ソニーは、新設計のフルデジタルアンプS-Master HXを搭載し、バランス接続やDSD 11.2MHzネイティブ再生にも対応する“Walkman”の新フラグシップモデル「WM1シリーズ」を国内発表。無酸素銅金メッキシャーシの「NW-WM1Z」と、アルミ削り出しシャーシの「NW-WM1A」を10月29日に発売する。

・NW-WM1Z　￥OPEN（予想実売価格30万円前後）
・NW-WM1A　￥OPEN（予想実売価格12万円前後）

IFA2016で海外発表された新フラグシップウォークマンの国内投入が明らかになった格好（関連ニュース）。内蔵メモリー容量（WM1Zは256GB、WM1Aは128GB）、およびシャーシ素材や搭載パーツなどが両モデルで異なっており、対応する音楽ファイルや機能は共通している。両機の違いの詳細は後述する。

同社は、「WM1Aは、これまでのフラグシップであるZX2以上の音質向上を目指し厳選パーツを使用。WM1Zは、さらにアコースティックな再現力を高める高品位のパーツを採用した」と説明している。なお同じくIFAで展示されていたウォークマン「A35」については、今回は何も発表されていない。

■妥協なき品質の“シグネチャーシリーズ”ウォークマン

フルデジタルアンプ「S-Master HX」を今回のWM1シリーズ用に刷新。新開発した「CXD3778GF」を搭載し、これによりバランス出力への対応、11.2MHz DSDネイティブ再生（バランス接続時のみ）などを実現させた。なおPCMのハイレゾ音源は384kHz/32bit（float/integer）まで対応している。また、BluetoothはLDACにも対応している。

バランス時で250mW＋250mW、アンバランス時で60mW＋60mW（ともに16Ω）という高出力対応を実現。従来比約4倍の高出力を実現することで、同社「MDR-Z7」をはじめとする高インピーダンスヘッドホンも、ポータブルヘッドホンアンプなしで充分にドライブできるようにした。

バランス接続用の端子に、JEITAが新たに策定した4.4mm 5極プラグ（関連ニュース）をいち早く採用した点も特徴。高耐久・高品位なプラグを設計しやすく、また、適度な力でジャックに抜き挿ししやすいという同規格のメリットを活かせるとしている。

なお、4.4mmバランス端子を採用する製品として同社は、ヘッドホン「MDR-Z1R」と据え置きヘッドホンアンプ「TA-ZH1ES」を同時発表。この2製品とウォークマンWM1シリーズとを、「ヘッドホンによる音楽体験を究極にまで洗練させ、“聴く”を“感じる”領域にまで革新するフラグシップ」「妥協のないクオリティの証に、エンジニアたちが“サイン”した」などといった意味を込めて「Signature Series（シグネチャーシリーズ）」と位置づけている。

また、USB端子からDSDのデジタル出力も可能。DSD 11.2MHz RAWおよびDSD 5.6MHz DoP出力ができるようになった。上記の据え置きアンプ「TA-ZH1ES」や既発売のポタアン「PHA-1A」では専用ケーブルで接続可能なほか、同社製のWalkman用ケーブル「WMC-NWH10」や「BCR-NWH10」でソニー製のUSB-DAC機能搭載アンプにデジタル出力できる。

■アナログアンプに近い充分な低音感が得られる「DCフェーズリニアライザー」

音質面では、「DCフェーズリニアライザー」を搭載。アナログ方式のパワーアンプと同じ位相特性を独自の音響処理技術によって再現することで、デジタルアンプでありながらアナログアンプに近い、充分な低音感が得られるという。なお本機能は6パターンから選択できる。