担当プロデューサーに聞く
なぜ宇多田ヒカルのハイレゾ第2弾には「くまちゃんUSBメモリ版」が用意されたのか?
12月9日、宇多田ヒカルのシングル集『Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.1』『Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.2』2作品のハイレゾ配信がスタートする(関連ニュース)。VOL.1はデビュー曲「Automatic」から「COLORS」までのシングル15曲を収録。VOL.2は2004年発表の「誰かの願いが叶うころ」から2008年発表の「Prisoner Of Love」までのすべてのシングルなど18曲を収録している。
両作品は配信というかたちだけではなく、宇多田本人のデザインによる「くまちゃん」イラストをモチーフにしたオリジナルUSBメモリに収められてUNIVERSAL MUSIC STOREにて5,000個限定販売される点も注目となっている。
発売日である12月9日は、宇多田ヒカルのデビュー満15年目の記念日でもある。ハイレゾ時代におけるパッケージのあり方とは? 宇多田ヒカルのハイレゾに対する考えとは? プロデューサーの沖田英宣氏に聞いた。(聞き手:中林直樹)
― 今年3月に発売された「First Love」ハイレゾ版は非常に大きな反響を呼び、多くの方が“ハイレゾ”を知るきっかけになったと思います。
沖田氏:今年は宇多田にとってデビュー15周年のアニバーサリーイヤーに当たります。現在アーティスト活動を休止していますが、ファンのみなさんへの感謝の気持ちをかたちで表現したいという思いがありました。その第一弾が『First Love』のハイレゾ版であり、第二弾が『SINGLE COLLECTION』2作のハイレゾ版です。
『First Love』はパッケージ版(プラチナSHM/SHM-CD/CD/DVD)に加え、初の試みであるハイレゾ版でもリリースしましたが、Bunkamura StudioのCスタジオで試聴したら、今まで知っていたスタジオの空間がいきなり広がったような感じがして。これはすごい!ぜひ次もやろう、ということになって、その場で『SINGLE COLLECTION』のハイレゾ化も決まったんです。
最初『SINGLE COLLECTION』はハイレゾ配信のみでのリリースを考えていたんですが、やっぱりアナログレコードの昔から「パッケージ」と「音楽」は相互に補完しあってひとつの表現になるところがあるよな、と。じゃあハイレゾ音源に対するパッケージ観ってどんなものだろう? と考えた時に「オリジナルのUSBメモリを作ったら面白いのでは?」となったんですね。で、どうせ作るなら宇多田ヒカルらしいもの − これ、僕らのなかでは「ゴージャスだけどどっかおかしい」ってことなんですけど(笑)……ということで「くまちゃん」型のUSBメモリになりました(笑)。
― ユーモアがある感じでいいですよね(笑)。確かに、音楽にとってパッケージの関係性はものすごく大事だと思います。いまアナログレコードが若者の間で注目されてきているのも、そういう部分があるのかなと思います。かたちが見えないものを買うのも良いんですけど、手に取れる、かたちがあるものの良さもありますよね。
沖田氏:USBでの販売だと、アーティスト主導で自由な作り方ができるというのもメリットだと思います。CDは作るのにとても大がかりな施設が必要なので、どうしてもハードメーカー主導になりますから。今回の『SINGLE COLLECTION』USBメモリ版の販売は、世の中への提案という思いも込めているんです。限定生産の数が5,000でいいのか?というのも含めて、いろいろ手探りの部分もありますが、「新しい道を作る」ということに意味があると思っています。
両作品は配信というかたちだけではなく、宇多田本人のデザインによる「くまちゃん」イラストをモチーフにしたオリジナルUSBメモリに収められてUNIVERSAL MUSIC STOREにて5,000個限定販売される点も注目となっている。
発売日である12月9日は、宇多田ヒカルのデビュー満15年目の記念日でもある。ハイレゾ時代におけるパッケージのあり方とは? 宇多田ヒカルのハイレゾに対する考えとは? プロデューサーの沖田英宣氏に聞いた。(聞き手:中林直樹)
― 今年3月に発売された「First Love」ハイレゾ版は非常に大きな反響を呼び、多くの方が“ハイレゾ”を知るきっかけになったと思います。
沖田氏:今年は宇多田にとってデビュー15周年のアニバーサリーイヤーに当たります。現在アーティスト活動を休止していますが、ファンのみなさんへの感謝の気持ちをかたちで表現したいという思いがありました。その第一弾が『First Love』のハイレゾ版であり、第二弾が『SINGLE COLLECTION』2作のハイレゾ版です。
『First Love』はパッケージ版(プラチナSHM/SHM-CD/CD/DVD)に加え、初の試みであるハイレゾ版でもリリースしましたが、Bunkamura StudioのCスタジオで試聴したら、今まで知っていたスタジオの空間がいきなり広がったような感じがして。これはすごい!ぜひ次もやろう、ということになって、その場で『SINGLE COLLECTION』のハイレゾ化も決まったんです。
最初『SINGLE COLLECTION』はハイレゾ配信のみでのリリースを考えていたんですが、やっぱりアナログレコードの昔から「パッケージ」と「音楽」は相互に補完しあってひとつの表現になるところがあるよな、と。じゃあハイレゾ音源に対するパッケージ観ってどんなものだろう? と考えた時に「オリジナルのUSBメモリを作ったら面白いのでは?」となったんですね。で、どうせ作るなら宇多田ヒカルらしいもの − これ、僕らのなかでは「ゴージャスだけどどっかおかしい」ってことなんですけど(笑)……ということで「くまちゃん」型のUSBメモリになりました(笑)。
― ユーモアがある感じでいいですよね(笑)。確かに、音楽にとってパッケージの関係性はものすごく大事だと思います。いまアナログレコードが若者の間で注目されてきているのも、そういう部分があるのかなと思います。かたちが見えないものを買うのも良いんですけど、手に取れる、かたちがあるものの良さもありますよね。
沖田氏:USBでの販売だと、アーティスト主導で自由な作り方ができるというのもメリットだと思います。CDは作るのにとても大がかりな施設が必要なので、どうしてもハードメーカー主導になりますから。今回の『SINGLE COLLECTION』USBメモリ版の販売は、世の中への提案という思いも込めているんです。限定生産の数が5,000でいいのか?というのも含めて、いろいろ手探りの部分もありますが、「新しい道を作る」ということに意味があると思っています。
次ページ『SINGLE COLLECTION』のハイレゾ版を聴いた感想は?