【特別企画】
生活と音楽の関係。マランツMODEL 30シリーズのデザインを、インテリアコーディネーターと考える
■木や光にマッチする、ヒューマニティーあるデザイン
—— おっしゃるとおり、どんな空間にも合いそうなデザインですよね。今回、金指さんにはMODEL 30シリーズが合いそうなインテリアの例をご用意いただきました。
金指:いくつか考えてみましたが、MODEL 30シリーズはリビングの一角に置いてもインテリアを阻害することなく、むしろさらに質感の良い空間にしてくれると感じました。木と金属といった異素材の組み合わせは数年前から特によく用いられていますが、MODEL 30シリーズも木にすごく合いますね。重厚感ある空間だけでなく、明るいナチュラルな空間や、カジュアルな空間でも、すごく綺麗におさまると思います。
玄:マランツ製品を買う方はオーディオや音楽が好きで、オーディオを際立たせようとすると部屋がその方の好みに寄りがちです。でもリビングや寝室など他の家族と共有する空間で良い音を聴きたいというお客様も多くいらっしゃいます。その場合はご家族の目線にも配慮しますね。MODEL 30シリーズは、しっかり主張がありますが、木と光に馴染むデザインで、ご家族もとても好みそうなデザインだと感じます。
金指:それと色味も、メタリックなシルバーではなく柔らかなグラデーションを感じるパールグレー系で、テクスチャの滑らかな感じも空間との馴染みがいいですね。
—— 鈴木さん、質感や色味はやはりこだわった部分なのでしょうか?
鈴木:はい、螺旋のパターンを効果的に見せられるように、色と光沢と反射には、非常に気を遣いました。MODEL 30シリーズは隠して設置するということは全く考えず、外に出して、製品そのものも眺めてもらいたいと考えてデザインしたので、従来の製品だと手が及んでいなかったセットの後ろ側までも注意を払って、どこから見ても様になるデザインを追究しています。
逆反りの三次元曲面になっているパネルそのものにも表情がありますが、製品が置いてあって、その周りを人が歩いたときに少しずつ表情が変わっていくように、平面的にならないよう気をつけたつもりです。
大橋:マランツは2000年代からフロントの両脇をラウンドしていくデザインを採用していますね。コスト面では不利だと思いますが、音楽の抑揚やアナログ的なスムーズさ、ボーカルの温かみなどを連想させる、極めて人間的な、ヒューマニティーのあるデザインだと思います。
人間の肉体には鋭角が存在しませんが、このMODEL 30シリーズも鋭角が存在しないですね。どこか人肌感覚というか、有機的な印象を受けます。加えてアンプは電源を入れると暖まってくる。これにも対話性を感じます。
それに操作系も、ボタンを敢えて並べていますよね。タッチパネルではなく、触れる・回すといった人間の触感を使った操作を大事にしている。手を伸ばしてつまんで回すという行為は簡単そうに見えて極めて高度な脳の連動操作なんです。人間の意識というか、感覚に訴えかけるような製品であることが感じ取れます。
鈴木:タッチフィールは非常に重要な要素です。ボリュームを回したときの重さや手応えは、営業の人間を含めてディスカッションを行い決定しました。
—— そういった“有機的”な部分が、木や光のあるインテリアに合う、というところにつながっていくのかも知れません。
■個性と普遍性を両立したデザインがもたらす、「音楽の豊かさ」
大橋:モダンなリビングに最高にマッチするオーディオ機器としてインテリアデザイン御用達だったのがB&Oでした。B&Oは見せる/魅せるオーディオです。それ自体が絵画や彫刻のような美しさがあるものの、設置には広々とした空間が必要だったりと、製品がユーザーを選ぶ部分がある。ある意味特権的なものだったんですね。
その点MODEL 30シリーズは、製品がユーザーを選ばない。骨董品のように見せるヴィンテージオーディオとも違って、様々なインテリアや家族のなかに入っていって、さりげなく美しい存在感を発揮してくれる、個性的だけど普遍的なデザインですよね。とても現代的な方向性の製品だと思います。
人が暮らすことで室内空間に記憶や物語が生まれますが、そこへMODEL 30シリーズが加わって音楽が流れることで、シンプルモダンのインテリアに過去現在未来の“時間軸”が加わるような気がします。18世紀のクープランの作品を聴いたりインド音楽を聴いたりと、生活のなかに縦横無尽な時間の流れを生んでくれると思うのです。繰り返しになりますがオーディオは「タイムマシン」であり「どこでもドア」なのです。
効率や便利さ一辺倒ではなく、もっと豊かなものがある。美しくて楽しいものがあるということに、MODEL 30シリーズをきっかけに気づいてほしいですね。
—— ちなみにこの新デザインに準じるデザインのモデルも今後登場する予定なのでしょうか?
鈴木:詳細は申し上げられませんが、これだけで終わることはありません。
—— それは期待が高まりますね。ありがとうございました。
(編集協力:株式会社ディーアンドエムホールディングス)
(取材協力:大和ハウス工業株式会社)