VGP2025受賞:オーディオテクニカ 松本竹見氏
【インタビュー】オーディオテクニカがVGPで大賞ダブル受賞。商品の幅と質でニーズの多様化に応える
VGP2025
受賞インタビュー:オーディオテクニカ
音元出版のアワードVGP2025 ライフスタイル分化会において、オーディオテクニカの開放型ヘッドホンATH-ADX3000がヘッドホン大賞を、完全ワイヤレスイヤホンのATH-CKS50TW2がコンセプト大賞を受賞した。さまざまな角度で大きな存在感を示す、同社のヘッドホン事業への取り組みについて、国内営業部 ゼネラルマネージャーの松本竹見氏が語る。
株式会社オーディオテクニカ
国内営業部 ゼネラルマネージャー
松本竹見氏
―― VGP2025におけるヘッドホン大賞、コンセプト大賞受賞、誠におめでとうございます。受賞に際しての率直なお気持ちはいかがでしょうか。
松本 栄えある賞をいただきまして本当に有難うございます。特に今回ヘッドホン大賞を頂戴しましたATH-ADX3000は、我々が本質的にずっと追い求めている音質を実現したモデルです。前モデルであるATH-ADX5000以来7年ぶりのリリースですが、感度の高いお客様や取引先様にご評価いただいたことに対し、非常に嬉しく思っております。
このオープンエアーというセグメントは、我々のもつ技術力を最も強くアピールできるところです。さまざまなブランドがある中で、この製品をご評価いただけたことに対して、エンジニア、生産、我々マーケティング、セールスと、関わってきたすべてのメンバーが非常に歓喜しており、本当に有難いことです。
―― ATH-ADX3000は、7年前のATH-ADX5000の基本構造を受け継ぎつつ、ハイエンドの間口を広げていろいろなお客様にアピールするコンセプトだとお見受けします。その登場の意義を、あらためてお伺いできますでしょうか。
松本 ATH-ADX5000は、7年前当時約26万円という価格で提案いたしました。純粋なオーディオファンの方々、室内でアンプを介してヘッドホンを使用するといった聴き方をされる方々に向け、しっかりと価値を提供するというものです。今回のATH-ADX3000は約16万円の価格ですが、そういった価値を味わっていただくために間口を広げ、多様化する用途にしっかりとお応えしていくというコンセプトですね。
オープンエアーについては、開発をおやめになるブランドもある中で、ドライバーも含めてプロダクトをワンストップで作れることは、我々の大きな強みです。技術的にヘッドホンは、密閉すればするほど空気の流れをコントロールしやすいのですが、密閉でないオープンエアーではなおさら音の要となるドライバーまでも、自信をもって自社でつくれることは大きなアドバンテージです。
―― オープンエアーの用途の多様化とは、どういったことでしょうか。
松本 室内でのオーディオリスニングといった従来的な用途はもちろん、昨今では、ゲーマーの方々にも好評いただいています。コンテンツの世界観をしっかりと表現してゲームに没入できる性能をもち、なおかつ軽量で音の抜けがいいところが大きなメリットですね。同様に映画など映像コンテンツの鑑賞にも好まれていますし、その快適性から在宅ワークでの使用にも向いています。純粋なオーディオ機器として音楽を楽しむ以外の用途も増え、時代のニーズに合致する存在になってきています。
アナログ製品でも同様ですが、音を追求するハイファイの分野で新しいお客様が加わってきたと実感しています。我々としても、マーケティングの手法も含めて次の世代を意識した施策を行っていますが、従来のオーディオファンの方々をリスペクトした上で、製品の魅力をさらに若い世代の方々に伝えていきたいですね。
―― オープンエアーのカテゴリーは、御社のヘッドホン展開の中でどのような位置付けでしょうか。
松本 このようにさまざまな使用シーンが想定されるため、製品特徴を再解釈することで、新たな購買層がクロスオーバーして需要もまだまだ伸びていくものと予測しています。
競合するブランドも少なくなっているので、そういった意味からも我々の戦略上非常に大きな存在であり、唯一無二の価値を提供できると思っています。
