【特別企画】今後の新製品構想も
米Comply幹部インタビュー。ハイレゾ時代のイヤーチップ開発思想とは?
■Tsシリーズの上位モデル登場? ノズルサイズのバリエーション追加も
−− 現在、日本はハイレゾブームと言われています。フォームチップ開発者の立場から、この“ハイレゾ”というキーワードをどのように考えますか?
オルソン氏: もちろん、そういった最新のトレンドは意識しています。ただ製品開発のときは「ハイレゾのために」というより、「より一層、音質に影響しないようにフォームチップの質を高めていく」と考えて取り組みます。それが結果的に、イヤホンリスニングでより良くハイレゾ音源を楽しめることに繋がると思います。
−− なるほど。具体的に今後はどういう製品展開を考えていますか?
オルソン氏: フォームの柔らかさや耳穴への追従性を追求し、耳に対する安全性と安心感を提供する。そういったフォームチップの根本部分をどんどん改善していきます。あまり詳しいことは言えませんが、耳穴へのフィット性をさらに高めた製品として、「Tsシリーズ」の上位モデルを開発中です。
−− 丸い球形が特徴のTs/Tsxシリーズは、御社でも特に音楽リスニング用としてのメリットをアピールされている製品ですよね(関連記事)。それの上位モデルということは、さらに音楽リスニングを楽しめるフォームチップが登場することになりそうで楽しみです。まさに「結果的にハイレゾをより良く楽しめるイヤーチップ」になりそうですね。
オルソン氏: 新特許の技術に絡む手続きや製造方法が必要ですが、2016年の終わりころに製品化を目指しています。
−− そういえば、以前に一部メーカーのヘッドホンでコンプライ製パッドを採用しているものもありましたが、ヘッドホン用パッドはもう製造されないんですか?
オルソン氏: そうですね、今のところは考えていません。コストの問題もありまして、現時点でメインでの取り組みは難しいというのが正直なところです。
−− わかりました。その他に、今後のイヤーチップの展開としてはどういうことを考えていますか?
オルソン氏: もっと多くのユーザーニーズに対応できるように、ノズルサイズのバリエーションを増やしたいと思っています。現在では多くのイヤホンメーカーや製品が増えて、同時にノズルのサイズも増えてきました。もはやコンプライの対応が間に合っていない状態です。そこで、ポータブルオーディオファンが多い日本をはじめとして、もっと多くのイヤホンに使えるよう、ノズルサイズを増やしていきたいと思っています。
−− それは楽しみですね。では最後に、その日本市場についてどう思われていますか?
オルソン氏: 日本にはこれまでにも何回か来たことがありまして、色々な販売店などをまわっています。感想は一言でいうと「アメイジング!」ですね(笑)。とにかく店頭には様々なイヤホンがあって、バリエーションが豊富です。日本の皆さまが、イヤホンへの感心が高いことがよくわかります。コンプライ製品で、独特なパッケージを作っているのは日本だけですしね。より多くの日本のユーザーさんに、コンプライのフォームチップを積極的に使って頂きたいなと思います。
−− 新製品やノズルサイズのバリエーション増加など、今回伺ったコンプライの展開に期待している日本のファンは多いと思います。今回はありがとうございました。
(インタビュー/記事構成:ファイル・ウェブ編集部)