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公開日 2023/04/18 06:50
【連載】西田宗千佳のネクストゲート 第35回
“密かに熱い”コンパクトゲーミングPC。高スペックな「ONEXPLAYER 2」を買ってみた
西田宗千佳
コンパクトなゲーミングPCは、もはや珍しい存在でもなくなってきた。以前本連載でも取り上げた「Steam Deck」も、OSこそWindowsではないが、PCアーキテクチャを活用したコンパクトゲーミング機器といえる。
今回は、そんなジャンルの新製品を紹介する。One-Netbook Technologyの「ONEXPLAYER 2」(日本発売元:テックワン、直販価格15万7700円から)だ。かなりギミックの多い製品だが、その特徴を見ていこう。
前述のように、小型のゲーミングPCは急速に増えている。理由は、SoC内蔵のGPU性能が上がってきたことにある。PCでゲームをするなら、いまでもいわゆる「外付け(ディスクリート)GPU」があった方が良いが、PCゲームの事情も色々変わってきた。
バトルロワイヤルタイプのネットゲームが増え、無料で気軽にプレイしたい人々は増えている。また、Steamなどのゲーム配信プラットフォームでは、AAAタイプのGPUに高い負荷をかけるゲーム「以外」の作品もどんどん増えている。
そこにPC用のSoCを作る各社、具体的にはインテルとAMDが内蔵GPUの強化を図ってきたので、「ポータブルゲーム機的なPC」を作りやすくなってきた。そもそもサイズが小さければ、画面の解像度を無理に上げる必要はなく、PCと比べると処理負荷に余裕も生まれる。
とはいえ、スマートフォンやNintendo Switch(SoCのアーキテクチャ的にはスマホに近い)ほどにバッテリーを長持ちさせたり、軽くしたり、ファンレスで作ったりするのはまだ無理がある。だが、PCゲーム市場の拡大により「場所にとらわれずゲームがしたい」というニーズは拡大している。なにより、デジタルガジェットとして進化軸がまだ大きいため、興味があって買う人も多い。マス向けに数百万台売るような世界ではないが、十分「密かに熱い」ジャンルなのである。
では、そんな熱いジャンルに飛び込んできた「ONEXPLAYER 2」はどんなPCなのだろうか? 最大の特徴は、いわゆる2-in-1型のPCでありつつ、コントローラーを左右につけてポータブルゲーム機的に使える、というところだ。筆者が購入した初期出荷版には、専用のキーボードも付属していた。
コンパクトなゲーミングPCの課題は、「ゲーム以外の用途には使いづらい」ことである。コントローラーがついたままのPCでも仕事などに十分使えるのだが、見た目の問題もあるし、なにより机の上で安定しない。だがONEXPLAYER 2なら、コントローラーを外してしまうと「だいぶ分厚くて画面が小さめの2-in-1 PC」になるので、用途が広がる。
ONEXPLAYER 2が採用している「Ryzen 7 6800U」は、かなり絶妙な性能のプロセッサーだ。ゲームはもちろんだが、一般的な作業(原稿執筆や画像の整理など)ではほとんど負荷を感じない。
Ryzen 7 6800Uを使った製品の中には、よりPC的な外観の「GPD WIN Max 2」もある。正直、こちらと迷ったのは事実なのだ。今回は、より新しいこと、ゲームそのものがしやすいことを考えてONEXPLAYER 2を選んでいる。
なお、付属のキーボードは「そこそこ使える」のだが、やはりガリガリ仕事するには向かない。そんな場合には、Bluetoothなどの外付けキーボードを使ってもいいだろう。
もちろん、欠点もある。「ポータブル」というのがだいぶ厳しいレベルになってきた。コントローラーと組み合わせると848gで、Nintendo Switch(有機ELモデルで約420g、液晶モデルで398g/Joy-Con取り付け時)の2倍、Steam Deck(627g)よりさらに重い。ONEXPLAYER 2はかなり重く、ゲームをするときに負担を感じるのは事実だ。
その一方で本機は、8.4インチという大きめの画面でゲームがプレイできるのは魅力だ。画面解像度は2,560×1,600ドットと高めで、電子書籍などのコンテンツ視聴にもプラスである。そういった意味で、サイズが大きいのは欠点というよりも、「特徴」だと考えることもできる。