ラインナップも強化しながら拡張していきます。先日2月14日には、プロ向けのオープンエアー型モニターヘッドホン「ATH-R70xa」「ATH-R50x」を新たにローンチしました。このRシリーズというのはモニターヘッドホンであり、今回受賞致しましたADXがハイファイ向けであるのに対して、どちらかというとクリエイター向けの製品となりますが、こちらの動向にも期待しているところです。
―― 一方、コンセプト大賞受賞の完全ワイヤレスATH-CKS50TW2は、また全くコンセプトが違い、ターゲット層も異なります。「マグネティックスイッチ」の搭載が受賞の大きなポイントですが、どういった経緯でこうした企画が生まれてきたのでしょうか。
松本 このモデルも2世代目です。前モデルATH-CKS50TWもお客様に支持され、特徴である重低音も含めた音質と、駆動時間の長さを非常に高くご評価いただきました。今回のATH-CKS50TW2はそれらの特徴を踏襲しつつ、さらに進化したポイントはやはりマグネティックスイッチですね。
完全ワイヤレスイヤホンを持ち出す際は、ケースと本体は必ずセット、本体を使うときに取り出し、使わないときは必ずケースにしまうのが通常のスタイルですが、 マグネティックスイッチは本体だけでも持ち出せる新しいスタイルのご提案で、これが非常に大きなポイントです。LとRの本体同士をつけると電源がオフになり、まとまることで紛失の可能性も低くなります。そのまま充電されなくても、ノイズキャンセリングオフで最大25時間、オンで最大15時間の再生が可能になっています。
若年層の方々や重低音を望むお客様のライフスタイルや、使われるシーンを想定しながらアイデアをかなり重ねて、エンジニアやマーケティング担当者が製品やクリエイティブをつくりあげていきました。その結果、実際に重低音を望む方々にもしっかりと応えることができましたし、音質や再生時間の長さを求める方々にご共感いただいていますね。屋外で使われるシーンなどで、マグネティックスイッチもご好評を博しています。
―― 完全ワイヤレスはイヤホン市場の主流であると思いますが、昨今の市場動向はいかがでしょうか。
松本 完全ワイヤレスイヤホンは、スマートフォンと接続してコンテンツを聴く、通話する、さらには在宅ワークなどでも便利に使用され、今やライフスタイルの上で必需品とも言える存在となっています。市場も伸び続けていて、世界規模でも日本でも、確実にまだまだ大きく成長していくものと考えています。
我々のマーケティング活動でも分かってきていますが、最近では3万円以上といった製品が非常に伸びていて、若年層の方々の購買が顕著です。今後若年層の方々が消費の中心となり、単価も上がりながらしっかりと推移していくと想定します。エントリークラスはやはりコモディティ化し、様々なブランドさんが参入し競争も激しくなっていますが、全体で見れば市場規模は大きく、成長が期待できるカテゴリーと認識しています。
―― 若年層の方々が高価格帯モデルを購入されているというのは、興味深いですね。
松本 我々のセグメントの中では、3万円以上のモデルは20代前半のいわゆるZ世代と呼ばれる方々の購買がかなり増加しています。製品の価値が理解できれば、若い方々にとっても数万円の対価に抵抗感が薄れているのかもしれませんし、完全ワイレスイヤホンが生活シーンの中でそれほどまでに必需品になっているということだと思います。
また完全ワイヤレスには、確実に買い替え需要のサイクルがあります。新しい製品トレンドに惹かれる、ファッションアイテムとして新しい嗜好を求めるといったタイミングで、2年くらいのサイクルで買い替えられると見ています。1回で終わらず、次の購買へ確実につながる市場ですので、オーディオテクニカの製品を次もまた選んでいただけるよう、お客様に共感していただける価値提供を継続してまいります。
―― ユーザーコミュニケーションについては、昨今どんな取り組みが行われているでしょうか。
松本 1つはウェブサイトでの発信です。2019年にWebサイトをリニューアルしました。またオウンドメディア「Always Listening」の立ち上げと、公式ストアも開設しました。ブランドや製品の価値をユーザーに適切に伝えるため、Webマーケティング戦略も大きく改革しデジタルでの顧客接点とユーザーコミュニケーションを強化しています。情報発信についてはSNSがメインですね。
