6BAドライバー搭載の最新モデル
「ミュージシャンの声に背中押された」− FenderがマルチBAの最上位機「FXA9」を作った理由
―― ケーブルのお話がでましたが、Fenderではプラス線、マイナス線とは別にグラウンド線に用意した接続方法をとっています。
デール氏 +/−とは別にグラウンド線を用意したことで、クロストークの問題は理論的には解決できます。ちなみにFXA9では、導体に無酸素銅を用いて3層シルバーコーティングを施したケーブルを用いています。このコーティングによって腐食を防ぐことができ、ケーブルの美しさを保つことができます。
■同時発表のエントリー機「CXA1」は、“初めてのコンシューマーモデル”
―― 同時に発表された「CXA1」は、従来のエントリーモデル「DXA1」とどういった違いがあるのでしょうか?。
デール氏 そもそも、DXA1を含むこれまでのFenderのイヤホンは、ミュージシャンや楽器を弾く人を主なターゲットにしてきました。
一方で今回のCXA1は、より幅広いユーザーを想定したコンシューマーモデルとして開発しました。リモコン付きマイクの搭載などまさにそのための仕様ですね。また、DXA1は密閉型ですが、CXA1ではポートを2基設けてチューニングを行っています。サウンドについても、聴いていて楽しい音にチューニングすることを心がけました。
―― ところでFXA9の価格は148,000円前後と、イヤホンとしてはハイエンドといえるモデルです。日本ではハイエンド・イヤホンは増えていて市場も拡大していると感じますが、アメリカではいかがでしょうか。
ジム氏 北米のイヤホン市場においても平均価格は全体として上昇していますが、価格を押し上げているのはBluetooth対応製品です。残念ながら、10万円以上のイヤホン市場というのはそれほど大きなものではありません。この価格帯の市場はむしろアジア、例えば香港や韓国、台湾、シンガポールで大きくなっています。もちろん日本もそこに含まれています。
―― FXA9に話を戻しますが、実際に本機を使用したミュージシャンからはどんな反応がありましたか?
ジム氏:6BAドライバー構成で、今までに聴いたことがないような低域が出ているという感想はよく聞きますね。とても喜んでいただいています。自分のパフォーマンスのためだけではなく、普段音楽を聴く際にも使ってもらえているようです。
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