現性を見事に披露してくれる。
この価格帯では考えられない豊富な機能と先進的な技術を備えることも特筆したい。スタジオサウンドを創出する英B&Wの2ウェイ・ブックシェルフ型スピーカー「CM6 S2」を本機に並べて、ユニボディのMac Book AirをUSBケーブルでつなげれば、シンプルで様になるハイレゾ・プレイバックシステムが完結する。
CDのコレクションを楽しみたいなら、同じデザインのCDプレーヤー「HD-CD1」や価格の近いSACDプレーヤー「SA8005」を選びたい。洗練された意匠ゆえに、きっと部屋でも絵になることだろう。
■現代的な使い勝手を配慮した機能の充実。11.2MHz DSDにも対応
HD-AMP1は美しい木目調のサイドパネルが印象的で、シルバーゴールドのボディも堅牢かつ品位が高い。入力はパソコンを接続するUSB-B端子、USBメモリーやiPhoneなどをつなぐUSB-A端子、そのほか同軸デジタルを1系統、光デジタルを2系統装備する。
しかもハイレゾ再生では、384kHz/32bit PCMと11.2MHz DSDなど現時点での最高スペックに対応する。RCAのアナログ入力も2系統装備するので、CDプレーヤーはもちろん、フォノイコライザーを組み合わせればレコードプレーヤーも接続できる。
スルーレートの高いオペアンプと同社お家芸のディスクリート構成HDAM-SA2バッファーアンプを組み合わせた、制動力が高いヘッドホンアンプも備える。サブウーファー用のアナログライン出力も備えるのでテレビとの組み合わせも念頭に入る。実に使いがいのある内容だ。
■マランツで初めてESS製DACを搭載。デジタル基板も充実
惜しみなく投入された技術にもぜひ注目してほしい。内部を見ると、アナログとデジタル回路を分離した見事な基板コンストラクションが確認できる。USBと同軸/光のデジタル入力を備えたデジタル処理部は独立していて、USBレシーバーにはX-MOSを採用する。ここで処理されたデジタル信号はD/A変換を含めたアナログ基盤へ接続されるが、その際にデジタルノイズ混入を防ぐべく、4素子・7回路の高速アイソレーターで構成した「デジタル・アイソレーション・システム」を用意。この技術もマランツがHi-Fiコンポーネントで培ってきたものだ。
次ページフルサイズ級のアナログ・プリとHypexパワーアンプを備える