クアルコムとのパートナーシップについても聞いた
Bluetoothイヤホン+音声通知で「スマホ画面からの開放」目指す。ネインが描くヒアラブルの未来
また、ネインは今年、クアルコム社の「eXtension Partner Program」への参加が承認された。本プログラムは、クアルコムの技術を最大化すると認められた会社のみ参加できるというもの。メンバーとなる企業はクアルコムの最新SoCを使用して、ワイヤレスイヤホン、アプリ、クラウドサービスなどの開発に協力していく。
現在、従来のオーディオメーカーもBluetoothイヤホンを手がけるケースが増えているが、これらメーカーがBluetoothチップの使いこなしやソフトウェアの開発のノウハウを持っていないケースも少なくない。NAINはクアルコムのパートナーとして、クアルコム製チップの搭載するBluetoothイヤホンの特にソフトウェア面の開発をサポートする役割も担っていくことになる。
なお、ネインがクアルコム「eXtension Partner Program」に参加したことについて、本プログラムを担当するクアルコムの大島勉氏にも別途話を聞くことができた。同氏は以下のようにコメントを寄せてくれた。
「イヤフォン/ヘッドフォンのスマート化が進む中、QualcommはDual Mode及びGAIAプロトコルのエントリーモデル含めた展開を重要な戦略の一つとして位置づけています。すでに多くの市場実績があるネイン社にeXtension Partner Programに加わって頂くことで、オーディオメーカー様のヒアラブル対応、ヒアラブルの新たなユースケース創造で力を発揮していただき、共同で市場開拓を推進していけると思います」(大島氏)。
■初の完全ワイヤレスイヤホンもクラウドファンディング開始
上述のようにネインは11月7日より、同社初の完全ワイヤレスイヤホン「Zeeny TWS」のクラウドファンディングをMakuakeで開始した(Makuakeのクラウドファンディングページ)。取材時点では開発中だった本イヤホンについて詳細を伺うこともできた。
この完全ワイヤレスイヤホンはクアルコム最新のBluetoothチップ「QCC3026」を採用。Zeeenyの音声通知機能の全てを利用することができる。Bluetooth5.0対応で、コーデックはaptXおよびAACにも対応。IPX7の防水仕様も備えている。
ヒアラブルデバイス向けのソフトウェア、システム開発を行ってきた同社にとって、より装着の自由度が増した完全ワイヤレスイヤホンを手がけることは以前から検討していたという。しかし、バッテリー持続時間や接続安定性の確保などが課題となって実現には至っていなかったが、QCC3026ならばそれらの理想が実現できる見通しが立ち、今回のZeeny完全ワイヤレスイヤホンの実現に至った。
取材では、Zeeny TWSの開発段階の試作やQCC3026の評価ボードも見せてもらうことができた。実際のQCC3026は完全ワイヤレスイヤホン向けのチップなので当然極小のサイズだが、評価ボードは様々な検証を行うためにかなりのサイズになっておいる。これだけの内容が、この小さなチップに収められているというわけだ。
「Zeeny TWS」では、音質チューニングについてもこだわったと山本氏。完全ワイヤレスイヤホンではDSPなどソフトウェア領域でのチューニングも重要になるが、ネインはこれらを自ら手がけられるノウハウを持っているため、音作りでもその強みが発揮できるという。
完全ワイヤレスを含むBluetoothイヤホンが続々と登場するなかで、その多くで採用されているクアルコム製チップの重要性も増している。これと合わせて、ソフトウェア面でのネインのサポートは今後もより引き合いが強まるだろう。また、スマートスピーカーをはじめ音声入力や音声通知が今後ますます主流になっていくなかで、ネインの音声通知/ヒアラブル技術に対するさらに期待も高まっていくと感じた。