現在、Phile-webではSACD、HQCD、LPの3フォーマットをセットにしたハイエンドパッケージで発売される“HYPS”のアルバム「
Chaotic Planet」の特別予約を受け付けているのですが、先日、この製品のサンプル盤の一部を試聴する機会に恵まれました。
同作品は、女子十二楽坊や上妻宏光氏などの音楽家はもちろん、狂言師の茂山宗彦氏など幅広い分野の方々とも共演をしている女性パーカッショニスト、はたけやま裕さんのプロジェクト「HYPS(Hatakeyama You Project for Sprits)」の最新作。同一楽曲を、それぞれのフォーマットに適した録音とミキシングを施した上でSACD、HQCD、LPの3フォーマットに収録したという特徴的な作品です。
試聴は制作に協力した「かないまる」こと金井隆氏の「かないまるルーム」で主にSACDのマルチチャンネル層を聴いたのですが、なんと、はたけやまさんご本人が会場にいらっしゃるではありませんか!金井氏立ち会いの下、演奏家本人による楽曲解説を聞きながらの試聴という、なんとも贅沢な体験をさせて頂きました。
はたけやまさんが「HYPSの基本編成」だと語るバイオリンとヴィブラフォン、パーカッションの編成でサイモン&ガーファンクルの名曲を大胆にアレンジした「Scaborough Fair」(フラメンコ風の変拍子が非常にユニーク!)や、韓国の伝統的なリズムである「チルチェ」を採り入れた「砂山」など、多くの曲を試聴させてもらいましたが、個人的に最も印象的だったのが、はたけやまさんのパーカッションソロ曲「You II」でした。
この楽曲は、ボンゴやジャンベなどの太鼓や3枚のシンバルなど、約13種類もの楽器をはたけやまさんがひとりで演奏しているというもの。しかもなんと、即興での一発録りだというから驚きです。
ちなみに、「You II」という曲名から連想する方もいらっしゃるかもしれませんが、前作にあたる「You」という曲も以前に発売された作品に収録されています。ご自分の名前にひっかけた曲名で、自分自身という意味を込めているのだそうです。この「You」の動画を、金井氏のサイトの「
はたけやま裕プロデビュープロジェクト」というコーナーで閲覧することができるのですが、思わず見入ってしまいました。
また、アルバムタイトルにもなっている「Cahotic Planet(Gnossiennes,Bollelo)」も印象に残りました。エリック・サティの「グノシエンヌ」と、ラベルの「ボレロ」を同時に演奏してひとつの曲にまとめているのですが、途中で「ガーン!」と大きなゴングの音がなるのです。
はたけやまさんによれば、これは「巨大な隕石が落ちたようなイメージ」だとのことで、80インチもの巨大なゴングを鳴らしているそうです。このゴングの音が真上から降ってくるような音作りがされているのですが、金井氏は「オーディオマニア的には違和感のある定位だが、本人からイメージを伝えられて“なるほど”と思った」そうです。こういったエピソードも含めて大変印象的な曲でした。
この試聴会や作品の詳細に関しては、季刊オーディオアクセサリー編集部でも追ってお伝えする予定でいるようですので、そちらもぜひご覧下さい。さすがは「オーディオファイルに向けた限定企画盤」と銘打つだけある作品だなと感じた試聴会でした。作品に興味をお持ちの方は、ぜひともPhile-webからご予約下さい。
※好評により販売受付は終了しました。ありがとうございました。
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はたけやま裕さん公式サイト
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金井隆氏公式サイト「かないまる」
(Phile-web編集部・小野)