また、ONEXPLAYER 2は17100mAhのバッテリーを搭載している。ポータブルゲーミングPCでは採用が増えてきたが、容量が大きいということはそれだけ重い、という話でもある。
Steam Deckも含め、ポータブルゲーミングPCの課題はバッテリー動作時間だ。多くの製品は、フルで動かすと2時間程度しかプレイできない。Switch(現行モデルの場合、一般的に5〜6時間)に比べるともちろん見劣りする。ONEXPLAYER 2もそこまで長いわけではないが、負荷の軽い作業なら6時間くらい、ハイエンドゲームで3時間くらいは動作するようだ。
さらにいえば、価格もマイナス点ではある。Steam Deckなら5万9800円で買えるが、ONEXPLAYER 2は15万円もする。もちろん、スペックはまったく異なるので単純比較できないが、Steam Deckのコストパフォーマンスが頭抜けているのもまた事実だ。15万円あれば、かなり性能のいい普通のノートPCも買えるだろう。
性能を求めるゲームなどを考えた場合、ONEXPLAYER 2が搭載しているRyzen 7 6800Uは現状かなりバランスがいい。このSoCには、Radeon Super Resolution(RSR)という機能がある。これはRadeon RX 5000シリーズ以降のGPUが対応するもので、低い解像度でレンダリングした画像をアップスケールして見た目の解像感を高められる。要は、GPU負荷を減らせるのだ。大きな4Kディスプレイでも差に気づきにくいが、小さめのディスプレイを搭載しているポータブルゲーミングPCには向いている。
筆者の場合、6月末に発売を控えている「Diablo IV」をプレイするのが1つの目的だ。Diablo IVは負荷が高く、Steam Deckよりも性能が高いものを用意しておきたい……という狙いもあった。
また、SoC負荷やファンの制御などもわかりやすく、スリープ時の挙動なども安定している。安い買い物ではなかったが、現状かなり満足している。PCを持ち出して仕事する際、時々はONEXPLAYER 2の方を使ってみようと思っている。
今回は、そんなジャンルの新製品を紹介する。One-Netbook Technologyの「ONEXPLAYER 2」(日本発売元:テックワン、直販価格15万7700円から)だ。かなりギミックの多い製品だが、その特徴を見ていこう。
■密かに盛り上がる「小型ゲーミングPC」
前述のように、小型のゲーミングPCは急速に増えている。理由は、SoC内蔵のGPU性能が上がってきたことにある。PCでゲームをするなら、いまでもいわゆる「外付け(ディスクリート)GPU」があった方が良いが、PCゲームの事情も色々変わってきた。
バトルロワイヤルタイプのネットゲームが増え、無料で気軽にプレイしたい人々は増えている。また、Steamなどのゲーム配信プラットフォームでは、AAAタイプのGPUに高い負荷をかけるゲーム「以外」の作品もどんどん増えている。
そこにPC用のSoCを作る各社、具体的にはインテルとAMDが内蔵GPUの強化を図ってきたので、「ポータブルゲーム機的なPC」を作りやすくなってきた。そもそもサイズが小さければ、画面の解像度を無理に上げる必要はなく、PCと比べると処理負荷に余裕も生まれる。
とはいえ、スマートフォンやNintendo Switch(SoCのアーキテクチャ的にはスマホに近い)ほどにバッテリーを長持ちさせたり、軽くしたり、ファンレスで作ったりするのはまだ無理がある。だが、PCゲーム市場の拡大により「場所にとらわれずゲームがしたい」というニーズは拡大している。なにより、デジタルガジェットとして進化軸がまだ大きいため、興味があって買う人も多い。マス向けに数百万台売るような世界ではないが、十分「密かに熱い」ジャンルなのである。
■コントローラーやキーボードが脱着可能
では、そんな熱いジャンルに飛び込んできた「ONEXPLAYER 2」はどんなPCなのだろうか? 最大の特徴は、いわゆる2-in-1型のPCでありつつ、コントローラーを左右につけてポータブルゲーム機的に使える、というところだ。筆者が購入した初期出荷版には、専用のキーボードも付属していた。
