第一弾USB-DAC「UDA923BF」まもなく発売
「ハイレゾだけがハイファイじゃない」 − 新ブランド「KEY Sound」のねらいを開発責任者・長谷川氏に聞く
■趣味が高じてハイファイオーディオ機器の開発を開始
長谷川氏が冒頭に語ったように、同氏の経歴は「音」に彩られている。だが、業務上、常にハイファイ製品だけに集中できる時間は限られていた。
「ずっとハイファイオーディオをやりたかった」という長谷川氏だが、職務は業務用機器がメイン。ハイファイオーディオ機器への積年の思いが高じた結果、休日に秋葉原などでパーツを購入し、自作のオーディオ機器を組み立てることが、次第に長谷川氏の大きな趣味になっていった。
と言っても、長年培った業務用オーディオ機器のノウハウや技術を投入するのだから、一般的な意味での「趣味」の域を超えていたであろう事は容易に想像がつく。
■Windows 95の頃からPCオーディオの可能性に着目
長谷川氏の経歴を一通り説明したところで、いよいよ今回のUSB-DAC「UDA923BF」に話を移そう。
長谷川氏がPCオーディオの可能性に着目したのは、Windows 95が登場した1995年頃というから、その慧眼には驚かされる。「当時のプロセッサーはPentiumの時代です。それまでDATなどでデジタルオーディオに深く関わっていたので、これだけの処理能力があれば、ソフトウェア上の処理でオーディオ帯域のことはどうにでもなる、と考えました。すごく可能性があるな、と感じたんですね」。
構想を温め、満を持して自作のUSBオーディオ機器を作り始めたのは4〜5年前のこと。これを最近のことのように感じるかもしれないが、当時はまだ、USBでハイファイオーディオを実現するという考えは、まだ一般的なものではなかったことを思い出して欲しい。
長谷川氏がUSB-DACを作り始めた理由はとてもシンプル。「CDクオリティの音声データが扱えるのに、PCの小さなスピーカーしか使えないのがすごくもったいないと思えた。そこにハイファイがあるのに、なんでハイファイで再生しないのか、と考えた」と説明する。
■コンデンサーレスの回路構成を採用した理由とは
その後、独自のノウハウを蓄積して、今回完成させたのが「UDA923BF」。その大きな開発コンセプトは「あるものを変えることで音作りをするのではなく、無くすことで音作りをする」ということだったのだという。