11月1日に発売
結局iPhoneとどっちが良い? 買い換えはアリ? Google純正スマホ「Pixel 3」実力チェック
最近はアナログイヤホン端子非搭載の端末が増えており、このトレンドは止められそうにない。Pixel 3シリーズはどちらのモデルもアナログイヤホン端子を搭載しておらず、イヤホンはUSB Type-Cのデジタル接続だ。端末に搭載するDACは48kHz/24bitまでの再生に対応する。
パッケージにはUSB Type-C接続の「Pixel USB-Cイヤホン」が付属。見た目にはアップルのEarPodsにも似ていて、構造もおそらく同じ半密閉タイプだ。インラインにマイク付きリモコンが乗っている。
EarPodsのようにイヤーピースなしで使うのが基本だが、外耳のくぼみにひっかけるスタビライザーが一体成型になっているので、耳元の安定感は高い。スタビライザーはイヤホンケーブルそのものの長さを調節し、円弧の大きさが変えられる。つまり外耳のくぼみ形状に合わせてフィット感を調節できるのだ。
静かなところでリスニングを試してみると、素直な音のバランスと、とくにきめ細かい中高域の描写力を備えている。悪くないイヤホンだ。ところが半密閉型なので、地下鉄の中などで使うとよく聞こえなくなる。代わりに街を歩く時など、外音にも気を配りながら音楽を聴きたいときにはぴったりだ。乗り物での移動を想定し、カナル型のワイヤレスイヤホンや、あるいはシュアのType-C対応リケーブル「RMCE-USB」とイヤホン「SEシリーズ」の組み合わせなど、遮音性の高いイヤホンも一緒に持ち歩くのがいいと思う。
Android 9.0を搭載しているスマホなので、BluetoothのオーディオコーデックはLDACやaptX HDにも対応している可能性がある。設定から詳細パネルを開き、開発者向けオプションのBluetoothオーディオコーデックを参照すると、LDAC/aptX HDやaptX/AACをもれなくサポートしていた。
CPUにクアルコムのSnapdragon 845シリーズを搭載しているので、将来的には、完全ワイヤレスイヤホンの接続性やバッテリーのスタミナを向上させるための新技術「Qualcomm TWS Plus」(関連ニュース)にもアップデートで対応する可能性がある。Bluetoothワイヤレスイヤホンを簡単にペアリングするためのグーグル独自技術「Fast Pair」も、対応するブランドや製品が拡大しているようだ。
内蔵スピーカーの音質についても触れておこう。ふたたび『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』を家の中で試聴した。iPhone Xに比べて、中低域が緩くて締まらない。スマホを手に持ってみると筐体そのものが響き、余計な鳴きが発生しているようだ。映画やドラマはダイアローグがやや聞き取りづらい。本体を横に構えたときは、左右のスピーカーの開口部がフロントを向いているので、セリフの聞こえ方は悪くないが、バランスが本体を縦に持った時に下側に来るスピーカーの方に偏っているようにも思う。改善方法としては、先述の専用充電スタンド「Pixel Stand」などのしっかりとしたスタンドに設置すると、映画やドラマのセリフがより引き締まった。
■付属のアダプターで簡単に “お引越し”
最後にiPhoneから、あるいはAndroidスマホからデータを簡単に “お引越し” する方法をお知らせしておこう。なおこの作業は、キャリアで端末を機種変更する場合は作法が異なると思うので、あくまでSIMフリー端末同士で乗り換える場合の参考にしてほしい。
データの引越しは、パッケージに付属するアダプターと、デジタルケーブルを使って有線でやるのが一番シンプルで速いのでおすすめだ。iPhoneで愛用しているアプリがAndroidにもあれば、自動的に探してインストールしてくれる。
アプリのアカウント設定やログインは手動設定が必要だが、電話帳やメール/メッセージも移行してくれるから、通信端末としてすぐに使用を再開できるのがうれしい。
以上、今回Pixel 3シリーズをハンドリングした手応えを総括すると、カメラとディスプレイは完成度が高く、大いに満足できた。オーディオはワイヤレスオーディオ系の機能にアップデート待ちのハイライトがいくつかあるので、また機会があればあらためて評価したい。
スリムな本体デザインは悪くないと筆者は感じたが、ブラックモデルはカバンの中に入れ、水濡れなどに気をつけながら使っていたのにもかかわらず、背面の塗装にムラが現れてきた。やはりケースに入れて使う方が良いかもしれない。
Pixel 3シリーズは、Androidの最新バージョンが提供する新機能やサービスをタイムリーに追いかけたいマニアックなユーザーにぴったりのスマートフォンだ。NTTドコモとソフトバンクからも発売される端末だが、もし筆者が購入するならSIMフリー端末を選び、MVNOのデータSIMでサブ機的な使い方をするだろう。
Androidはユーザーインターフェースが端末によって異なるため、好みは人それぞれになってしまうが、同じAndroidスマホ同士で“親しみやすさ”を基準に比較するなら、XperiaやGalaxy、Huaweiなどの端末とも比べてから、自分に合うものを選ぶことをおすすめしたい。
(山本敦)