体感の場づくりも非常に重視しています。国内で札幌から沖縄まで拠点を構えて、各お取引先様でのお客様接点となる店頭でオーディオテクニカの製品を聴いていただくことを想定し、体感コーナーは常に強化しています。イヤホン、ヘッドホン製品は、ファッションのニーズを含め装着感も重要な要素ですし、何より我々が絶対の自信をもつ音質をぜひ実感していただきたいと思っています。
イベントも重要なユーザーコミュニケーションの場となります。ヘッドホンだけでなく、アナログ製品も含めて、オーディオテクニカのブランドを体感いただける機会を日本全国に拡大します。昨年7月には西日本エリアの拠点として「テクニカウス大阪」をオープン致しましたが、そこに併設したリスニングルームを活用してのイベントなども企画していきます。
―― 新しいお客様の獲得について、どういった施策が行われていますでしょうか。
松本 今回のATH-CKS50TW2などは、WEBやSNSを通じてファッションの軸で新しいお客様にアプローチしていますし、またアナログオーディオをインテリアやカルチャーの分野で展開しています。本来的なオーディオの枠を超える取り組みでブランドを知っていただく取り組みですね。
特にアナログの分野で、新しいお客様を獲得できている手応えは大いにあります。たとえば「サウンドバーガー」は、レコードを持っているけれどもインテリアとして飾るだけという若年層の方々をターゲットに、かつてご提案したモデルを復刻させ、大変ご好評をいただいています。そういう方々にとって、オーディオ機器は敷居が高いものと想定し、彼らが所有するレコードを“救おう”というマーケティングのメッセージで展開しています。
松本 アナログの雰囲気を感じたいとか、気軽にレコードを楽しみたいといった潜在的なニーズに応えることができれば、アナログの世界やレコードに興味を持つ方々が増え、我々のブランドや製品が評価される機会も広がりビジネスを成長させることができると考えています。
―― 受賞モデルをはじめ、さまざまな製品を通じた取り組みで、多くのお客様にアプローチされることを期待しています。有難うございました。
受賞インタビュー:オーディオテクニカ
音元出版のアワードVGP2025 ライフスタイル分化会において、オーディオテクニカの開放型ヘッドホンATH-ADX3000がヘッドホン大賞を、完全ワイヤレスイヤホンのATH-CKS50TW2がコンセプト大賞を受賞した。さまざまな角度で大きな存在感を示す、同社のヘッドホン事業への取り組みについて、国内営業部 ゼネラルマネージャーの松本竹見氏が語る。
株式会社オーディオテクニカ
国内営業部 ゼネラルマネージャー
松本竹見氏
■自社開発・生産ドライバー、唯一無二の価値を提供するオープンエアーヘッドホンATH-ADX3000
―― VGP2025におけるヘッドホン大賞、コンセプト大賞受賞、誠におめでとうございます。受賞に際しての率直なお気持ちはいかがでしょうか。
松本 栄えある賞をいただきまして本当に有難うございます。特に今回ヘッドホン大賞を頂戴しましたATH-ADX3000は、我々が本質的にずっと追い求めている音質を実現したモデルです。前モデルであるATH-ADX5000以来7年ぶりのリリースですが、感度の高いお客様や取引先様にご評価いただいたことに対し、非常に嬉しく思っております。
このオープンエアーというセグメントは、我々のもつ技術力を最も強くアピールできるところです。さまざまなブランドがある中で、この製品をご評価いただけたことに対して、エンジニア、生産、我々マーケティング、セールスと、関わってきたすべてのメンバーが非常に歓喜しており、本当に有難いことです。
―― ATH-ADX3000は、7年前のATH-ADX5000の基本構造を受け継ぎつつ、ハイエンドの間口を広げていろいろなお客様にアピールするコンセプトだとお見受けします。その登場の意義を、あらためてお伺いできますでしょうか。
松本 ATH-ADX5000は、7年前当時約26万円という価格で提案いたしました。純粋なオーディオファンの方々、室内でアンプを介してヘッドホンを使用するといった聴き方をされる方々に向け、しっかりと価値を提供するというものです。今回のATH-ADX3000は約16万円の価格ですが、そういった価値を味わっていただくために間口を広げ、多様化する用途にしっかりとお応えしていくというコンセプトですね。
