フォンテックより細川俊夫作品集「音宇宙」の第8集『ヒロシマ・声なき声』発売
『音宇宙VIII ヒロシマ・声なき声』 |
この「音宇宙」シリーズは1987年にリリースを開始し、15年目を迎えての今作は現在までの細川音楽の集大成といえる作品だ。この作品の原型は1989年作曲の『ヒロシマ・レクイエム』で、第3楽章の「夜明け」をもって一応の完結をみたが、簡単に集結してしまうフォルムに不満を持った作曲者が再創造に着手することとなった。第1,2楽章の改訂をし、第3楽章の「夜明け」をはずし、新たに3つの楽章を書き加えてできあがったのがこの『ヒロシマ・声なき声』だ。全体は以下のように構成されている。
第1楽章「前奏曲・夜」-オーケストラのための-
第2楽章「死と再生」-3人の朗読、合唱、テープ、オーケストラのための-
第3楽章「冬の声」-合唱とオーケストラのための-
第4楽章「春のきざし」-アルト独唱、合唱、オーケストラのための-
第5楽章「梵鐘の声」-合唱とオーケストラのための-
第2楽章では広島で被爆したこども達の手記の朗読、ラテン語のレクイエムの合唱、第3楽章ではパウル・ツェランの詩、第4,5楽章は芭蕉の句が歌われる。
世界を舞台に数々の賞を受賞し、高い評価を得ている細川俊夫の集大成的この作品。かつての日本の音楽家が到達したことのない高みにある作品、といっても過言ではないかもしれない。(季刊・オーディオアクセサリー編集部)
【タイトル】『音宇宙VIII ヒロシマ・声なき声』
【演奏】指揮:シルヴァン・カンブルラン、アルト:ナタリー・シュトゥッツマン
バイエルン放送合唱団、バイエルン放送交響楽団 、
【品番】FOCD3491
【価格】\3,059(税込)
【発売日】2002年6月21日
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