PRスムーズな操作性と昔ながらの音質を両立
Shanlingが魅せる“真空管の温かみ”と“デジタル”の融合! ハイエンドDAP「M8T」レビュー
真空管は、振動への弱さなど諸々の面から、本来ポータブルオーディオに向かない増幅素子だ。しかしだからこそ、あえて真空管を搭載するアイテムはいつの時代も常に特別な魅力を放ってきた。そして昨今においては、現代的な機能や性能と伝統的な真空管アンプの理想的な一体化を成し遂げた、実用とロマンを高度に兼ね備えるアンプやDAPも続々と登場しつつある。Shanling「M8T」もまさにそれだ。
真空管搭載DAPは同社初。しかし同社は近年、ポータブル分野での活躍が目立っているが、そもそもは真空管アンプも含む据え置きオーディオで地位を確立したブランド。その両分野の技術や知見が存分に投入されているであろう真空管アンプ搭載DAPとなれば期待せずにはいられないはず。その内容、そしてサウンドを紹介していこう。
まず真空管アンプ以外の部分については、「DAP分野のトップランナーであるShanlingの2025年時点最新世代の構成」だ。最新ハイエンド機に求められる全てが揃っている。
DAC回路にはAKMチップによる最新セパレート構成を採用し、アナログDAC処理を行う「AK4499EX」を2基、前段のデジタル処理を行う「AK4191EQ」も2基搭載。2023年に999台限定で販売されたハイエンドモデル「M9 Plus」の4基+2基から基数は減少。しかし両チップを2対1ではなく1対1の組に揃えて処理することでの精度向上もあるとのことで、単なるダウングレードにはなっていない。
DACからの電流出力を電圧出力に変換するI/V変換回路はADI製オペアンプ「ADA45253」を用いた自社開発回路で、M9 Plusとおおよそ同じ仕様。
DAPとしての動作の快適性に直結するSoCも、M9 Plusと同じくQualcomm「Snapdragon 665」を搭載。RAM容量は8GBから6GBに減っているが、音楽再生機としては十分な容量だ。
システムがM9 PlusのAndroid 10からAndroid 13へと変更されているのは後発機の優位。もちろんシステムレベルでのサンプルレート変換を回避する技術も搭載し、様々なアプリ、配信サービスでのフルスペックハイレゾ再生をサポートする。
ヘッドホン出力は3.5mmシングルエンド/4.4mmバランスの2系統。バランス接続では最大1125mW(@32Ω)の出力を実現している。そのほか、バッテリー性能はシングルエンド出力最大15.5時間、バランス出力最大13時間。BluetoothはLDAC含め送受信対応。DLNA、AirPlayにも対応。
筐体はアルミ削り出しで、同社伝統の「トラディショナルウェーブデザイン」が特徴。であるが、外観においても何より目を引くのは、メッシュを透して見せつけられる、2本のRaytheon(レイセオン)製「JAN6418」ミニチュア真空管だろう。
軍用携帯機器で使用されていた種類の管であり、真空管としては小型、低電圧、低発熱。それを独自の耐衝撃構造を用いてマウントすることで、本機はポータブルオーディオとしての実用性を確保している。筐体は冬の室内で「心地よい温かさ」と感じるほどの熱を持つが、その程度の発熱はハイエンドDAPなら真空管の有無に関係なくある話だ。
ではいよいよ真空管搭載アンプ周り、そしてサウンドについてだ。
本機のヘッドホンアンプ回路は、JAN6418ミニチュア五極管による真空管アンプと、ADI「AD8397」オペアンプによるトランジスタアンプを組み合わせた構成。それを、五極管をあえて三極管的に動作させることで独特な音の感触を得る「トライオード」動作モード、五極管本来の高効率と三極感的な音の感触の中間を狙う「ウルトラリニア」動作モード、真空管回路をバイパスする「トランジスタアンプ」モードと切り替え可能で、各動作ごとの音の違いを楽しめる。
