もうすぐプラグ/ジャックが量産開始
ヘッドホンのバランス端子がついに統一? JEITAが規格化「5極φ4.4mmプラグ」の詳細を聞く
■高級ヘッドホン/イヤホンで先行する日本からグローバル規格へ
今回はJEITAが規格化したわけだが、ヘッドホンメーカーは欧米などを中心に、世界中に数多ある。グローバルでの統一についてはどう考えているのだろうか。
「もちろん海外の公的機関に申請するという方法もあります。ですが、海外でも端子はまだ乱立している状態です。ハイエンドヘッドホン・イヤホンの一大市場である日本で一気に広め、世界でも使われる標準規格にしたいと考えています」。
2014年11月に原氏が規格化を呼びかけてから、実際の規格として出版されたのが2016年3月。このスピード感について原氏は「実際にはもっと紛糾するかと思っていたのですが、意外とすんなり決まったな、という印象です」と語る。「理想を先に決め、ぶれない軸があったことが、スムーズに規格化できた理由として最も大きいと考えています。また前述したように、スタート地点を全く同じところから始めたのも、広く受け入れられた背景にあるでしょうね」。
■いつ新プラグ/ジャックを搭載した製品が発売されるのか?
さて、エンドユーザーが大いに関心を持つのは、一体いつ頃、このプラグやジャックを搭載した製品が登場するかということだろう。
実際にプラグやジャックを作るのは部品メーカーであり、セットメーカーではない。今回は部品開発を手がける日本ディックスに、このφ4.4mm 5極プラグの開発状況について聞いてみた。
すると日本ディックスは、「Pentaconn」(ペンタコン)という名称で、プラグとジャックを販売することが決まっていると教えてくれた。「すでに形状は決まっており、量産のための最終仕様もほぼ決定した段階です。量産対応が始まるのが7〜8月くらいでしょうか」。
部品量産が可能になるのがこの時期であれば、秋から冬にかけて、このPentaconnを搭載した製品が登場することが期待される。もちろん他の部品メーカーも開発や量産に向けた準備を行っていることだろう。
JEITAの音響変換機器標準化グループには、日本の名だたる大手メーカーがほぼすべて参加している。その大手メーカーがこぞって賛同した規格であるだけに、統一化に向けて大いに期待が高まる。
果たしてこの新規格が普及し、様々な端子や方法が乱立する事態に終止符が打たれるのか、それとも独自規格を推進するメーカーが残り、統一は果たされずに終わるのか。秋冬以降の動向に注目が集まる。