公開日 2022/07/02 07:00
ライバル機ひしめく中の「現在地」を探る
値上げした「AirPods Pro」は今も“買い”か、新型を待つべきか。発売3年目の実力レビュー
風間雄介
当たり前のことだが、モノの価値は相対的に決まる。ある商品が発売された後、競争環境が変われば、それに応じて全体の中での位置づけが変わり、相対的な価値も変化する。
では2022年の夏、つまり本稿執筆時点において、アップル「AirPods Pro」(Amazon)の価値は、発売時と比べてどう変化したのか。それを知りたいと思い、発売3年目のレビューを書くことにした。実はこの記事をいったん書き終わったらすぐにAirPods Proが38,800円(税込)に値上げされ、完全ワイヤレスの中でもかなりの高級モデルになってしまった。新型モデルの噂もあるなか、現行モデルの実力を探っていく。
AirPods Proの発売からすぐに、私はレビュー記事を書いた。日付を見ると2019年11月1日とあるので、コロナ前のことだ。購入してすぐに「これはすごい」と驚き、その勢いのまま文章にまとめた記憶がある。
それから2年半以上が経過し、ライバルモデルが、それほど山のように出現した。当時のAirPods Proの特徴でもあった、優秀な外音取り込みとノイキャン性能の両立を目指した上で、さらにAirPods Proにはない価値を加えようとしたモデルも多くある。
一方で、AirPods Proの方も進化していることを忘れてはならない。主にはiOSのアップデートと歩調を合わせてファームウェアアップデートを繰り返し、機能がどんどん向上した。「空間オーディオ」などへの高度な対応も果たし、ハードこそ変わっていないものの、得られる体験価値は上がっている。
では、このように競争環境が移り変わる中、そしてAirPods Pro自体も進化している中、AirPods Proの相対的な価値は、この2年半のあいだに、どう変化したのだろうか。特に冒頭に書いた値上げも考慮に入れると、その立ち位置はだいぶ変わってくるはずだ。
主に引き合いに出すのは、前回と同様、ソニーの製品だ。2021年のモデルにはなるが、いまだに機能・音質ともにソニー製品として最高峰の「WF-1000XM4」は、AirPods Proにも負けない人気モデル。想定売価は33,000円だが、ときおりセールで2万円台後半になる。昨年もAirPods ProとWF-1000XM4の比較記事を掲載したが、今回はAirPods Proを主役に据えながら、その実力を相対的に知るためにWF-1000XM4を使うことにする。
それでは、2022年夏におけるAirPods Proの現在地を見ていこう。もちろん、WF-1000XM4にはない機能を他製品が搭載しているケースも多いので、そういった情報も交えてお伝えしていく。
AirPods Proの装着性は、2022年現在においても、「とても良い」と言える水準にある。傘型のイヤーピースのため、耳に押し込む動作がほぼ必要なく、すっと耳に装着できる。ステム(棒状の部分)はあるが、耳に収まる部分は小型で、何しろ軽い。耳にすっぽり収まる。それでいて安定感は抜群だ。
オンライン会議など、なにかとイヤホンを使うことが多くなったいま、この「楽に装着できる」ということは、とても重要なポイントだ。
では最近の他社製イヤホンの装着性はというと、この点についても各社が競っており、装着性は年々良くなっている。ただし、そもそもAirPods Proの装着性がとても優秀なので、この分野ではまだ、全体的にAirPods Proが優位であることは確かだ。
ノイキャンと外部音取り込み機能、そして重要な音質をすべて高次元でまとめ上げながら、本体を小型化するのが理想なのだが、WF-1000XM4のサイズを見てもわかるとおり、高機能にするとどうしても本体が大きくなりがちなのだ。発売から2年半が経っても、このサイズと機能の豊富さを両立したモデルがほとんど見当たらないことからも、いかにAirPods Proが先進的であったかがわかる。ただし、この「小型で高機能」という特徴についても、ソニー「LinkBuds S」が真っ向勝負を挑んできている。LinkBuds Sはとにかく軽く、着けやすい。装着性はAirPods Proを凌駕するほどだ。機能性もAirPods Proより高く、それでいて価格は1万円以上安い。
一方、AirPods Proを装着していて「これはイヤだな」と思うのは、その特徴的なステムによって、オンライン会議などでAirPods Proを着けているのが一瞬でわかってしまうことだ。相手は気にしていない可能性もあるが、オンライン会議においては、イヤホンが悪目立ちするのはなるべく避けたい。次期モデルでは、このあたりが改善すればよいのだが…。
