IFA2009が幕を閉じて1週間、今年は早くも来場者数の公式記録が発表されました。主催メッセ・ベルリン社の発表によれば、今年も世界的な経済不況の中で、IFA2009は出展社数、並びに会期中の受注金額のレコードを打ち立てた昨年のイベントに迫る盛況ぶりだったようです。
メッセ・ベルリン社が発表した数値は下記になります。
※[]内は昨年の記録です。
・実質展示面積 (平方m):121,000 [122,000]
・出展社数:1,164 [1,245]
・総来場者数:228,000 [215,000]
・トレードビジター数:119,000 [104,000]
・ドイツ国外のトレードビジター数:25,000 [22,600]
・メディア来場者数:6,219人/78ヵ国
期間中の受注総額についてはまだ発表されていませんが、昨年よりもドイツ国内外のトレードビジター数が増加しているだけに、より多くの金額が見込まれるものと思われます。
また昨年、今年とレポーターとして現地を訪れた私の感覚からしても、今年は来場者の数がものすごく、特に5日(土)・6日(日)はブースを取材していても写真を撮るのも、説明担当者を捕まえるのもとにかく大変でした。
AV系エレクトロニクスの展示では各社の3Dの実演コーナーがどこも賑わっていたのが印象的でした。3Dに関しては「目で見てドーン」の効果がわかりやすかったことが、(意外に?)素直なドイツの人々にヒットしたようです。私も正直、ヨーロッパ映画なんかを見ていると、ストーリーや出演者の心の動きなんかがむしろ重視される作品が多い印象だったので、3Dはどうかと思っていましたが、IFAでの反響をみると、案外ヨーロッパでの3Dエンターテインメントの普及はすんなり行くんじゃないかと感じました。
あとはブルーレイもかなり急速に浸透しているようです。ドイツでは薄型&大型テレビの買い換えが割と盛んなようで、私の親しいドイツの友人も最近フィリップスのテレビを購入してうかれていました。そこに来て「大画面でみるならやっぱりBD」というロジックが通用しはじめているのだと思います。ベルリンで大型量販店「SATURN」「Media Markt」の店頭をのぞいたところ、BDソフトの陳列コーナーも充実していました。レンタルビデオ店にも取り扱いがちらほらありました。
著名オーディオブランドが集まるホールも元気でした。昨年は出展をお休みしていたパイオニアが、今年のIFA2009にカムバックしたことはメッセ関係者だけでなく、ヨーロッパのファンにも相当喜ばしいことだったようで、期間中はブースを覗いてみるたびに多くのトレードビジターや一般来場者が足を運んでいました。オンキヨーやELAC、ゼンハイザー、ベイヤーダイナミック、オーディオテクニカなどのブースも好評だったようです。
あと回っていて楽しかったのがホーム・アプライアンスの各ホール。来場者を巧みに巻き込むスタイルの展示が各所で行われていて、実際に夫婦やお子様連れの来場者でホールはびっしりでした。ドイツ料理はワールドワイドに「あまり美味しくない」というイメージがあり、幾つかの例外を除いて実際に否めないところも多々ありますが、そんなドイツに今「美食ブーム」がやってきているのだとか。テレビでは「カリスマ・シェフ●●の料理教室」的な番組が高視聴率をたたき出しており、ドイツに詳しい方に聞くと「昨年まではテレビをつけたら討論番組ばっかりだったのに、今年はどこの局も料理番組」なのだそう。ホーム・アプライアンスのホールに出展するMieleやSIEMENS、Electroluxといった大手ブランドのブースでは、カリスマ料理人(らしき人)による料理の実演コーナーが大人気でした。
またコーヒーメーカーもIFAの大注目アイテム。私も幾つかのブースでエスプレッソを試飲させてもらったり、コーヒージェラートをロハでいただいたりと、楽しませてもらいました。エレクトロニクスとアプライアンスが一緒に楽しめるショウの魅力を実感した次第です。
秋にはまたIFA統括ディレクターのハイテッカー氏が来日されるそうなので、IFA2009の成果と“成功のカギ”を訊ねてきたいと思います。
(Phile-web編集部・山本)