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公開日 2018/01/09 16:30
4Kも8Kも高画質化
<CES>ソニーの“次世代画質”を一足先に体験。新プロセッサー「X1 Ultimate」が創る問答無用の高画質
編集部:風間雄介
ソニーが今回のCES 2018で発表した新型テレビは、少なくとも画質面においては、AVファンにとって少々期待外れだったかもしれない。これまでのモデルからアップデートされている部分がほとんど無いからだ。
だがソニーは、そんな声を一発で黙らせるほどの、“問答無用” の高画質映像を、同社ブースで見せてくれた。同社が現在開発を進めている、次世代映像プロセッサー「X1 Ultimate」のデモである。
現行の有機ELテレビなどに搭載されている映像プロセッサーは「X1 Extreme」という名称だ。このプロセッサーは、2016年に登場した、Backlight Master Drive搭載のフラグシップ液晶テレビ「Z9D」で初搭載したものである。今もバリバリの現役で、今回発表した新有機ELテレビ「A8F」シリーズにも搭載されている。
次世代プロセッサーで名前が“Extreme”から“Ultimate”になり、リアルタイム映像処理能力が2倍になる。では、その処理能力が具体的にどの程度かというと、数値は非公表なのだという。
ソニービジュアルプロダクツ(株)技術戦略室 の小倉敏行氏は「(処理能力を表す数値は)とんでもない数字です。公表したら良いのにとも少し思いますが、数字競争になってしまうと意味が変わってきてしまうので…。当社はあくまで、それで実現した、実際の映像を見てください、というスタンスです」と説明する。
処理能力が2倍になり、それを活用するとどんな映像が見られるのか。同社ブースに大きめのデモコーナーが設けられている。
デモコーナーでは、上に「X1 Ultimate」、下に現行の「X1 Extreme」を使って映像処理した映像を表示。同じソースで見比べることができる。4Kの有機ELパネル同士、同じく4Kの液晶パネル同士で比較できる。
仔細に眺めなくても、少し遠目からパッと見て「明らかに違う」と感じるほど、X1 Ultimateで処理した映像の方が高画質に感じる。いままで十分美しく感じていたX1 Extremeの映像が色あせて感じられるほどだ。解像感がグッと上がり、モノとモノの位置関係が掴みやすくなる。結果的に映像全体の立体感が格段に上がり、のっぺりした感じが薄れ、メリハリの利いた映像になる。
実際にどういったことを行っているのか。ソニービジュアルプロダクツ(株)企画マーケティング部門 部門長の長尾和芳氏は、4K映像入力時に「オブジェクトベースのデータベース型コントラスト処理」「オブジェクトベースのデータベース型超解像処理」の2つを同時に行えるようになったことが大きいと指摘する。
「X1 Extremeでは、オブジェクトベースのコントラスト処理は行っていましたが、超解像処理についてはオブジェクトベースではなく、処理能力の?合で、ある程度の分割されたエリアごとに行っていました。これに対してX1 Ultimateでは、超解像処理についてもオブジェクト単位で判定し、たとえば『これは岩肌』『これは果物』といったように、データベースと照合します。その結果をもとに超解像処理を行うため、より高精度な超解像処理が行えるということになります」。
さらにオブジェクトベースのコントラスト処理についても、X1 Extremeではより細かな処理が行えるようになったという。これがHDRリマスター処理にも効果を発揮する。では、以下に実際の映像を見てもらおう。JPEG圧縮時の画質損失があるが、雰囲気は掴んでもらえると思う。
さて、「X1 Ultimate」は4K映像の処理にとどまらない。8K/HDRのフルスペック映像の処理にも対応する。
デモでは、85型の8K液晶ディスプレイ試作機を展示していた。このディスプレイは、HDRの上限である10,000nitの超高輝度映像を表示できるという、凄まじい性能を誇る。バックライトはBacklight Master Driveではないが、それに近い直下型のものを搭載しているという。
前述の長尾氏いわく、「10,000nitのディスプレイともなると、しっかりバックライトを制御して映像の輝度調整を行わないと、すぐに映像が破綻してしまいます。これを処理できるのもX1 Ultimateの性能の高さゆえです」と説明する。
実際に見てみる。画面から発せられた太陽の光が記者の目に向かってくると、本当に屋外で太陽光を浴びたときのような、体全体で光を受けているような感覚が得られた。かといって、眩しすぎて目が痛いということもない。巧みに輝度調整が行われた結果だろう。
またX1 Ultimateの性能があれば、8K映像のリアルタイム超解像処理を行ったり、8Kにアップコンバートされた映像をさらに高画質化する、といったことも行える。実際に8Kディスプレイで表示された映像は、元のソースがネイティブ8Kのものもあれば、4Kからアップコンして8Kで送出したものもあるという。
なお、この8K/10,000nitのディスプレイの横には、比較用に75インチのZ9Dが置かれていた。Z9Dといえば、その画質の高さで話題を集めたモデルだが、横に並べると、比較にならないほど8K/10,000nitディスプレイの画質の良さが際立っている。
X1 Ultimateを使った高画質化処理は、長尾氏によるとまだ開発途中とのこと。これからさらに画質を上げていくというから、期待が高まる。
