公開日 2024/03/11 06:30
【特別企画】レトロモダンのJBL Classic Componentsがついに集結
JBL Classic Componentsからアナログプレーヤー「TT350」&ネットワークプレーヤー「MP350」をレビュー
生形三郎/炭山アキラ/土方久明
JBL Classic Componentsは、音楽ファンのさまざまなニーズに応えながら、音質からデザイン、機能美まで追求し、さらにお求めやすい価格まで実現した注目のシリーズとなる。今回は、満を持して登場したレコードプレーヤーの「TT350」と、ネットワークプレーヤー「MP350」を中心にその魅力を解説する。
JBL初のプリメインアンプとして1960年代中頃に誕生したSA600。かのパラゴンを手掛けたアーノルド・ウォルフ氏による美しいインダストリアル・デザインと、バート・ロカンシー氏による革新的パワーアンプ回路「Tサーキット」を搭載したストレートなサウンドの融合は、色褪せることがない至宝の銘機の一つとして今も語り継がれている。
2023年に登場したJBL Classic Componentsは、そんな伝説のエッセンスを取り込んだ筐体デザインが印象的な同社のエレクトロニクス・シリーズである。
筐体は、肉厚なアルミ削り出し素材によるフロントパネルと、リアル・ウォールナット突板仕上げのサイドパネルが共通して与えられ、美しいデザインが上質な存在感を放つ。昨今、ひとつのトレンドとしてクラシカルなデザインを昇華したスピーカーやコンポーネントの登場を確認できるが、本シリーズはまさにそれを代表する存在と言ってよいだろう。
先に登場したプリメインアンプ「SA750」と「SA550」及びCDプレーヤー「CD350」に加え、この度、レコードプレーヤー「TT350」とデジタルメディアプレーヤー「MP350」が登場。これで全てが出揃い、全方位のメディアへの完全対応を果たした格好となる。ここでは、新たに加わった両機の魅力に迫ってみよう。
アナログプレーヤー「TT350」は、ダイレクトドライブを採用するターンテーブルだ。
シンプルでソリッドなデザインのボディに、ユニバーサル・アームを搭載。プラッターはアルミダイキャスト製で、フォノイコライザーアンプは搭載せず純粋なプレーヤーに徹底。その分の音質的なアドバンテージも期待できる仕様だ。回転数は33・3及び45回転に対応。ユニバーサル・アーム仕様を活かしてのカートリッジ交換は勿論のこと、付属するオーディオテクニカのVM型「VM95E」のスタイラス交換によっても様々な針先によるサウンド・ヴァリエーションを楽しむことが可能となっている。
早速、プリメインの「SA550」を組み合わせ、同アンプ内蔵のフォノイコライザーでそのサウンドを確認してみる。スピーカーには、同社のL100 Classic MK?を接続した。
一聴して感じるのは、付帯感のないスッキリとした描写だ。ダイレクトドライブ方式ということだけに起因する訳では勿論無いはずだが、ギターやベースのピッキングにしろ、ヴォーカルのリヴァーブやスネアドラムの余韻にしろ、切れの良いスマートな音の出で立ちが快いのだ。また、スピーカーやアンプとのマッチングの高さもあってか、音楽全体にカラリとしたヌケの良さがあり、絶妙な相性を感じる。300mm大口径ウーファーを搭載するL100ならではの、エレクトリックベースやバスドラムの低音が画角いっぱいエネルギッシュに展開する様が、明快に伝わってくるのだ。
ジャズのピアノトリオも、やはりヌケの良さが際立っており、まるでシャープネスをほどよく高めた画のような明瞭さと、迫力豊かで推進力に満ちたサウンドを堪能させてくれる。オーケストラソースも、ホール残響が晴れやかに伸びわたり、美味である。総じて、シンプルに素性の良さを感じるプレーヤーで、付属カートリッジのスタイラス交換や、ヘッドシェルを外してのカートリッジ交換など、ピックアップの違いによるそれぞれの持ち味を瞭然と描き分けてくれるだろう。
同じくシンプルな薄型デザインが印象的なデジタルメディアプレーヤー「MP350」は、Amazon Music HDに加え、QobuzやRoon Ready(※2024年2月現在、認証待ち)にも対応しており、サブスクリプションサービス含めてネットワーク再生が全方位で楽しめるプレーヤーだ。新規開発のアプリも用意されており、質感の良いデザインを含めて税込み11万円という価格も注目に値する。
専用アプリを使ってミュージックサーバーから音楽ファイルを試聴すると、ダイナミックな低音再生で楽しませてくれる。とりわけ、ロックミュージックやポップスなどでは、エレクトリックベースやバスドラムの低音が重実した厚みで聴き手へと押し寄せ、カラリとした明朗な描写が爽快だ。
驚いたのはハイレゾファイルによるクラシックソースで、教会空間で録音された残響たっぷりのソロピアノが、軽やかなタッチで透明感溢れる余韻を伴って展開するさまが実に快かった。それらの明快な描写傾向は、本機のデジタル出力を用いてSA550内蔵DACへと接続した場合に一層強まる印象で、アナログ出力での使用のほか、ネットワーク・トランスポートとしても大いに活躍してくれるだろう。
以上、5モデルが集結したJBL Classic Componentsは、全方位へのメディアに対応する万能シリーズとして完成された。役割を兼務する一体型のコンポーネントも圧倒的に多い昨今、CD、レコード、ストリーミングがすべて独立したコンポとして揃う点が特筆に値する。しかも、それらがアイコニックで洗練されたデザインとサウンドを備えながら、10万円代の価格に抑えられている点も大注目のシリーズである。
