いよいよ具体的に動き出した新生オンキヨー製品
新生オンキヨー第1弾「TX-RZ50」を試聴! 開発の背景や“日米関係”をスタッフに訊く
実際、今回の試聴もKlipsch「Referenceシリーズ」をメインに組み合わせて「Klipsch Optimized mode」にて行ったが、その効果はたしかに大きいと感じさせられた。PAC傘下の他ブランドではJamoの日本上陸も決まっているが、こうした他ブランドにも「Optimized mode」が広がってくれることを期待したくなる出来だ。
■「演者の“想い”を届けたい」。オンキヨーとパイオニアの違いとは?
渡邉氏は「オンキヨーがお客様に本当に届けたいのは、俳優やミュージシャンが演技・演奏に込めた“想い”なんです」と、“オンキヨーの音”について説明。こうした思想を実現するために、高い瞬時電流供給能力を持つアンプでスピーカーをしっかりコントロールする「ハイカレントアンプ設計」などを採用していると語る。
また、独自フィルターによって位相ズレを防ぐ「ノンフェーズシフトアンプ」設計や、フィルターで除去しきれないパルスノイズを防ぐ音声処理技術「VLSC」も投入。これらの技術によって、演者の想いをユーザーに届けたいのだと説明した。
なお、オンキヨーテクノロジーでは元パイオニアのスタッフも在籍しており、パイオニアブランドのホームAV機器製造も手掛ける。新生パイオニアの第1弾製品もAVアンプ「VSX-LX305」だが、両ブランドの違いはどういった点に生まれるのだろうか。
「オンキヨーが演者の想いにフォーカスするのに対し、パイオニアは“コンテンツ制作者の意図”を届けることを目指しています」と渡邉氏はその違いを表現する。「例えば、作中で部屋から外に出たシーンで、その街角で鳴っている様々な音もちゃんと全部聞けるようにする、などです」と、クリエーターが作品に入れ込んだ音をリアルにしっかりと確認できるよう音作りをしていると説明する。
そのために以前から採用しているひとつが、ダイレクトエナジー思想。徹底した信号経路の最短化と最小化を図るとともに、電源部、アナログ部、デジタル信号回路部の分離を行い、相互干渉を防ぐコンパクト回路設計だ。これにより、入ってきた信号をダイレクトにスピーカーに送るようにしている。
また、「パイオニアは伝統的にDSPを重んじて製品開発しています」ともコメント。コンテンツ内でフロントスピーカーに割り振られる帯域と、サブウーファーに振られる低音域の位相ズレをリアルタイムに補正するオートフェイズコントロールプラス機能や、スタジオチューニングの経験で培われた音質調整技術を投入していることなども説明した。
残念ながら今回の取材ではパイオニア製品の試聴は叶わなかったが、オンキヨー「TX-RZ50」の実力を目の当たりにし、オンキヨーテクノロジーの本気度をひしひしと感じた。パイオニア製品、そしてIntegra製品も含めて、今後に期待せずにはいられない取材となった。