HOME > インタビュー > ジャパンディスプレイ経営再建の鍵となるか? 初のBtoC製品群、発売に向けた進化と手応えを開発陣に訊く

近づく市場投入。方向性や機能がより具体的に

ジャパンディスプレイ経営再建の鍵となるか? 初のBtoC製品群、発売に向けた進化と手応えを開発陣に訊く

公開日 2019/08/20 10:54 編集部:小野佳希
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

また、昨年までは「本製品用に作られた専用コンテンツを再生する」というものだったところから、「本体内のキャラクターが、スマートフォンで再生した音楽に合わせて踊る」というものに路線を変更。曲調などを解析し、その楽曲に合った動きを見せてくれる。

Music Display開発担当 渋江氏

本体にいくつかのキャラクターをプリインストールするほか、あとからキャラクターデータを配信等で追加することも可能になる予定。また、キャラの動き方をユーザー自身が作れるようにするアイディアもあるとのこと。「ボーカロイドやVTuberの方とコラボしたり、作成した動きを他のユーザーに公開できるコミュニティ機能を設けられたりしたらとも思っています」(渋江氏)という。

同一ネットワーク内にあるスマホの音楽を再生、解析。キャラが音楽に合わせて動く

HUDユニットも機能を改良。ヘルメットへの取り付け位置も変更。従来はヘッドセットのマイクのようなイメージで顔の下側に取り付けていたが、バイザーの上部、額くらいの位置へと変更した。より視界を邪魔しにくい位置にすることで安全面への配慮も進化させている。

HUDユニットは照度センサーを新たに搭載予定

さらに、量産品では照度センサーを追加し、周囲の明るさに応じてHUDユニットの表示輝度も変化するようにしたり、防水機能も追加予定だとのこと。照度センサーの搭載ではトンネルなどの走行時にも配慮するというわけだ。

昨年の発表会で展示されていたモックアップ

“Multi Sensory Device”「XVG-01」も方向性を転換。昨冬の発表時点では映像と香りというふたつにフィーチャーしていたが、そこに音も加えるようにコンセプトが発展。デザインが小型のレコードプレーヤー風になった。

Multi Sensory Device開発担当 高田氏

ターンテーブル部がディスプレイになっているほか、スピーカーも内蔵し、映像と音、そして香りが連動するものになるとのこと。また、Bluetoothスピーカーとしても利用できるようにする予定だという。

本体下部からアロマが香る仕組み

香りについても「例えば柚子の香りでも、『●●産の柚子の香り』のようなレベルでこだわっています」(開発チームの高田沙知子氏)とのこと。日本のユーザーだけでなく、インバウンドの訪日観光客のギフト需要や海外市場での販路も狙っているとのことで、「日本らしさを感じてもらえるようにしたい」という。

■販売価格も決定

JDIでは、6月に上海で開催された『CES ASIA』にこれらの製品を出展。イノベーションアワードを受賞するなど高い評価を受けたほか、「100個買いたいから見積もりが欲しいという声ももらいました」(HUDユニット開発チームの堀氏)など、来場者からも多くのポジティブな反応を得られたという。

HUDユニット開発チームの堀洋平氏(左)と尾西智久氏(右)

また、“Music Display”は「中国市場がメインターゲット」とのことで、「いくつかのディストリビューターさんから『うちで取り扱いたい』という声をかけていただけました。実際に現在、香港の企業と交渉が進んでいます」という。

では、日本国内での展開はどうだろうか。「そうですね、国内でも店頭販売とネット販売の両面で何件か話が進んでいます。ロット数など、具体的な話が出ている状況です」(Music Display担当・渋江氏)、「国内の企業様からも、先方のテストコースでHUDユニットを試してみたいというお話をいただいています」(堀氏)という。

そして、気になる価格も判明。Music Displayは「5万円以下、できれば4万円前後にしたい」とのことで、HUDユニットは500米ドル前後、Multi Sensory Deviceは200米ドル前後を想定しているとのことだった。発売時期は前述のように今年度中を予定。今後の展開にも注目したい。

前へ 1 2

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック: