利用方法も紹介!
「DSD配信」利用のススメ − より生音に近いハイクオリティな音に触れてみよう
山之内正が語る「わたしのDSD配信の楽しみ方」
高音質音源ならではのクオリティを堪能するためには、余分な下位変換を避け、マスターと同じ方式で聴くことが最善の方法だ。PCMの場合は、サンプリング周波数やビット数の変換を行わず、元信号と同じ情報量を確保して配信する例が増えており、その恩恵は計り知れない。一方、SACDが採用しているDSD方式の音源はディスクが唯一の再生手段で、配信への対応が待たれていた。
そんななか、待望のDSD配信が昨年後半からe-onkyo musicなど複数のサイトでスタートし、DSDレコーダー以外にパソコン、DSDディスク対応プレーヤー、PS3など再生方法の選択肢が増えてきた。これは音楽ファンにとって歓迎すべき変化である。
録音やマスタリングの現場でDSD方式を選ぶ例が少なくないのは、PCMでは置き換えられない音質メリットが存在することに理由がある。PCM方式の特徴は明瞭さや力強さにあり、DSD方式の長所は質感や空気感の豊かさにあると言われるが、それ以外にもアナログ録音に近い生々しさやなめらかな音色など、DSDならではの魅力はたくさんある。
私はコンパクトなDSDレコーダー「MR-2」を所有しており、楽器演奏の録音にPCMレコーダーとともに愛用しているが、これもDSDの音の良さを手軽に味わう方法の一つだ。楽器の種類や演奏会場の響きによってDSDとPCMを使い分ける楽しみがあり、録音の奥の深さを味わうことができる。MR-2はDSDデータをそのまま再生できるため、e-onkyo musicなどから購入したDSD音源をヘッドホンなどで手軽に聴く用途にも便利に使える。
私が実践しているDSDデータのもう一つの再生方法は、コルグのオーディオフォーマット変換ソフト「AudioGate」を使って96kHz/24bitなどのハイサンプリングwavファイルに変換し、NASにコピーしてリンのDSで再生するという方法だ。同じPCMでもデータ量に余裕のあるフォーマットに変換することが肝心な点で、それによってDSDの音の良さを存分に引き出すことができる。この方法は、ダウンロードからDSによる再生まで光学ディスクが介在しないので、音の純度をしっかりキープできるのだ。DSD音源のメリットを引き出す楽しみ方がここまで多様になったのは素晴らしいことだと思う。