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公開日 2016/07/08 12:20
Roonの潮流とネットワーク・ブリッジについて考察

非対応機器が約1万円でRoon対応に変身! ラズベリーパイで“Roon Bridge”を作った

佐々木 喜洋

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再生ソフトにとどまらない新たなオーディオのかたちを提案する「Roon」の波は、確実に世界中のオーディオへと押し寄せている。本記事では、佐々木 喜洋氏が最新のRoon動向を分析しつつ、ラズベリーパイを使った「Roon Bridge」を紹介。手軽かつオーディオマインドを刺激する「Roonの楽しみ方」を提案する。


RoonReady対応の波は世界のオーディオブランドで拡大

海外におけるRoonの人気は拡大し続けている。今年初頭のCESでみられたRoonReadyというキーワード、つまり“Roonネットワーク”への対応の流れは留まることを知らず、先日開催されたミュンヘンのハイエンドショウでも衰えることはなかった。

2016年5月にミュンヘンで開催された「High End」。RoonReady対応機の出展が相次いだ

ハイエンドショウの模様はPhile-web掲載のレポート記事一覧や山之内正氏の「ミュンヘンで見たオーディオの新潮流」の第2回にて詳述されている。これらの記事を読むと、RoonReadyの波が、Roonの市場拡大に対応したい従来のDLNAネットワークプレーヤーメーカーのみならず、プロ市場機器メーカーと考えられているMytekやMergingにも及んでいることが注目される。

Mergingの「NADAC」が採用したRavennaは、業界向け技術(Audio Over IP)である「AES67」のオープン規格であるため、家庭のオーディオマニア層にはなじみが薄い。そのため、コンシューマー用にNADACをRoonReady化するというのは、Ravennaの採用と矛盾することではないと考えられる。

ハイエンドオーディオブランドや、業務用オーディオを手がけるブランドが積極的にRoonready対応を宣言したのも印象的だった

同様にスタジオ・プロ志向のMytekも、ネットワーク版のManhattan DACをプロ市場とオーディオマニア市場の両方に売るために似たような算段があるのではないだろうか。あるいはAyreもそうした方向に動くのかもしれない。これらはまだ推測の段階だが、こうしてDACのUSBケーブルをネットワークケーブルで置き換えるという、新しい潮流の主導権争いがすでに始まっているとも言えそうだ。

またAURALiCやexaSoundのような先進的な設計を志向するメーカーにとってもRoonは自らの先進性を示す格好のアピールポイントとなる。特にexaSoundのPlayPointは国内市場で初めてRoon対応製品の導入例となったことは記憶にも新しい。

こうして各社さまざまな思惑を秘めながら、RoonReadyの流れは拡大を続けていると言えるだろう。

国内ではまだ数が限られていRoonReady対応機

しかし、この波はいまだ拡大中ながら、現時点でRoon対応の機器はそう多くはない。特に国内市場ではその傾向が顕著だ。ネットワーク機器においては唯一スフォルツァートが対応を表明しているが、他メーカーはおそらく様子見というところだろう。なにしろRoonの波が海外で始まってまだ1年も経ていないのだから、いたしかたないところはある。

スフォルツァートは国産ブランドとしていち早くRoonReady対応を明言

ネットワークオーディオに関して言うと、Roonは現在普及しているDLNAとは異なる方式である。使われているプロトコル(通信のルール)はRoonではRAAT、DLNAではUPnPであり、互換性がない。このためRoonを市販のDLNAネットワークプレーヤーで使用することはできない。

一方でUSB-DACでは簡単にRoonを使うことができる。しかし、USBケーブルの長さに縛られるという課題もまた残る。たとえば高性能の大型USB-DACを購入して、オーディオラックにスピーカーと並べて使いたいが、そうするにはラックにノートPCを設置するしかない。もちろんノートPCにRoonをインストールして、手元にはiPadで操作すると言う手もある。しかしオーディオラックにはノイズ源になり得るPCをおきたくないという人も多いだろう。実のところ、これを解決するのが先に書いたMergingのDACの目指すところであり、Roonの導入はそれを先取りすることにもなる。

既存機器をRoon対応化する「ネットワーク・ブリッジ」

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