初のデジタル・リマスタリングを経て登場
『新世紀GPXサイバーフォーミュラSOUND TOURS』制作秘話―現代の水準だからこそ聴ける「バンドサウンド」
■長らく人気を集めるなかでの待望のデジタル・リマスター
そもそも『サイバーフォーミュラ』の世界のメイン舞台は、2015年〜2023年。今年2020年は物語の「中盤」にも当たる年で、主人公の風見ハヤトが4年ぶり3度目のワールド・チャンピオンを獲得する年でもある。まさに物語の渦中である今年、初めてボックス・セットとしてリリースされるにいたった理由はどのようなものだったのだろうか。
中澤「サイバーフォーミュラのテレビシリーズが放映されたのが1991年。来年が30周年となるわけですが、実はいまでもその人気は持続しています。サイバーフォーミュラの製作元となるサンライズは、映画館を一カ月くらい貸し切って毎年夏に「サンライズフェスティバル」というイベントを開催しているんですが、シティーハンターやガンダムシリーズのような人気作品が名を連ねる中で、二曜日くらいサイバーフォーミュラの枠が設けられて、上映に加えトークショーをやったりするんです。これがいつもソールドアウトするほどの人気で、かつコスプレをして来場いただくお客様もいたりとその盛り上がりは相当なものです」
「サイバーフォーミュラは、テレビでの放映は9カ月ほどだったんですが、そのあとOVAが4シリーズ出ています。さらには玩具メーカーの模型なんかも発売されていて、これがまた人気が高かったんです。いまや日本だけではなくて海外でもすごい人気があったりと、ずっと盛り上がりをキープしていたということが大きなポイントでした」
サイバーフォーミュラにはTVシリーズとOVAシリーズとなる『11(ダブルワン)』、『ZERO』と言ったシリーズがあり、テーマ曲やサウンドトラックなど全26タイトルの音源をデータム・ポリスター/ポリスターからリリースしていた。アニメ作品そのものが高い人気をキープし続けるなかで、唯一世に出ていなかったのが、最先端の技術で蘇らせたリイシュー音源。その意味でも今回のボックス・セットは、まさにファン待望のデジタル・リマスタリングと言えるだろう。
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