「これまでで最大級のジャンプ」
4K/8K放送の録画に対応、次世代Blu-ray規格「バージョン5.0」の詳細を聞いた
ブルーレイディスク アソシエーション(BDA)が、4K/8Kコンテンツの録画が可能な次世代放送向け録画用Blu-ray Disc 新規格を発表した(関連ニュース)。ライセンスは2018年1月初旬に開始される予定だ。
今回発表された新規格は、パナソニックが主導して策定した。新規格の詳細について、パナソニック(株)アプライアンス社 技術本部 イノベーティブ・エンターテインメント開発センター メディアアライアンス室 主幹技師の山本雅哉氏に話を聞いた。なお同氏はBDAで、放送の録画、ROMなどに関するアプリケーション規格を決める「Technical Expert Group 2」(通称:TEG2)の議長を務めている。
■今回のバージョン5.0は「これまでで最大級のジャンプ」
Blu-ray Discの録画用規格は、2002年に登場したBD-RE バージョン1からバージョンアップを重ねてきた。今回の新規格はバージョン5.0となる。ちなみにバージョン4.0は2010年に策定され、その際にはBDXLへの対応が行われた。
今回4K/8K対応を行った経緯について山本氏は、「日米欧の各地域で次世代放送の規格化が行われている状況を受け、2016年春頃にBDA内に検討グループを設置し、調査を開始した」と説明する。具体的に新フォーマットの策定を開始したのは今年の春頃。それから約半年で、この12月に規格策定の完了が発表された。
今回の規格は国内市場向けのもので、日本で2018年12月1日に開始を予定している「新4K8K衛星放送」(関連ニュース)の録画を行うことを主眼に開発したもの。日本向けの規格が先行したのは、日本に録画文化が根付いており、ディスクレコーダーの市場が存在することが大きいという。
山本氏は「これまでのBDの録画規格はすべて2Kでしたが、今回は4K、そして8Kにも対応します。今回のバージョン5.0は、これまでで最大級のジャンプとなります」と説明する。
■新4K8K衛星放送の各種ストリームに対応。著作権保護はAACS2
今回のバージョン5.0では、従来の規格で対応していた各種ビデオ・音声コーデックに加えて、新4K8K衛星放送で導入する各種ストリームに対応する。
具体的には、8K放送では最大100Mbpsになるストリームはもちろん、これまでのMPEG-2 TSに代わる新たな多重化方式「MMT/TLV」、4K/8K映像を圧縮するHEVCビデオコーデック、HDR(Hybrid Log Gamma)へも対応。そして音声ではMPEG4-AACだけでなく、オプションのロスレス音声コーデックであるMPEG4-ALSにも対応する。
著作権保護は、市販されているUltra HD Blu-rayと同様に、AACS2を採用する。ただしCASで保護されたコンテンツの録画にAACS2を使うには、AACS2がA-PAB(一般社団法人 放送サービス高度化推進協会)に認定される必要がある。山本氏は「ライセンス開始が1月ということで、放送開始までかなり時間がある早い段階で規格を発表したと思われるかもしれないが、これはA-PABの認定作業に時間がかかると考えられるため」と説明する。
■既存のBD-R/REをそのまま4K/8K録画に使用できる
さて気になるのは、4K/8K放送を録画する際、Blu-rayディスクは既存のものがそのまま使えるのか、という点だ。結論から言うと、これについては全く心配する必要は無い。既存メディアをそのまま利用できる。
特に4K放送の場合、ビットレートは最大35Mbps程度なので、既存のすべてのBD-R/REメディア(1-2倍速、72Mbps以上)がそのまま利用でき、放送されたデータをそのまま記録できる。たとえば2層 50GBのBD-R/REの場合、放送の平均ビットレートが35Mbpsだったと仮定した場合でも、約170分の録画が行える計算になる。