オープンエアーについては、開発をおやめになるブランドもある中で、ドライバーも含めてプロダクトをワンストップで作れることは、我々の大きな強みです。技術的にヘッドホンは、密閉すればするほど空気の流れをコントロールしやすいのですが、密閉でないオープンエアーではなおさら音の要となるドライバーまでも、自信をもって自社でつくれることは大きなアドバンテージです。
―― オープンエアーの用途の多様化とは、どういったことでしょうか。
松本 室内でのオーディオリスニングといった従来的な用途はもちろん、昨今では、ゲーマーの方々にも好評いただいています。コンテンツの世界観をしっかりと表現してゲームに没入できる性能をもち、なおかつ軽量で音の抜けがいいところが大きなメリットですね。同様に映画など映像コンテンツの鑑賞にも好まれていますし、その快適性から在宅ワークでの使用にも向いています。純粋なオーディオ機器として音楽を楽しむ以外の用途も増え、時代のニーズに合致する存在になってきています。
アナログ製品でも同様ですが、音を追求するハイファイの分野で新しいお客様が加わってきたと実感しています。我々としても、マーケティングの手法も含めて次の世代を意識した施策を行っていますが、従来のオーディオファンの方々をリスペクトした上で、製品の魅力をさらに若い世代の方々に伝えていきたいですね。
―― オープンエアーのカテゴリーは、御社のヘッドホン展開の中でどのような位置付けでしょうか。
松本 このようにさまざまな使用シーンが想定されるため、製品特徴を再解釈することで、新たな購買層がクロスオーバーして需要もまだまだ伸びていくものと予測しています。
競合するブランドも少なくなっているので、そういった意味からも我々の戦略上非常に大きな存在であり、唯一無二の価値を提供できると思っています。
ラインナップも強化しながら拡張していきます。先日2月14日には、プロ向けのオープンエアー型モニターヘッドホン「ATH-R70xa」「ATH-R50x」を新たにローンチしました。このRシリーズというのはモニターヘッドホンであり、今回受賞致しましたADXがハイファイ向けであるのに対して、どちらかというとクリエイター向けの製品となりますが、こちらの動向にも期待しているところです。
■使い勝手に新提案、ファション性追求の完全ワイヤレスSOLID BASS「ATH-CKS50TW2」
―― 一方、コンセプト大賞受賞の完全ワイヤレスATH-CKS50TW2は、また全くコンセプトが違い、ターゲット層も異なります。「マグネティックスイッチ」の搭載が受賞の大きなポイントですが、どういった経緯でこうした企画が生まれてきたのでしょうか。
松本 このモデルも2世代目です。前モデルATH-CKS50TWもお客様に支持され、特徴である重低音も含めた音質と、駆動時間の長さを非常に高くご評価いただきました。今回のATH-CKS50TW2はそれらの特徴を踏襲しつつ、さらに進化したポイントはやはりマグネティックスイッチですね。
完全ワイヤレスイヤホンを持ち出す際は、ケースと本体は必ずセット、本体を使うときに取り出し、使わないときは必ずケースにしまうのが通常のスタイルですが、 マグネティックスイッチは本体だけでも持ち出せる新しいスタイルのご提案で、これが非常に大きなポイントです。LとRの本体同士をつけると電源がオフになり、まとまることで紛失の可能性も低くなります。そのまま充電されなくても、ノイズキャンセリングオフで最大25時間、オンで最大15時間の再生が可能になっています。
若年層の方々や重低音を望むお客様のライフスタイルや、使われるシーンを想定しながらアイデアをかなり重ねて、エンジニアやマーケティング担当者が製品やクリエイティブをつくりあげていきました。その結果、実際に重低音を望む方々にもしっかりと応えることができましたし、音質や再生時間の長さを求める方々にご共感いただいていますね。屋外で使われるシーンなどで、マグネティックスイッチもご好評を博しています。
―― 完全ワイヤレスはイヤホン市場の主流であると思いますが、昨今の市場動向はいかがでしょうか。
松本 完全ワイヤレスイヤホンは、スマートフォンと接続してコンテンツを聴く、通話する、さらには在宅ワークなどでも便利に使用され、今やライフスタイルの上で必需品とも言える存在となっています。市場も伸び続けていて、世界規模でも日本でも、確実にまだまだ大きく成長していくものと考えています。
