新製品登場も間近か
「人生をかけてオンキヨーのブランドとDNAを継続」。親会社CEOら来日インタビュー
万全なアフターサービス体制の早期構築を目指す
このように、今後の製品だけでなく、過去の製品のアフターサービスについても万全の体制を築くべくVOXXグループが全力でバックアップしていくと説明。まずは既存ユーザーに対するサポート体制を整えるとともに、「クラウドファンディングを行っていた製品についても、必ず購入者にお届けします」ともコメントした。
なお、Integraブランドや、オンキヨーが以前に取得・展開していたパイオニアブランドの製品についても、オンキヨーブランドと同様の扱いになる見込み。Klipsch(クリプシュ)も、VOXXグループ傘下の一員であることもあって、オンキヨーブランドと一緒に新たな代理店が日本で取り扱うことになるようだ。
ただし、オンキヨーテクノロジーに譲渡されたのはAVアンプやスピーカーといったホームAV事業であり、イヤホンなどポータブルオーディオ系の事業は別の企業に譲渡されている。そのため、上記の販売代理店の話や、これから語られるインタビュー内容については、ホームAV製品についての話だとご理解いただきたい。
「オンキヨーのDNA」を大切にしたものづくり体制を維持
ここで気になるのが、製品の開発体制だ。親会社の意向が強くなり、日本の開発チームの権限が弱まるようなことになってしまうのだろうか。この心配に対してポール氏は「いいえ。我々は、オンキヨーが培ってきたオーディオのDNAを継続していくことが大切だと考えています」と回答。
「大阪で産まれたオンキヨーブランドを、産まれた地で育て続けていきます。例えば、(グループの一員である)クリプシュはアーカンソー州ホープにある工場で創業し、いまもMade in USAのモノづくりにこだわって活動を続けています。これと同様に、オンキヨーも発祥の地でのDNAを大切にし、オンキヨーのスタッフがものづくりを続けられる場所を維持していきたいのです」と述べる。
VOXXグループは様々なオーディオブランドを傘下に持つ(ドイツHECOやMagnat、デンマークJamo等)だけに、例えばパーツの一部を共通化してコストダウンを図るといった手法もとれそうに思える。しかし、製品担当のマット・スピッツナゲル氏は「もちろんコストも重要ですが、そのブランドのDNAのほうが最も大切なのです。ブランドのDNAが消えてしまうようなものづくりはしていません」とその考えを否定する。「ユーザーに満足してもらうためには、品質こそがもっとも重要です。コストを優先して品質を犠牲にするようなことはしてはいけないというのが我々の哲学なのです」。
また、「昨年9月から一緒に歩み始めてわかったのですが、オンキヨーのエンジニアは、何をどうすればクオリティを高められるか、ブランドらしさを出せるかを非常によく理解しています」とコメント。「こうした知見を今後も活用していきたいのです」と続けた。
ポール氏も、「もうひとつ重要なのは、オンキヨーの哲学や技術が(VOXXグループの)他のブランドにも良い影響を与えてくれるということです。そうしたシナジーを見込んでいるからこそ、オンキヨーを迎え入れたのです」と語る。
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