気になるのは、この「X1 Ultimate」を搭載したテレビがいつ登場するのかということだ。今回はあくまで技術デモとの位置づけで、すぐには登場しない可能性が高いが、長尾氏は「当然ながら商品化に向けて開発している」と明言。近い将来、この映像を家庭で楽しめるようになるのが楽しみだ。
だがソニーは、そんな声を一発で黙らせるほどの、“問答無用” の高画質映像を、同社ブースで見せてくれた。同社が現在開発を進めている、次世代映像プロセッサー「X1 Ultimate」のデモである。
現行の有機ELテレビなどに搭載されている映像プロセッサーは「X1 Extreme」という名称だ。このプロセッサーは、2016年に登場した、Backlight Master Drive搭載のフラグシップ液晶テレビ「Z9D」で初搭載したものである。今もバリバリの現役で、今回発表した新有機ELテレビ「A8F」シリーズにも搭載されている。
次世代プロセッサーで名前が“Extreme”から“Ultimate”になり、リアルタイム映像処理能力が2倍になる。では、その処理能力が具体的にどの程度かというと、数値は非公表なのだという。
ソニービジュアルプロダクツ(株)技術戦略室 の小倉敏行氏は「(処理能力を表す数値は)とんでもない数字です。公表したら良いのにとも少し思いますが、数字競争になってしまうと意味が変わってきてしまうので…。当社はあくまで、それで実現した、実際の映像を見てください、というスタンスです」と説明する。
処理能力が2倍になり、それを活用するとどんな映像が見られるのか。同社ブースに大きめのデモコーナーが設けられている。
デモコーナーでは、上に「X1 Ultimate」、下に現行の「X1 Extreme」を使って映像処理した映像を表示。同じソースで見比べることができる。4Kの有機ELパネル同士、同じく4Kの液晶パネル同士で比較できる。
仔細に眺めなくても、少し遠目からパッと見て「明らかに違う」と感じるほど、X1 Ultimateで処理した映像の方が高画質に感じる。いままで十分美しく感じていたX1 Extremeの映像が色あせて感じられるほどだ。解像感がグッと上がり、モノとモノの位置関係が掴みやすくなる。結果的に映像全体の立体感が格段に上がり、のっぺりした感じが薄れ、メリハリの利いた映像になる。
実際にどういったことを行っているのか。ソニービジュアルプロダクツ(株)企画マーケティング部門 部門長の長尾和芳氏は、4K映像入力時に「オブジェクトベースのデータベース型コントラスト処理」「オブジェクトベースのデータベース型超解像処理」の2つを同時に行えるようになったことが大きいと指摘する。
「X1 Extremeでは、オブジェクトベースのコントラスト処理は行っていましたが、超解像処理についてはオブジェクトベースではなく、処理能力の?合で、ある程度の分割されたエリアごとに行っていました。これに対してX1 Ultimateでは、超解像処理についてもオブジェクト単位で判定し、たとえば『これは岩肌』『これは果物』といったように、データベースと照合します。その結果をもとに超解像処理を行うため、より高精度な超解像処理が行えるということになります」。
さらにオブジェクトベースのコントラスト処理についても、X1 Extremeではより細かな処理が行えるようになったという。これがHDRリマスター処理にも効果を発揮する。では、以下に実際の映像を見てもらおう。JPEG圧縮時の画質損失があるが、雰囲気は掴んでもらえると思う。
さて、「X1 Ultimate」は4K映像の処理にとどまらない。8K/HDRのフルスペック映像の処理にも対応する。
デモでは、85型の8K液晶ディスプレイ試作機を展示していた。このディスプレイは、HDRの上限である10,000nitの超高輝度映像を表示できるという、凄まじい性能を誇る。バックライトはBacklight Master Driveではないが、それに近い直下型のものを搭載しているという。
前述の長尾氏いわく、「10,000nitのディスプレイともなると、しっかりバックライトを制御して映像の輝度調整を行わないと、すぐに映像が破綻してしまいます。これを処理できるのもX1 Ultimateの性能の高さゆえです」と説明する。
実際に見てみる。画面から発せられた太陽の光が記者の目に向かってくると、本当に屋外で太陽光を浴びたときのような、体全体で光を受けているような感覚が得られた。かといって、眩しすぎて目が痛いということもない。巧みに輝度調整が行われた結果だろう。
またX1 Ultimateの性能があれば、8K映像のリアルタイム超解像処理を行ったり、8Kにアップコンバートされた映像をさらに高画質化する、といったことも行える。実際に8Kディスプレイで表示された映像は、元のソースがネイティブ8Kのものもあれば、4Kからアップコンして8Kで送出したものもあるという。
なお、この8K/10,000nitのディスプレイの横には、比較用に75インチのZ9Dが置かれていた。Z9Dといえば、その画質の高さで話題を集めたモデルだが、横に並べると、比較にならないほど8K/10,000nitディスプレイの画質の良さが際立っている。
X1 Ultimateを使った高画質化処理は、長尾氏によるとまだ開発途中とのこと。これからさらに画質を上げていくというから、期待が高まる。
気になるのは、この「X1 Ultimate」を搭載したテレビがいつ登場するのかということだ。今回はあくまで技術デモとの位置づけで、すぐには登場しない可能性が高いが、長尾氏は「当然ながら商品化に向けて開発している」と明言。近い将来、この映像を家庭で楽しめるようになるのが楽しみだ。