音質からデザイン、機能美まで洗練された再生機(生形三郎)
JBL初のプリメインアンプとして1960年代中頃に誕生したSA600。かのパラゴンを手掛けたアーノルド・ウォルフ氏による美しいインダストリアル・デザインと、バート・ロカンシー氏による革新的パワーアンプ回路「Tサーキット」を搭載したストレートなサウンドの融合は、色褪せることがない至宝の銘機の一つとして今も語り継がれている。
2023年に登場したJBL Classic Componentsは、そんな伝説のエッセンスを取り込んだ筐体デザインが印象的な同社のエレクトロニクス・シリーズである。
筐体は、肉厚なアルミ削り出し素材によるフロントパネルと、リアル・ウォールナット突板仕上げのサイドパネルが共通して与えられ、美しいデザインが上質な存在感を放つ。昨今、ひとつのトレンドとしてクラシカルなデザインを昇華したスピーカーやコンポーネントの登場を確認できるが、本シリーズはまさにそれを代表する存在と言ってよいだろう。
先に登場したプリメインアンプ「SA750」と「SA550」及びCDプレーヤー「CD350」に加え、この度、レコードプレーヤー「TT350」とデジタルメディアプレーヤー「MP350」が登場。これで全てが出揃い、全方位のメディアへの完全対応を果たした格好となる。ここでは、新たに加わった両機の魅力に迫ってみよう。
アナログプレーヤー「TT350」は、ダイレクトドライブを採用するターンテーブルだ。
シンプルでソリッドなデザインのボディに、ユニバーサル・アームを搭載。プラッターはアルミダイキャスト製で、フォノイコライザーアンプは搭載せず純粋なプレーヤーに徹底。その分の音質的なアドバンテージも期待できる仕様だ。回転数は33・3及び45回転に対応。ユニバーサル・アーム仕様を活かしてのカートリッジ交換は勿論のこと、付属するオーディオテクニカのVM型「VM95E」のスタイラス交換によっても様々な針先によるサウンド・ヴァリエーションを楽しむことが可能となっている。
早速、プリメインの「SA550」を組み合わせ、同アンプ内蔵のフォノイコライザーでそのサウンドを確認してみる。スピーカーには、同社のL100 Classic MK?を接続した。
一聴して感じるのは、付帯感のないスッキリとした描写だ。ダイレクトドライブ方式ということだけに起因する訳では勿論無いはずだが、ギターやベースのピッキングにしろ、ヴォーカルのリヴァーブやスネアドラムの余韻にしろ、切れの良いスマートな音の出で立ちが快いのだ。また、スピーカーやアンプとのマッチングの高さもあってか、音楽全体にカラリとしたヌケの良さがあり、絶妙な相性を感じる。300mm大口径ウーファーを搭載するL100ならではの、エレクトリックベースやバスドラムの低音が画角いっぱいエネルギッシュに展開する様が、明快に伝わってくるのだ。
ジャズのピアノトリオも、やはりヌケの良さが際立っており、まるでシャープネスをほどよく高めた画のような明瞭さと、迫力豊かで推進力に満ちたサウンドを堪能させてくれる。オーケストラソースも、ホール残響が晴れやかに伸びわたり、美味である。総じて、シンプルに素性の良さを感じるプレーヤーで、付属カートリッジのスタイラス交換や、ヘッドシェルを外してのカートリッジ交換など、ピックアップの違いによるそれぞれの持ち味を瞭然と描き分けてくれるだろう。
同じくシンプルな薄型デザインが印象的なデジタルメディアプレーヤー「MP350」は、Amazon Music HDに加え、QobuzやRoon Ready(※2024年2月現在、認証待ち)にも対応しており、サブスクリプションサービス含めてネットワーク再生が全方位で楽しめるプレーヤーだ。新規開発のアプリも用意されており、質感の良いデザインを含めて税込み11万円という価格も注目に値する。
専用アプリを使ってミュージックサーバーから音楽ファイルを試聴すると、ダイナミックな低音再生で楽しませてくれる。とりわけ、ロックミュージックやポップスなどでは、エレクトリックベースやバスドラムの低音が重実した厚みで聴き手へと押し寄せ、カラリとした明朗な描写が爽快だ。
驚いたのはハイレゾファイルによるクラシックソースで、教会空間で録音された残響たっぷりのソロピアノが、軽やかなタッチで透明感溢れる余韻を伴って展開するさまが実に快かった。それらの明快な描写傾向は、本機のデジタル出力を用いてSA550内蔵DACへと接続した場合に一層強まる印象で、アナログ出力での使用のほか、ネットワーク・トランスポートとしても大いに活躍してくれるだろう。
以上、5モデルが集結したJBL Classic Componentsは、全方位へのメディアに対応する万能シリーズとして完成された。役割を兼務する一体型のコンポーネントも圧倒的に多い昨今、CD、レコード、ストリーミングがすべて独立したコンポとして揃う点が特筆に値する。しかも、それらがアイコニックで洗練されたデザインとサウンドを備えながら、10万円代の価格に抑えられている点も大注目のシリーズである。
その他のJBL Classic Componentsラインアップと組み合わせに使用したスピーカー
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