こんにちは。Phile-web編集部の山本です。
私は大学受験の頃、よく夜中にラジオを聴きながら勉強をしていました。局はJ-WAVEが多かったように思います。当時はCDショップも六本木・池袋のWAVE、ART VIVANなどの先進的なショップが欧州のマニアックな音源を積極的に販売していた頃で、私もヒットチャートから見放されたニッチな欧州ポップスを好んで聴いていました。
その頃、夜中いつものようにJ-WAVEを何となく聴いて過ごしていたところ、ある曲に“ひと聴き惚れ”してしまい、翌朝急いでラジオ局に電話でかかった曲を確認しました。当時はまだインターネットがなかったので、ラジオ局のセットメニューは専用の番号に電話して、オペレーターに教えてもらうという方式でした。ところが、その曲の詳細を訊ねたところ、フランスの曲だったので、オペレータさんも私もフランス語がわからないどうしでのコミュニケーションがうまく行かず、何となくこんな感じか?とメモしたミュージシャン/楽曲/アルバム名が間違って伝わってしまいました。しかも、元々ショップに数多く並んだ作品ではないらしく、先述のマニアックなショップで店員さんに探してもらっても一向に見つからず、結局その番組を聴きながら急いで録音したカセットテープに、曲の途中から何とか入れられた音源をすり減るほどに聴いて我慢していました。
あれからおよそ15〜16年が経ったつい最近、当時店員さんに繰り返し訊ねたあの曲のアルファベットの綴りを何となくググってみたところ、それらしいタイトルがフランスのAmazonで売られているのを発見しました。ちょうど円高だし、衝動買いもたまにはいいかと勢いで購入してみたところ、当時焦がれたその曲が見事に収録されていました。私が「アーティスト名」だと信じていた「Marilyn Montreuil」というのは実は「アルバム名」で、アーティストはDiane Tellというフランス人のボーカリストでした。曲は「Marilyn」というタイトルで、フランスのMontreuilという北西部の小さな田舎町に暮らしながら、マリリン・モンローとアメリカでの暮らしに憧れる女の子を歌った妙な感じのフレンチポップです。
1991年の作品なので中古盤が送られてくるかと思いきや、おそらく新品と思われる商品でした。こんな、いつ売れるかわからん商品を気長に出品しているその店にも驚きですが、今更ながらインターネットの存在に感謝した次第です。
最近「お取り寄せグルメ」なるものも流行っているそうですね。遠方に家族で出かけられるほど家計にゆとりがないので、せめて自宅で美味しいものを、という理由からインターネット通販が活用される機会が増えているとのことらしいですが。もちろん経済的な背景ゆえにネットショッピングがいま隆盛を極めているという説明もできるのでしょうが、それにしても最近のネットショッピングは決済が便利で安全になってきたり、一時期よりもますますに抵抗なく楽しめるものになって来たように感じます。私も前は「カードで買い物なんて何だか怖いじゃん」とネットでの買い物を敬遠していた方だったのですが、「携帯電話」「iPod」に続いて、最近は私の中で「インターネットショッピング」への抵抗感も氷解しつつあるようです。
もっとも、洋服やギター、本などやっぱり現物を店で手にとって確かめながら購入したいというものもありますが、レアなもの、とにかく手に入れたいものなんかはネットで見つかればこりゃ便利だと思います。また買い物の初期段階で、色々と情報を集めたり、違ったバリエーションのものを見つけるのには、やはりインターネットの機動力が欠かせません。お気に入りのショップに足を運んで店の雰囲気や店員さんとのコミュニケーションを楽しむこと、自宅でのんびりとPCに向かって欲しい物を探すこと、同じショッピングではありますが、それぞれに異なる魅力を持った、別々の趣味として楽しめそうな気がしています。
(PW・山本)