吉田伊織氏が選ぶ! 今年、ホームシアターに使いたいアクセサリーベスト20

公開日 2004/01/05 00:25
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アシスタンスデザイン Sonora AIT-100L \62,000 / オーディオテクニカAT- DSL11 \OPEN(実売\6,000前後)
●アクセサリーは種類も数も新しいものが続々登場しているので、使い手としては無数といっていい中から選択することになるだろう。何を選んでいいのかわからなくなるのも当然のこと。実はかくいう私としても、現物に接する機会に恵まれているのでなんとか見通しがつくけれども、見過ごしている逸品の方が多いのではないかと危惧している。

今回選んだのは、比較的最近テストしたことのあるものを主体として、ジャンル別に順不同で並べてみた。ただし電源系から信号系に移行して最後は振動対策グッズという順に並べている。また無造作に選んでいくと、同じブランドの製品が増えてしまうので同一ブランドは2つまでとした。(吉田伊織)

・交流定電圧電源 (CSE) <Fシリーズ、RXシリーズ>RX-101twin \228,000など

・Sonora AIT-100L (アシタンスデザイン=中村製作所)(絶縁トランス) 

・TB-500 (テクニカルブレーン)<絶縁トランス>

・X-DC155SM-350 (ハーモニックス)<電源ケーブル>

・GPA2 POWERCORD (JPS)<電源ケーブル>

・PM750/1.5M (CAMELOT Technology)<電源ケーブル>

・ICX50-AL (CSE) <電源タップ>

・eXpress Power Strip (Eichman)<電源タップ>

・RTP-6N evolution (アコースティックリヴァイブ)<電源タップ>

・ULT V1000CV (モンスターケーブル)<コンポーネントケーブル>

・STC5RCA (WIRE WORLD)<コンポーネントケーブル>

・DVD5000SILVER/3 (オルトフォン)<コンポーネントケーブル>

・DCI-5044SILVER (オルトフォン)<i-LINKケーブル>

・AT-DSL11 (オーディオテクニカ)<デジタル音声の光-同軸変換器>

・ValveX (Ex-pro)<真空管ヘッドホンアンプ>

・AS-4 (タオック)<ラック>

・MR-707  (インフラノイズ)<磁気反発式インシュレーター>

・ RELAXA3 PLUS (SAP) <磁気浮上ボード>

・ピュア・シルク・アブソーバー PSA-100 (アコースティックリヴァイブ)<吸音材>

・TX-1(武藤製作所)(インシュレーター)



定電圧電源

音も映像も電気エネルギーから生じるので、電源の質がそれらの品位に直結のは当然のことだろう。なにしろ家庭に送られてくる商用電源は、ますますノイズだらけ、歪みだらけになっているのだから。

そこで、本格的な改善作としては交流定電圧装置が必要になる。各種あるのだが、オーディオ用の開発に一番キャリアがあるCSEの「アイソレーション・レギュレーター」を推奨する。「アイソレーション」は遮断、絶縁を意味するわけで、正規の正弦波交流にするとともに、複雑なAVシステムの信号/電源ラインにノイズが還流することを防ぐという意義が込められている。本格的なFシリーズは大型だが、RX-101twinなど2系統を備えて比較的小型だ。

絶縁トランスはAC電源ラインのノイズを遮断する目的であり、スイッチング電源を使った機器、つまりAV機器の大部分にすこぶる効果がある。アシタンスデザインは新参のブランドだが、製造元は真空管アンプや出力トランスでひところ話題になった中村製作所だ。テクニカルブレーンのものは以前からあるのだが、映像表示装置に使った場合、劇的に鮮度が向上することではピカイ
チだ。


電源ケーブル

AVシステムに使う電源ケーブルは、もっぱらシールドが厳重なものが適していると考えている。特にプラズマテレビとかプロジェクターなど、強力なノイズを発生する装置には著効がある。シールドがノイズ電流をショートさせる効果が大きいと思う。

その点、ハーモニクスのものは特に画質改善効果が優れている。JPSは価格対性能比が高く、キャメロットは映像と音の両方で推奨できる。


電源タップ

高級な電源タップは、ホスピタルグレードのアウトレット(コンセント)などに代表されるように、電気接点が機械的にも電気的にもがっちりしたものが使われている。しかし最近では、筐体自体を厚い金属ケースにする例が増えている。アコースティックリヴァイブなど特にその方面に力を入れている。これは機械的強度の効用は当然として、低インピーダンス(交流に対して低い抵抗作用)の筐体が電気的ノイズを吸収する効果があるためだろう。またCSEのものは、電源のアースの使う/使わないをタップごとに選択することで、アースラインによるノイズの還流を管理するねらいがある。アイクマンのものは低価格にしては好結果だ。


映像ケーブル

映像ケーブルは二重シールドなどで厳重な密閉構造にするものが増えてきた。電源ケーブルと同様に、ノイズを遮るだけでなくシールドでノイズ電流を消費させる効果があるのだと思う。低価格ならモンスターケーブル。稠密な絵ならワイヤーワールド、正攻法の鮮明映像ならオルトフォンだ。

i.LINKによるマルチチャンネル音声のデジタル伝送は始まったばかりだが、いち早くオルトフォンが高品位なものを発表した。

デジタル伝送といえば、光と同軸による伝送が普及している。光は同軸とくらべて音が甘いという定評があるのだが、電気ノイズを遮断する効果は捨て難い。そこでオーディオテクニカの光と同軸の相互変換装置が使える。ソース機器から短い光ケーブルで本機に接続し、同軸を長く使うと双方の利点がバランスすることが期待できる。転送レートが低いBSデジタル関係には特に有効だ。


ヘッドホンアンプ

ヘッドホンアンプはアクセサリーにしては大物だが、ヘッドホンを駆動するものなのでアクセサリーの仲間とした。最近のものでは、オーディオテクニカのデジタル入力専用のヘッドホンアンプが力作だ。ただし艶やかな音、長時間の視聴でも映像の世界に入っていけるという観点から真空管式を推挙した。


ラックと磁気浮上グッズ

AVラックは必需品だが、機械工学的な観点と、高品位な音や映像を楽しむという両方で洗練されたものはまだ小数派だ。タオックは機械系のメーカーであり、またオーディオに入れ込んだスタッフが開発しているので頼もしい。もっとゴツイのもあるのだが、これは外観も評価できる。

磁気浮上式のボードは、物理の実験用として古くから使われていたようだ。オーディオ用としてはSAPのものがハシリであり、これはシリンダー内で磁気浮上する仕掛けだ。またインフラノイズのものは円盤状のインシュレーター形式だ。磁気で浮かせつつ形を保つために振動吸収剤で固めているのがユニークだ。いずれも自然に音場が拡大し表現力が向上する。映像ではプロジェクターに使うと特に効果がある。


吸音とインシュレーター

アコースティックリヴァイブの吸音材は、きめ細かいシルクそのものだ。ラックの中とか機器の底部などの隙間に置くと意外なほど音質改善効果がある。武藤製作所のインシュレーターはタングステンとコバルトなどの合金であり、ダイヤモンドでないと研磨できない代物。高価だが磐石の安定感のある音であり、また鮮鋭感、そして繊細さが際立つ。


使いこなしが大事

以上、簡単に紹介してきた。アクセサリー類はケースバイケースなので、ただちに万人が納得できる効果があるとは限らないだろう。ただし優れたものには十分な理由があることは確かであり、その利点を生かすように使いこなすことが一番大事だ。電源系の給電法、ケーブル類の引き回しの鉄則、振動対策の基本など、今年も機会をみて報告してみたい。

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