だが8K放送ともなると、ビットレートが最大約100Mbpsにも達するため、2倍速対応のメディアではデータ転送速度が足りず、録画できない。このため4倍速以上のメディアが必要となる。ただし現在では4倍速以上のメディアも安価になっており、特に大きな支障はなさそうだ。ちなみに、放送の平均ビットレートが約100Mbpsだった場合、100GBのBD-R XLディスクに8K放送を約130分以上記録できる。
ただし4倍速以上に対応するBD-REは現状で存在しないため、100Mbpsの8K放送をそのまま録画する際には、基本的にBD-Rしか使用できない。
ここまでは、放送データをそのまま録画することが前提の話だ。だが当然ながら、HEVCエンコーダーを使って放送を再エンコードし、データ量を少なくして、より長時間の録画を可能にするような使い方も、規格の範囲内で想定しているという。
また今回の仕様では、同じディスクに従来のBlu-ray録画規格と、新規格のコンテンツを混在させて録画することも可能だ。これは地味ながら嬉しいポイントで、旧規格と新規格コンテンツを混在したディスクを既存の古いプレーヤー/レコーダーで再生した場合でも、旧規格で録画したコンテンツを再生できる。
■既存プレーヤー/レコーダーで再生できるかは「商品次第」
再生互換性の話題では、もうひとつポイントがある。今回の新規格で録画した4K放送を、既存のプレーヤーやレコーダーで再生できるかどうかは、多くの方が気になるところだろう。当然ながら再生するにはファームウェアのアップデートが必要となるはずだ。
山本氏は「再生できるかどうかについては商品側の問題なので、規格策定を行う側としてはわからない」としながらも、「一般論として、HEVCデコーダーがないと難しいだろう。また4Kに対応していない製品も難しいはずだ」と話す。この4K/HEVC対応という基本的な条件を備えた製品が、アップデートでの対応を行うか、また行えるかどうかは、当然ながら製品ごとに異なる。
◇
このほかにも、たとえばビデオカメラやスマートフォンで撮影した4K映像の扱いがどうなるのかなど、細かな質問をしたが、「まだ公開前の情報が含まれている」とのことで、今回は回答が得られなかった。
2018年1月にライセンスが始まったら、そのライセンスの詳細などを含め、さらにくわしい情報が明らかにされるという。引き続き新情報があったらお伝えしていく予定だ。
今回発表された新規格は、パナソニックが主導して策定した。新規格の詳細について、パナソニック(株)アプライアンス社 技術本部 イノベーティブ・エンターテインメント開発センター メディアアライアンス室 主幹技師の山本雅哉氏に話を聞いた。なお同氏はBDAで、放送の録画、ROMなどに関するアプリケーション規格を決める「Technical Expert Group 2」(通称:TEG2)の議長を務めている。
■今回のバージョン5.0は「これまでで最大級のジャンプ」
Blu-ray Discの録画用規格は、2002年に登場したBD-RE バージョン1からバージョンアップを重ねてきた。今回の新規格はバージョン5.0となる。ちなみにバージョン4.0は2010年に策定され、その際にはBDXLへの対応が行われた。
今回4K/8K対応を行った経緯について山本氏は、「日米欧の各地域で次世代放送の規格化が行われている状況を受け、2016年春頃にBDA内に検討グループを設置し、調査を開始した」と説明する。具体的に新フォーマットの策定を開始したのは今年の春頃。それから約半年で、この12月に規格策定の完了が発表された。
今回の規格は国内市場向けのもので、日本で2018年12月1日に開始を予定している「新4K8K衛星放送」(関連ニュース)の録画を行うことを主眼に開発したもの。日本向けの規格が先行したのは、日本に録画文化が根付いており、ディスクレコーダーの市場が存在することが大きいという。
山本氏は「これまでのBDの録画規格はすべて2Kでしたが、今回は4K、そして8Kにも対応します。今回のバージョン5.0は、これまでで最大級のジャンプとなります」と説明する。
■新4K8K衛星放送の各種ストリームに対応。著作権保護はAACS2
今回のバージョン5.0では、従来の規格で対応していた各種ビデオ・音声コーデックに加えて、新4K8K衛星放送で導入する各種ストリームに対応する。