コンパクトなゲーミングPCの課題は、「ゲーム以外の用途には使いづらい」ことである。コントローラーがついたままのPCでも仕事などに十分使えるのだが、見た目の問題もあるし、なにより机の上で安定しない。だがONEXPLAYER 2なら、コントローラーを外してしまうと「だいぶ分厚くて画面が小さめの2-in-1 PC」になるので、用途が広がる。
ONEXPLAYER 2が採用している「Ryzen 7 6800U」は、かなり絶妙な性能のプロセッサーだ。ゲームはもちろんだが、一般的な作業(原稿執筆や画像の整理など)ではほとんど負荷を感じない。
Ryzen 7 6800Uを使った製品の中には、よりPC的な外観の「GPD WIN Max 2」もある。正直、こちらと迷ったのは事実なのだ。今回は、より新しいこと、ゲームそのものがしやすいことを考えてONEXPLAYER 2を選んでいる。
なお、付属のキーボードは「そこそこ使える」のだが、やはりガリガリ仕事するには向かない。そんな場合には、Bluetoothなどの外付けキーボードを使ってもいいだろう。
■サイズは大きくて重いのだが……
もちろん、欠点もある。「ポータブル」というのがだいぶ厳しいレベルになってきた。コントローラーと組み合わせると848gで、Nintendo Switch(有機ELモデルで約420g、液晶モデルで398g/Joy-Con取り付け時)の2倍、Steam Deck(627g)よりさらに重い。ONEXPLAYER 2はかなり重く、ゲームをするときに負担を感じるのは事実だ。
その一方で本機は、8.4インチという大きめの画面でゲームがプレイできるのは魅力だ。画面解像度は2,560×1,600ドットと高めで、電子書籍などのコンテンツ視聴にもプラスである。そういった意味で、サイズが大きいのは欠点というよりも、「特徴」だと考えることもできる。
また、ONEXPLAYER 2は17100mAhのバッテリーを搭載している。ポータブルゲーミングPCでは採用が増えてきたが、容量が大きいということはそれだけ重い、という話でもある。
Steam Deckも含め、ポータブルゲーミングPCの課題はバッテリー動作時間だ。多くの製品は、フルで動かすと2時間程度しかプレイできない。Switch(現行モデルの場合、一般的に5〜6時間)に比べるともちろん見劣りする。ONEXPLAYER 2もそこまで長いわけではないが、負荷の軽い作業なら6時間くらい、ハイエンドゲームで3時間くらいは動作するようだ。
さらにいえば、価格もマイナス点ではある。Steam Deckなら5万9800円で買えるが、ONEXPLAYER 2は15万円もする。もちろん、スペックはまったく異なるので単純比較できないが、Steam Deckのコストパフォーマンスが頭抜けているのもまた事実だ。15万円あれば、かなり性能のいい普通のノートPCも買えるだろう。
■ゲーム向けに「バランスが良い」から採用例が増えたRyzen 7 6800U
性能を求めるゲームなどを考えた場合、ONEXPLAYER 2が搭載しているRyzen 7 6800Uは現状かなりバランスがいい。このSoCには、Radeon Super Resolution(RSR)という機能がある。これはRadeon RX 5000シリーズ以降のGPUが対応するもので、低い解像度でレンダリングした画像をアップスケールして見た目の解像感を高められる。要は、GPU負荷を減らせるのだ。大きな4Kディスプレイでも差に気づきにくいが、小さめのディスプレイを搭載しているポータブルゲーミングPCには向いている。
筆者の場合、6月末に発売を控えている「Diablo IV」をプレイするのが1つの目的だ。Diablo IVは負荷が高く、Steam Deckよりも性能が高いものを用意しておきたい……という狙いもあった。
また、SoC負荷やファンの制御などもわかりやすく、スリープ時の挙動なども安定している。安い買い物ではなかったが、現状かなり満足している。PCを持ち出して仕事する際、時々はONEXPLAYER 2の方を使ってみようと思っている。
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