ヴァル氏のバックグラウンドも
インタビュー:V-MODA CEO ヴァル・コルトン氏が語る、モノづくりへの飽くなきこだわり
音質が第一であるのはもちろんですが、その上でV-MODAは、テクノロジーとファッションもブランドの柱として掲げています。実際にヘッドホンは、自分を表現するうえで非常に重要なアイテムです。個性を表現するために、カスタマイズで更に自分自身を表現して欲しいですね。オーバーヘッドホンにしても、アメリカでよく見られる大きなものではなく、ファッションの一部として体にフィットする、大変スリムなデザインであることもV-MODAの特長として考えています。
−−V-MODAというブランドネームに込められた意味や由来を教えて頂けますか?
ヴァル氏 VはV-MODAの特徴的なアルファベットですが、Vと言う文字のかたちに注目してください。V-MODAのヘッドホンは、随所にこのVをモチーフにした鋭角的なディテールをあしらっています。ハウジングはもちろん、たとえばイヤーパッドも円形ではなく六角形です。
実は人間の顔や体を見たとき、丸い部分というのはほとんどないのです。鼻などもそうですが、尖っている部分や角ばっている部分の組み合わせで顔が出来ています。ですから我々のヘッドホンも、それにあわせてVを使ってデザインしています。ちなみに"MODA"というのは、イタリア語で「デザイン」という意味です。
■V-MODAのモノづくりへの取り組み
−− V-MODAの体制について教えてください。
私自身はミラノに住んでいますが、重要な拠点はカリフォルニアの本社と、ミラノ、日本、香港にあります。ミラノではデザイン、日本ではローランドと一緒にエンジニアリングを行っています。香港では中国の生産サポートと、アジア地区の販売代理業務を行っています。
製品開発はローランドのエンジニアリングチームとV-MODAのエンジニアリングチームが協力して進めています。もちろん最終チューニングやフィッティングには私自身が加わります。
たとえば装着性を高めるのに重要なクッションは、場合によっては100パターンぐらい用意して、どれがよいか全て試します。非常に疲れますが(笑)、お客様にとって、とても大事な部分ですので、これは最後の最後までチェックしています。このチェックだけで3ヶ月もかけたりするほどです。
メカニカルエンジニアやスピーカードライバーを担当しているスタッフはアジアにいます。また特に最近ではソフトエンジニアリングが重要となっており、これについてはローランドとのコラボレーションも行っています。
こういったハードとソフトが重要なのはもちろんですが、V-MODAには他社にない概念として「アートウェア」というものがあります。、最終的なアコースティックチューニングを含めたサウンドと、フィット感とを統合して開発するという考え方です。これには人間工学的なアプローチも活用します。
またローランドとの協業については、もともとローランドの製品には「TR-808」のキックなど、印象的な音がありました。我々のヘッドホンのチューニングの際、そういったローランドサウンドもテストに使っていました。それが、ワイドレンジであるという我々のヘッドホンの特徴につながっています。