試聴は4.4mmバランス駆動、同ブランドのDD/BA/ESTハイブリッドイヤホン「Majestic(ME1000)」との組み合わせにて行った。対向配置デュアルダイナミックドライバーによる充実の低域、EST=静電型ドライバーらしさをあえて強調しない自然な質感表現などがイヤホン側の持ち味となる。
真空管搭載DAPは同社初。しかし同社は近年、ポータブル分野での活躍が目立っているが、そもそもは真空管アンプも含む据え置きオーディオで地位を確立したブランド。その両分野の技術や知見が存分に投入されているであろう真空管アンプ搭載DAPとなれば期待せずにはいられないはず。その内容、そしてサウンドを紹介していこう。
■Shanlingの先端デジタル技術と真空管設計が融合
まず真空管アンプ以外の部分については、「DAP分野のトップランナーであるShanlingの2025年時点最新世代の構成」だ。最新ハイエンド機に求められる全てが揃っている。
DAC回路にはAKMチップによる最新セパレート構成を採用し、アナログDAC処理を行う「AK4499EX」を2基、前段のデジタル処理を行う「AK4191EQ」も2基搭載。2023年に999台限定で販売されたハイエンドモデル「M9 Plus」の4基+2基から基数は減少。しかし両チップを2対1ではなく1対1の組に揃えて処理することでの精度向上もあるとのことで、単なるダウングレードにはなっていない。
DACからの電流出力を電圧出力に変換するI/V変換回路はADI製オペアンプ「ADA45253」を用いた自社開発回路で、M9 Plusとおおよそ同じ仕様。
DAPとしての動作の快適性に直結するSoCも、M9 Plusと同じくQualcomm「Snapdragon 665」を搭載。RAM容量は8GBから6GBに減っているが、音楽再生機としては十分な容量だ。
システムがM9 PlusのAndroid 10からAndroid 13へと変更されているのは後発機の優位。もちろんシステムレベルでのサンプルレート変換を回避する技術も搭載し、様々なアプリ、配信サービスでのフルスペックハイレゾ再生をサポートする。
ヘッドホン出力は3.5mmシングルエンド/4.4mmバランスの2系統。バランス接続では最大1125mW(@32Ω)の出力を実現している。そのほか、バッテリー性能はシングルエンド出力最大15.5時間、バランス出力最大13時間。BluetoothはLDAC含め送受信対応。DLNA、AirPlayにも対応。
筐体はアルミ削り出しで、同社伝統の「トラディショナルウェーブデザイン」が特徴。であるが、外観においても何より目を引くのは、メッシュを透して見せつけられる、2本のRaytheon(レイセオン)製「JAN6418」ミニチュア真空管だろう。
軍用携帯機器で使用されていた種類の管であり、真空管としては小型、低電圧、低発熱。それを独自の耐衝撃構造を用いてマウントすることで、本機はポータブルオーディオとしての実用性を確保している。筐体は冬の室内で「心地よい温かさ」と感じるほどの熱を持つが、その程度の発熱はハイエンドDAPなら真空管の有無に関係なくある話だ。
■3つのアンプモードが楽曲ごとの魅力を存分に引き出す
ではいよいよ真空管搭載アンプ周り、そしてサウンドについてだ。
本機のヘッドホンアンプ回路は、JAN6418ミニチュア五極管による真空管アンプと、ADI「AD8397」オペアンプによるトランジスタアンプを組み合わせた構成。それを、五極管をあえて三極管的に動作させることで独特な音の感触を得る「トライオード」動作モード、五極管本来の高効率と三極感的な音の感触の中間を狙う「ウルトラリニア」動作モード、真空管回路をバイパスする「トランジスタアンプ」モードと切り替え可能で、各動作ごとの音の違いを楽しめる。
試聴は4.4mmバランス駆動、同ブランドのDD/BA/ESTハイブリッドイヤホン「Majestic(ME1000)」との組み合わせにて行った。対向配置デュアルダイナミックドライバーによる充実の低域、EST=静電型ドライバーらしさをあえて強調しない自然な質感表現などがイヤホン側の持ち味となる。