IFA2007の取材を終え、昨日ドイツから帰国してきました。昨年は”異常に暑く“、今年は”異常に寒い“9月のドイツでしたが、現地の人に訊ねたところ、やはり「普段9月でこんなに寒いことはない。ここのところ気候もおかしくなってきている」のだそうで、環境問題の深刻さを痛感して帰ってきた次第です。
私にとってIFAの取材は2003年以来、4度目になりますが、あの会場の賑わいには毎回おどろかされます。特に中学生らしき若者の団体や、ご老人の来場者が意外に多く、彼らが2,000円近い入場料を払って見に来ていることを知った時には、「世界最大のコンシューマー・エレクトロニクスショー」を看板に掲げるIFAの底力に気付かされたものです。会場のメッセ・ベルリンにはビールやソーセージを出すスタンドが数多く立ち並び、学生ボランティアの展示説明員が人なつっこく製品の説明をしてくれたりと、会場のアットホームな雰囲気もこのイベントならではのものなのでしょう。
今年は出展社の数が過去最高記録を達成したそうですが、やはり開会前に多くの来場者や世界各国からのジャーナリストが注目したブースはソニーのブースだったのではないでしょうか?ソニーは
IFA2005ではブースを真っ暗にして、展示説明員をほとんど配置せず、ディーラー用スペースもほぼなし。幾つかのキーアプリケーションのタッチ&トライコーナーを設けただけという出展内容で、当時ジャーナリストの間では「ソニーブースの“ねらい”」が何だったのか、賛否が議論されていました。そしてIFAが毎年開催となった2006年は「出展お休み」。2007年の参加が明らかになってからは、今年はソニーがどんなブースを展開するのか各方面から期待が寄せられていました。フタを空ければ、
IFA2007のソニーブースは一般来場者にとっては少し残念な内容だったように思います。ブース全体の約3分の2がディーラー向けのスペースで、一般来場者がソニーの機器を体験できるコーナーはとてもこじんまりとしたものでした。一方でディーラースペースの中にもジャーナリストを惹き付けるような展示はとくにありませんでした。個人的にはIFA開幕直前に欧ソニーが発表したPLAYSTATION3の新機能「
PlayTV」の出展に期待をしていたのですが、現地職員に確認しても「そのような展示はない。PS3はSony Computer Entertainment Europe(SCEE)の管轄なのでよくわからない」と言われ、とてもがっかりしてブースを後にしました。
対称的に一般来場者やディーラー、ジャーナリストたちの注目を集めて、大いに盛り上がっていたのがサムスン、LG電子の韓国系メーカー”ビッグ“2のブースでした。両社とも恐らく持てる力の全てを注ぎこんだ先進的なハードウェアを展示するとともに、派手なブースを構えて来場者を一生懸命楽しませようという意気込みが感じられました。IFA会場を離れたベルリン市内の各所にも両社の出展をアピールする広告が張り巡らされており、イベントの集客力を最大限に活かした効果的なブランドイメージ戦略を展開していたように思います。両社ともに日本国内ではAV機器の主力商品は展開しておらず、「日本は世界戦略の対象外」にあるようです。その理由については色々あるのでしょうが、ひとたび世界の舞台で目の当たりにした時の両社のスケールは想像を絶するものがあります。今年は欧州の雄・フィリップスの展示内容にも少し勢いの陰りが見られただけに、このままIFAは韓国系メーカーの独壇場となってしまうのでしょうか?来年は他各国企業の奮起にも期待したいところです。
ところでイベントとは直接関係ないのですが、今回の滞在で宿泊したSavignyplatz駅Knesebeck通り沿いのイタリアンレストランがものすごく美味しくて良い店でした。残念なことに店の名前を失念してしまったため、ここで皆様にお教えすることができません。何とも申し訳ございません。また来年のIFAも取材に行く機会があれば必ず立ち寄り、改めてご報告したいと思います。
(Phile-web編集部・山本)