月額定額制やマルチデバイス対応の効果とは
「Hulu」の“日本版サービスにしかない魅力”とは ー フールージャパンのキーパーソンに聞く
「Hulu」が日本で展開するサービスの独自性
米国で支持を集め、拡大を続けてきたHulu。日本のサービスは有料サービスモデルであることから、米国で言うところの「Hulu Plus」に近くもあるが、全く同じものが導入されたわけではない。米国の「Hulu Plus」は有料でありながら動画広告も入り、あくまで広告モデルをベースに運営されているのに対して、日本の「Hulu」のサービスは定額1,480円/月という料金設定で、動画広告が入らない。両者のビジネスモデルは別ものだと考えて良い。
日本の「Hulu」が提供する、定額1,480円/月で全てのコンテンツが見放題という料金体系は、国内の様々な動画配信サービスを利用してきた筆者から見ても、非常に意欲的な設定だと思う。現在の国内向けの動画配信は「映画1作品300円」「ドラマ1作品200円」程度に設定されており、数話視聴しただけで、すぐに1,480円の金額に達してしまうからだ。
こうして「月定額性で見放題」「マルチデバイス対応」を実現しつつ日本市場への参入を遂げたHulu。本国の米国に続いて、そのサービスを提供する2番目の地域に日本を選んだ理由はどこにあったのだろうか。
「日本はやはり魅力的なマーケットであるという判断です。Huluが視聴できるデバイスが種類・台数ともに普及しており、ブロードバンドの普及率も高い地域です。またエンターテイメントへの消費も大きく、Huluが得意としているハリウッド系のコンテンツの人気も高いことから、日本はHuluのサービスに対する潜在的な需要が大きいと考えました」と長澤氏。現在の日本市場の手応えについては、利用ユーザー数などは公開していないが、1ヶ月間無料で提供しているトライアルのサービスから、期間終了後に有料サービスを契約するユーザーの割合がとても高いのだという。
日本でのサービスインから約6ヶ月が経過し、登録ユーザーの数も順調に増え続けているというが、米国のユーザーと比較して、日本のユーザーならではの傾向はあるのだろうか。長澤氏に訊ねてみた。
「日本のユーザーの場合、米国と比較すると相対的にスマートフォンやタブレットで視聴されるお客様が多いことが特徴です。また回数、視聴時間の傾向から見て、1本の作品を“細切れ”で視聴している方も多くいます。また、マルチデバイスでのご利用も多いと思います。これに比べると、米国ではテレビでHuluのコンテンツを視聴される方々が多くいます。もともと米国ではテレビのインターネット接続率が日本に比べて高い地域で、本体に視聴機能が内蔵されていなくても、STBでご利用いただくケースもあります。当社としましても、Huluを視聴できる環境をいっそう広げて行けるよう、様々なメーカー様とお話を進めています」(長澤氏)
現在のHuluのラインナップには、ハリウッド発の海外ドラマが多く揃っており、日本ユーザーの人気も高いという。昨年末には日本や韓国のコンテンツも追加され、また2月17日にはBBCのコンテンツの配信も開始した。今後、合計600時間におよぶコンテンツが順次追加される。