具体的には、8K放送では最大100Mbpsになるストリームはもちろん、これまでのMPEG-2 TSに代わる新たな多重化方式「MMT/TLV」、4K/8K映像を圧縮するHEVCビデオコーデック、HDR(Hybrid Log Gamma)へも対応。そして音声ではMPEG4-AACだけでなく、オプションのロスレス音声コーデックであるMPEG4-ALSにも対応する。
著作権保護は、市販されているUltra HD Blu-rayと同様に、AACS2を採用する。ただしCASで保護されたコンテンツの録画にAACS2を使うには、AACS2がA-PAB(一般社団法人 放送サービス高度化推進協会)に認定される必要がある。山本氏は「ライセンス開始が1月ということで、放送開始までかなり時間がある早い段階で規格を発表したと思われるかもしれないが、これはA-PABの認定作業に時間がかかると考えられるため」と説明する。
■既存のBD-R/REをそのまま4K/8K録画に使用できる
さて気になるのは、4K/8K放送を録画する際、Blu-rayディスクは既存のものがそのまま使えるのか、という点だ。結論から言うと、これについては全く心配する必要は無い。既存メディアをそのまま利用できる。
特に4K放送の場合、ビットレートは最大35Mbps程度なので、既存のすべてのBD-R/REメディア(1-2倍速、72Mbps以上)がそのまま利用でき、放送されたデータをそのまま記録できる。たとえば2層 50GBのBD-R/REの場合、放送の平均ビットレートが35Mbpsだったと仮定した場合でも、約170分の録画が行える計算になる。
だが8K放送ともなると、ビットレートが最大約100Mbpsにも達するため、2倍速対応のメディアではデータ転送速度が足りず、録画できない。このため4倍速以上のメディアが必要となる。ただし現在では4倍速以上のメディアも安価になっており、特に大きな支障はなさそうだ。ちなみに、放送の平均ビットレートが約100Mbpsだった場合、100GBのBD-R XLディスクに8K放送を約130分以上記録できる。
ただし4倍速以上に対応するBD-REは現状で存在しないため、100Mbpsの8K放送をそのまま録画する際には、基本的にBD-Rしか使用できない。
ここまでは、放送データをそのまま録画することが前提の話だ。だが当然ながら、HEVCエンコーダーを使って放送を再エンコードし、データ量を少なくして、より長時間の録画を可能にするような使い方も、規格の範囲内で想定しているという。
また今回の仕様では、同じディスクに従来のBlu-ray録画規格と、新規格のコンテンツを混在させて録画することも可能だ。これは地味ながら嬉しいポイントで、旧規格と新規格コンテンツを混在したディスクを既存の古いプレーヤー/レコーダーで再生した場合でも、旧規格で録画したコンテンツを再生できる。
■既存プレーヤー/レコーダーで再生できるかは「商品次第」
再生互換性の話題では、もうひとつポイントがある。今回の新規格で録画した4K放送を、既存のプレーヤーやレコーダーで再生できるかどうかは、多くの方が気になるところだろう。当然ながら再生するにはファームウェアのアップデートが必要となるはずだ。
山本氏は「再生できるかどうかについては商品側の問題なので、規格策定を行う側としてはわからない」としながらも、「一般論として、HEVCデコーダーがないと難しいだろう。また4Kに対応していない製品も難しいはずだ」と話す。この4K/HEVC対応という基本的な条件を備えた製品が、アップデートでの対応を行うか、また行えるかどうかは、当然ながら製品ごとに異なる。
このほかにも、たとえばビデオカメラやスマートフォンで撮影した4K映像の扱いがどうなるのかなど、細かな質問をしたが、「まだ公開前の情報が含まれている」とのことで、今回は回答が得られなかった。
2018年1月にライセンスが始まったら、そのライセンスの詳細などを含め、さらにくわしい情報が明らかにされるという。引き続き新情報があったらお伝えしていく予定だ。