では2022年の夏、つまり本稿執筆時点において、アップル「AirPods Pro」(Amazon)の価値は、発売時と比べてどう変化したのか。それを知りたいと思い、発売3年目のレビューを書くことにした。実はこの記事をいったん書き終わったらすぐにAirPods Proが38,800円(税込)に値上げされ、完全ワイヤレスの中でもかなりの高級モデルになってしまった。新型モデルの噂もあるなか、現行モデルの実力を探っていく。
AirPods Proの発売からすぐに、私はレビュー記事を書いた。日付を見ると2019年11月1日とあるので、コロナ前のことだ。購入してすぐに「これはすごい」と驚き、その勢いのまま文章にまとめた記憶がある。
それから2年半以上が経過し、ライバルモデルが、それほど山のように出現した。当時のAirPods Proの特徴でもあった、優秀な外音取り込みとノイキャン性能の両立を目指した上で、さらにAirPods Proにはない価値を加えようとしたモデルも多くある。
一方で、AirPods Proの方も進化していることを忘れてはならない。主にはiOSのアップデートと歩調を合わせてファームウェアアップデートを繰り返し、機能がどんどん向上した。「空間オーディオ」などへの高度な対応も果たし、ハードこそ変わっていないものの、得られる体験価値は上がっている。
では、このように競争環境が移り変わる中、そしてAirPods Pro自体も進化している中、AirPods Proの相対的な価値は、この2年半のあいだに、どう変化したのだろうか。特に冒頭に書いた値上げも考慮に入れると、その立ち位置はだいぶ変わってくるはずだ。
主に引き合いに出すのは、前回と同様、ソニーの製品だ。2021年のモデルにはなるが、いまだに機能・音質ともにソニー製品として最高峰の「WF-1000XM4」は、AirPods Proにも負けない人気モデル。想定売価は33,000円だが、ときおりセールで2万円台後半になる。昨年もAirPods ProとWF-1000XM4の比較記事を掲載したが、今回はAirPods Proを主役に据えながら、その実力を相対的に知るためにWF-1000XM4を使うことにする。
それでは、2022年夏におけるAirPods Proの現在地を見ていこう。もちろん、WF-1000XM4にはない機能を他製品が搭載しているケースも多いので、そういった情報も交えてお伝えしていく。
装着時の快適性
AirPods Proの装着性は、2022年現在においても、「とても良い」と言える水準にある。傘型のイヤーピースのため、耳に押し込む動作がほぼ必要なく、すっと耳に装着できる。ステム(棒状の部分)はあるが、耳に収まる部分は小型で、何しろ軽い。耳にすっぽり収まる。それでいて安定感は抜群だ。
オンライン会議など、なにかとイヤホンを使うことが多くなったいま、この「楽に装着できる」ということは、とても重要なポイントだ。
では最近の他社製イヤホンの装着性はというと、この点についても各社が競っており、装着性は年々良くなっている。ただし、そもそもAirPods Proの装着性がとても優秀なので、この分野ではまだ、全体的にAirPods Proが優位であることは確かだ。
ノイキャンと外部音取り込み機能、そして重要な音質をすべて高次元でまとめ上げながら、本体を小型化するのが理想なのだが、WF-1000XM4のサイズを見てもわかるとおり、高機能にするとどうしても本体が大きくなりがちなのだ。発売から2年半が経っても、このサイズと機能の豊富さを両立したモデルがほとんど見当たらないことからも、いかにAirPods Proが先進的であったかがわかる。ただし、この「小型で高機能」という特徴についても、ソニー「LinkBuds S」が真っ向勝負を挑んできている。LinkBuds Sはとにかく軽く、着けやすい。装着性はAirPods Proを凌駕するほどだ。機能性もAirPods Proより高く、それでいて価格は1万円以上安い。
一方、AirPods Proを装着していて「これはイヤだな」と思うのは、その特徴的なステムによって、オンライン会議などでAirPods Proを着けているのが一瞬でわかってしまうことだ。相手は気にしていない可能性もあるが、オンライン会議においては、イヤホンが悪目立ちするのはなるべく避けたい。次期モデルでは、このあたりが改善すればよいのだが…。
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