我々のマーケティング活動でも分かってきていますが、最近では3万円以上といった製品が非常に伸びていて、若年層の方々の購買が顕著です。今後若年層の方々が消費の中心となり、単価も上がりながらしっかりと推移していくと想定します。エントリークラスはやはりコモディティ化し、様々なブランドさんが参入し競争も激しくなっていますが、全体で見れば市場規模は大きく、成長が期待できるカテゴリーと認識しています。
―― 若年層の方々が高価格帯モデルを購入されているというのは、興味深いですね。
松本 我々のセグメントの中では、3万円以上のモデルは20代前半のいわゆるZ世代と呼ばれる方々の購買がかなり増加しています。製品の価値が理解できれば、若い方々にとっても数万円の対価に抵抗感が薄れているのかもしれませんし、完全ワイレスイヤホンが生活シーンの中でそれほどまでに必需品になっているということだと思います。
また完全ワイヤレスには、確実に買い替え需要のサイクルがあります。新しい製品トレンドに惹かれる、ファッションアイテムとして新しい嗜好を求めるといったタイミングで、2年くらいのサイクルで買い替えられると見ています。1回で終わらず、次の購買へ確実につながる市場ですので、オーディオテクニカの製品を次もまた選んでいただけるよう、お客様に共感していただける価値提供を継続してまいります。
■体感の場の強化、あらゆる製品での多面的コミュニケーションでエンドユーザーを魅きつける
―― ユーザーコミュニケーションについては、昨今どんな取り組みが行われているでしょうか。
松本 1つはウェブサイトでの発信です。2019年にWebサイトをリニューアルしました。またオウンドメディア「Always Listening」の立ち上げと、公式ストアも開設しました。ブランドや製品の価値をユーザーに適切に伝えるため、Webマーケティング戦略も大きく改革しデジタルでの顧客接点とユーザーコミュニケーションを強化しています。情報発信についてはSNSがメインですね。
体感の場づくりも非常に重視しています。国内で札幌から沖縄まで拠点を構えて、各お取引先様でのお客様接点となる店頭でオーディオテクニカの製品を聴いていただくことを想定し、体感コーナーは常に強化しています。イヤホン、ヘッドホン製品は、ファッションのニーズを含め装着感も重要な要素ですし、何より我々が絶対の自信をもつ音質をぜひ実感していただきたいと思っています。
イベントも重要なユーザーコミュニケーションの場となります。ヘッドホンだけでなく、アナログ製品も含めて、オーディオテクニカのブランドを体感いただける機会を日本全国に拡大します。昨年7月には西日本エリアの拠点として「テクニカウス大阪」をオープン致しましたが、そこに併設したリスニングルームを活用してのイベントなども企画していきます。
―― 新しいお客様の獲得について、どういった施策が行われていますでしょうか。
松本 今回のATH-CKS50TW2などは、WEBやSNSを通じてファッションの軸で新しいお客様にアプローチしていますし、またアナログオーディオをインテリアやカルチャーの分野で展開しています。本来的なオーディオの枠を超える取り組みでブランドを知っていただく取り組みですね。
特にアナログの分野で、新しいお客様を獲得できている手応えは大いにあります。たとえば「サウンドバーガー」は、レコードを持っているけれどもインテリアとして飾るだけという若年層の方々をターゲットに、かつてご提案したモデルを復刻させ、大変ご好評をいただいています。そういう方々にとって、オーディオ機器は敷居が高いものと想定し、彼らが所有するレコードを“救おう”というマーケティングのメッセージで展開しています。
松本 アナログの雰囲気を感じたいとか、気軽にレコードを楽しみたいといった潜在的なニーズに応えることができれば、アナログの世界やレコードに興味を持つ方々が増え、我々のブランドや製品が評価される機会も広がりビジネスを成長させることができると考えています。
―― 受賞モデルをはじめ、さまざまな製品を通じた取り組みで、多くのお客様にアプローチされることを期待しています。有難うございました。