家や街だけでなくクルマにも
<CES>ソニー独自の立体音響「360 Reality Audio」いよいよ商品化へ。開発陣に聞く現状と今後
デモルームでは映像付きのミュージックビデオなどいくつかの音源を聴くことができた。サラウンドシステムでは、360 Reality Audioの大きな特徴である、足元から押し寄せてくるような低音の臨場感が存分に味わえた。
360 Reality Audioの音源は、エンコードにオープンフォーマットのMPEG-H 3D Audioを採用している。再生時にはデコードされた音源に含まれるオブジェクトデータを解析し、スピーカーシステムの構成に合わせたレンダリング処理が行われる。今回出展されたシステムの場合、フロントに3チャンネル、上方向の反射に2チャンネル、リアに2チャンネルとサブウーファーのオブジェクト信号を再配置し、豊かな臨場感を再現していた。
ドルビーアトモスやDTS:Xなど他フォーマットへの対応なども気になるところだが、今回の取材時点では、こちらのプロトタイプについても詳細は明らかにされなかった。ただし、従来のサウンドバーと同じレイアウトでも360 Reality Audioコンテンツが楽しめるよう、技術検討が進められていると岡田氏は話していた。
■クルマの中にも360 Reality Audio体験が広がる
両製品のデモを体験し、待望のソニー自身による360 Reality Audio対応ホームオーディオの誕生が迫っていることを感じさせられた。そして今後、360 Reality Audioが楽しめる空間はクルマの中にも広がりそうだ。
ソニーは今年のCESで新たなモビリティサービスの取り組み「VISION-S(ビジョン エス)」を発表し、エンターテインメントスペースとしての自動運転車のコンセプトモデルを公開した。
このデモカーでも、複数個のスピーカーユニットを組み込んだ360 Reality Audioの体験デモを行っている。ソニーの佐々木氏は、ホームオーディオやヘッドホンによるポータブルリスニングとは異なる、車内空間にとって最適なチューニングをこれから別途追い込んでいく必要があると前置きし、今後、ソニーのモビリティサービスの特徴として、360 Reality Audioをひとつの柱に育てていく考えを語ってくれた。
日本国内では、まだ360 Reality Audioを体験できるサービスや環境が限られているが、2020年には、いよいよ生みの親であるソニーがリードし、新たな音楽体験スタイルが広まっていきそうだ。そして、Amazon Musicに続き、360 Reality Audioの音楽配信についても、ぜひソニーグループで実現させてほしい。