公開日 2022/11/02 06:30
USB 1.0の規格策定からおよそ四半世紀以上が経ち、今や人々の生活になくてはならないUSBケーブル。最新の規格はUSB4であり、プラグの形状もEUを中心にUSB-Cへの統一が進められている。Lightning端子に固執するiPhoneもいよいよ年貢の納め時という感じだが、一方のオーディオ業界はそんなことは何処吹く風で、据え置き型では相変わらずUSB 2.0(A-Bタイプ)が主流となっている。しかし、今となっては低速な480Mbpsというスピードも音楽再生には十分であり、音質面でもノイズを抑えるという点で有利であるというのが定説だ。
また、端子部分の造りが大きいことは、各メーカーが様々な音質対策を施せるというメリットもある。加えて、先日急逝された元ソニーの名エンジニア金井 隆氏が指摘されていたような、USB-C端子の表裏によって生じる音質差の問題とも無縁だ。おそらくUSB 2.0はS/PDIFやTOSLINKと同様に、レガシーな規格として今後も残っていくのだろう。
ただし、USBケーブルには大きな落とし穴がある。それがバスパワーだ。例えば、拙宅のPCトランスポートは様々なアクセサリーを使ってノイズ対策を施してはいるものの、根本的には汎用パソコンであり、そこから供給される5Vの質を向上させるのは正直難しい(Taiko AudioのSGM Extremeであれば話は別だが…)。このクリーンとは言えないバスパワーが、音質上のネックとなってしまうのだ。
それを解決してくれたのが、Aurorasoundの「BusPower-Pro2」(外部安定化電源)と「USB-NPL」(USBケーブル)のコンビだった。USB-NPLには電力線がなく、代わりにBusPower-Pro2が外部から良質な5VをUSB-DACに供給してくれる。安価にも関わらず、これが目覚ましい効果だったため、拙宅では長らくこのコンビをリファレンスとして愛用していた。
風向きが変わったのは、じつは今年に入ってから。PCトランスポートを卒業して、Aurenderの「ACS10」を導入したところ、これまで生気のなかったケーブルが、水を得た魚のように溌剌とした表情で歌い始めたのだ。これはバスパワーの質が大きく向上したことが一番の理由だろう。
そうなると、今までスルーしてきた高価なUSBケーブルにも俄然興味が湧いてくるのがオーディオマニアの悲しい性。そこで編集部に相談して実現したのが、今回のUSBケーブル20本一斉試聴である。
本テストは価格順に行い、ケーブルはtypeA-Bのものですべて統一。長さは基本1.0mとしたが、ラインナップにない場合は適宜1.5m程度までの長さのものを採用している。
メインの試聴曲は2曲用意。最初に藤井風「きらり」を使って全てのケーブルをテストし、その後にテイラー・スウィフト「Hey Stephen」で2周目の試聴を行いながら、1周目の採点に誤りがないかを確認していった。
この2曲は優秀録音だが、最新のアルバムなので音圧レベルもそれなりに高い。オーディオファンに古くから馴染みのある定番曲を使うことも考えたが、2022年にテストをするのだから、2022年の曲に対して各ケーブルがどのようなパフォーマンスを見せるのかを重要視すべきと判断した。もちろん評価に迷った場合はクラシック、ジャズ、ロックの定番曲も適宜使用している。
サーバーにはfidataの「HFAS1-S10」、エソテリックの「N-05XD」をUSB-DAC&プリアンプとして使用し、パワーアンプは同じくエソテリックの「F-05A」を使用した(なおエソテリック間は電流伝送を用いた)。スピーカーはB&Wの「803 D4」で、広さ10畳程度の音元出版試聴室で試聴を行った。
また、評価についてはfレンジ、Dレンジ、S/N、解像力、分解能、レスポンス、パワー、パースペクティブの8つの項目においてチェックしているが、特にハイエンドのケーブルにおいては、これらの項目だけでは評価しきれない魅力を備えたケーブルも存在した。あくまでの本文の補足としてご確認いただけると幸いである。
国内外の18ブランドが集結
【2022年版】オーディオ用USBケーブル20機種一斉試聴! 最新モデルからロングセラーまで注目モデルを徹底比較!
秋山 真オーディオグレードのUSBケーブルはタイプA-Bが主流
USB 1.0の規格策定からおよそ四半世紀以上が経ち、今や人々の生活になくてはならないUSBケーブル。最新の規格はUSB4であり、プラグの形状もEUを中心にUSB-Cへの統一が進められている。Lightning端子に固執するiPhoneもいよいよ年貢の納め時という感じだが、一方のオーディオ業界はそんなことは何処吹く風で、据え置き型では相変わらずUSB 2.0(A-Bタイプ)が主流となっている。しかし、今となっては低速な480Mbpsというスピードも音楽再生には十分であり、音質面でもノイズを抑えるという点で有利であるというのが定説だ。
また、端子部分の造りが大きいことは、各メーカーが様々な音質対策を施せるというメリットもある。加えて、先日急逝された元ソニーの名エンジニア金井 隆氏が指摘されていたような、USB-C端子の表裏によって生じる音質差の問題とも無縁だ。おそらくUSB 2.0はS/PDIFやTOSLINKと同様に、レガシーな規格として今後も残っていくのだろう。
ただし、USBケーブルには大きな落とし穴がある。それがバスパワーだ。例えば、拙宅のPCトランスポートは様々なアクセサリーを使ってノイズ対策を施してはいるものの、根本的には汎用パソコンであり、そこから供給される5Vの質を向上させるのは正直難しい(Taiko AudioのSGM Extremeであれば話は別だが…)。このクリーンとは言えないバスパワーが、音質上のネックとなってしまうのだ。
それを解決してくれたのが、Aurorasoundの「BusPower-Pro2」(外部安定化電源)と「USB-NPL」(USBケーブル)のコンビだった。USB-NPLには電力線がなく、代わりにBusPower-Pro2が外部から良質な5VをUSB-DACに供給してくれる。安価にも関わらず、これが目覚ましい効果だったため、拙宅では長らくこのコンビをリファレンスとして愛用していた。
風向きが変わったのは、じつは今年に入ってから。PCトランスポートを卒業して、Aurenderの「ACS10」を導入したところ、これまで生気のなかったケーブルが、水を得た魚のように溌剌とした表情で歌い始めたのだ。これはバスパワーの質が大きく向上したことが一番の理由だろう。
そうなると、今までスルーしてきた高価なUSBケーブルにも俄然興味が湧いてくるのがオーディオマニアの悲しい性。そこで編集部に相談して実現したのが、今回のUSBケーブル20本一斉試聴である。
最新のポップスのハイレゾ音源を中心に音質をチェック!
本テストは価格順に行い、ケーブルはtypeA-Bのものですべて統一。長さは基本1.0mとしたが、ラインナップにない場合は適宜1.5m程度までの長さのものを採用している。
メインの試聴曲は2曲用意。最初に藤井風「きらり」を使って全てのケーブルをテストし、その後にテイラー・スウィフト「Hey Stephen」で2周目の試聴を行いながら、1周目の採点に誤りがないかを確認していった。
この2曲は優秀録音だが、最新のアルバムなので音圧レベルもそれなりに高い。オーディオファンに古くから馴染みのある定番曲を使うことも考えたが、2022年にテストをするのだから、2022年の曲に対して各ケーブルがどのようなパフォーマンスを見せるのかを重要視すべきと判断した。もちろん評価に迷った場合はクラシック、ジャズ、ロックの定番曲も適宜使用している。
サーバーにはfidataの「HFAS1-S10」、エソテリックの「N-05XD」をUSB-DAC&プリアンプとして使用し、パワーアンプは同じくエソテリックの「F-05A」を使用した(なおエソテリック間は電流伝送を用いた)。スピーカーはB&Wの「803 D4」で、広さ10畳程度の音元出版試聴室で試聴を行った。
また、評価についてはfレンジ、Dレンジ、S/N、解像力、分解能、レスポンス、パワー、パースペクティブの8つの項目においてチェックしているが、特にハイエンドのケーブルにおいては、これらの項目だけでは評価しきれない魅力を備えたケーブルも存在した。あくまでの本文の補足としてご確認いただけると幸いである。