「ミュージシャンの声に背中押された」− FenderがマルチBAの最上位機「FXA9」を作った理由

■カスタムIEMは検討中 ー 許された1人のみが行えるFXA9の製造

――　そうなると･･････カスタムIEMを作って欲しい！ という声は当然出てきますよね。今後、FenderがカスタムIEMに取り組む予定はあるのでしょうか。

ジム氏　そうですね（笑）。実は今日、こんなものを持ってきました（バックからカスタム仕様のFXA9を取り出す！）。これは本当のテストとして作ったものなのですが、カスタムIEMもプロジェクトとして進行はしています。Fenderはギターやベースのカスタムメイドモデルを製作していますから、“カスタム”製品を作ることは自体は会社としてベーシックな要素です。しかし、まだ検討段階であり、具体的な時期などは未定です。

――　カスタムモデルには、日本のユーザーも期待していると思います。ぜひ実現していただきたいです。

ジム氏　そう、最後に強調しておきたいことがあります。Fenderのイヤホンは全て、米ナッシュビルの工場でハンドメイドで作られていることは以前にもお話しましたよね。その中でも、小さなハウジングの中に6個のドライバーを搭載するFXA9の製造は非常に難しく、現時点でデールが“FXA9のビルダー免許”を出した者はただ一人しかいません。ですから、なかなかたくさんの数を作ることができません。カスタムIEMを実現する上でも、この点が超えるべきハードルになります。

FXA9は、カスタムギターの職人とまったく同様に、ハイレベルな技術を持つ選ばれた者でなければ製造することが許されない特別なモデルなのです。ただし、近々もう一人のスタッフが、デールから免許を受ける予定にはなっています。世界中から想像以上のオーダーをいただいているなかで、Fenderでは熟練したスタッフを着実に増やすことでみなさんの期待に地道に答えていこうと考えています。

――　本日はありがとうございました。