9月2日からIFAに行ってきました。「不況に強いIFA」とハイテッカー氏がおっしゃるとおり、会場は大賑わい。昨年から並列して開催されている白物家電見本市があるためか若いカップルや家族連れの姿も多く、なんとなくアットホームな雰囲気に包まれていました。
さてさてブース取材の様子は既にみなさまにお届けしましたが、実はまだもうひとつ、お伝えしたい大きなレポートがあります。
このたびベルリンフィルの「デジタルコンサートホール」の裏側を覗いてきました!
ベルリンフィルの定期公演をリアルタイム/アーカイブで楽しめる画期的なサービス「
デジタルコンサートホール」。録音のマイクってどこに置いているの? あの素晴らしいカメラワークは一体どのくらいの人数でどうやって操作しているの? リアルタイム配信するサーバーなどの設備はどうしているの? などなどさまざまな疑問を、マーケティング担当のメラー氏、技術担当のフランケ氏にうかがってきました。自身もデジタルコンサートホールのヘビーユーザーである山之内 正氏が詳細にレポートします。こちらは近日アップ予定。どうぞお楽しみに!
ところで9月はじめのIFA期間中は、ベルリンフィルの新シーズンが幕を開けたばかりでした。さらに各地の一流オーケストラや演奏家が集結する「musikfest berlin」も開催され、クラシック好きにとっては注目公演が目白押しです。
ベルリンフィルの本拠地であり、musikfestの舞台でもあるフィルハーモニーは、「ポツダマー・プラッツ」駅からすぐのところ。黄色い外壁と、テントを思わせる屋根の形状から、別名“カラヤンのサーカス小屋”と呼ばれています。舞台を客席がぐるっと取り囲むワインヤード方式の設計は、サントリーホールがお手本にしたことも有名です。
幸運なことに私はIFA期間中2回も(!)演奏会を聴きに行くことができました。中に入ってみると、日本のホールよりも舞台が客席に近い! A席は演奏者の溢れる熱気を直に感じられ、B席はCDを聴いているときと同じバランスを楽しむことができ、C席は曲やオケの構造をつぶさに観察可能。D席は迫力のある音が楽しめる…などなど、座席ブロックによっても音の違いがあるそうです。今回はC席とD席で聴きましたが、D席の前のあたりは音に体が包まれるようで、個人的にすごく好きな聞こえ方がしました。
さて、ポツダマー・プラッツ駅近くにはかつてのベルリンフィルの本拠地「旧フィルハーモニー」の跡地もあります。旧フィルハーモニーはニキシュやフルトヴェングラーなど今も歴史にその名を残す名指揮者たちが演奏した場所ですが、1944年に爆撃で焼失してしまいました。現在のフィルハーモニーは1963年に建てられたものです。
跡地の入り口には「DIESER WEG FUEHRT ZUM ORT DER ALTEN PHILHARMONIE 1882-1944」(この道は旧フィルハーモニーがあった場所へ続く、という意味)というプレートが埋められています。今でも新しい建物が建つことなく、ところどころにかつてのホールの遺構をうかがうことができました。
期間中ベルリンを訪れIFAを覗いたあとはコンサートや美術館などの街巡りでかつての東西ドイツが交差した街の魅力を楽しむ、なんていうのはいかがでしょうか?
(Phile-web編集部・小澤)