マイケル・ジャクソン「THIS IS IT」を劇場公開の最終日にすべりこみで観てきました。
本編約110分の映像にはリハーサル風景やステージで上映される予定だった「スリラー」の最新クリップなどのビジュアル素材、その他スタッフのコメンタリー映像を交えつつも、ステージに係わるもの以外一切余計な映像はなし。マイケルの急逝により、最後の幻の公演になってしまった「THIS IS IT」を、監督のケニー・オルテガをはじめ関係者全員が残した断片をつなぎ合わせて、あくまでファンのために、可能な限り本番に近いかたちで残したいという制作者の意気込みが感じられる内容でした。
マイケルの歌やダンスに息継ぎを忘れることもしばしばでしたが、ダンサーやミュージシャン、舞台関係者の全員がマイケルの強烈な才能に引き寄せられ、短い期間の中で成長しながら見事なステージを創り上げていく過程に心打たれました。と同時に、マイケルが亡くなってしまったこと、完成版「THIS IS IT」のステージがもう見られないことがとても寂しく感じます。
作品の中で関係者たちが口々に「マイケルは“音楽”を知り尽くしている」と語り、彼のクリエイティビティを称賛していましたが、“KING OF POP”と謳われながら、謙虚さと自分以外の人間への優しさを同時に持ち合わせていたこともマイケルの特筆すべき人物像だと言われています。この映画の中で、ステージに立つ一人一人を気遣うマイケルの姿を見ると、彼がエンターテイナーとしてだけでなく、指導者として卓越していたことがよくわかりました。
マイケルの人物像はともかく、彼の圧倒的な歌唱力とダンスが楽しめるエンターテインメントとしても「THIS IS IT」は見どころたくさんの作品でした。以前、記者会見の壇上で「みんなが聴きたい曲をやるよ」と言っていた公約の通り、ジャクソン・ファイブ時代の名曲を含むセットメニューはマイケルのファンならずとも聴いたことのあるヒットナンバーばかりです。来年1月27日のBlu-ray、DVD-BOXの発売がアナウンスされたので、こちらも早速予約を入れたいと思います。
(Phile-web編集部・山本)