「欧州の新旧著名ブランドの牽引力は強力」
<CES>勢いを増すネットオーディオ − 山之内正の注目ブースレポート
CESの「ハイパフォーマンスオーディオ」分野の展示はこの数年ベネチアンホテルのスイートルームで集中的に行われており、今年も同会場を舞台に各社が音の競演を繰り広げた。
3方向に星形に伸びる廊下の両側に各社の展示スペースが並ぶフロアが2.5階分あり、その上層階には大きめのスイートが20部屋ほど点在。さらに少し距離の離れたコンベンション棟にも何社か展示を行っているし、1部屋に複数のブランドが展示しているケースも多いので、ハイエンドオーディオの展示としてはかなり規模は大きい方だろう。
それだけのブースがあるので早めに歩いてもすべて見終えるには2日はかかる。おなじみの顔に遭遇して話し込んだりすることもあるから、実際には2日でもなかなか終わらない。だが、これだけ集中的に見ると、やはりいろいろな収穫があるものだ。特に、最近のハイエンドオーディオ市場でどんな製品や話題が注目を集めているのか、大きな動きを知る絶好のチャンスだ。
今年の展示会場から実感したのは、しばらく前の最盛期ほどではないものの、直近の1〜2年に比べて出展社数、内容ともにやや活気を取り戻し、米国のハイエンドオーディオ市場が粘り強く生き延びようとしている事実だ。
特に、最近の世界共通の潮流であるネットオーディオ、PCオーディオの活況ぶりは個々米国と欧州で勢いを増し、確実に定着していることは間違いない。コンベンションセンター(LVCC)でのスマートホン、タブレット、ヘッドホン関連の展示の盛り上がりぶりはいうまでもないが、ハイエンドの世界でもオーディオの変化と進化は現在進行形で着実に歩みを進めているのだ。
以前はパソコンを音源に使っているブランドが何社か点在するという程度だったのだが、いまやNAS、パソコン、iPadのいずれかを置いていないブースを探す方が大変なほど、ファイル再生はごく当たり前の光景になっている。
CESは他のショウと違って来場者は販売店の仕入れ担当者などプロフェッショナルが中心で、一般のオーディオファンはほとんどいないのだが、彼らもそうした環境の変化はよく心得ていて、上手に見て回っている。接続済みのパソコンやiPadでハイレゾファイルを自ら選び、フォーマットの違いを聴き比べたりしているのだ。CDがメインソースの頃は説明担当者に頼んでディスクをかけてもらうというスタイルだったので、そこにもちょっとした様変わりが起きている。
ハイエンドブランドのなかには、ネットオーディオ、PCオーディオへの各社各様の姿勢を具体的な製品の形で提示し、新時代へのステートメントとして公開しているところが少なくない。いずれのブランドもその取り組みは半端なものではなく、独自性を追求しつつ徹底した作り込みを行って、存在感のある製品を提案。ハイレゾ音源はこれまでで最もクオリティの高いソースだから、その真価を引き出すために技術を結集するという姿勢をうかがうことができる。
写真で紹介しているブルメスター、ブラデリウス、メリディアンなど、特に欧州の新旧著名ブランドの牽引力は強力だ。
英国のリンがいちはやく提唱し、開拓した分野なので、当初はリンとの違いをどう提案するかという試行錯誤もあった。しかし、最近は各社独自のアプローチを洗練させていることが特徴で、高解像度ディスプレイを搭載するなど操作インターフェースの工夫や、ストレージ内蔵など、主に使い勝手の改善を狙っているブランドが目立つ。
「洗練」というキーワードは、ハイエンドのカテゴリーだけではなく、USBオーディオを中心にした手軽なオーディオ製品にも当てはまる。この分野の展示は以前よりずっとにぎやかになっていることに加え、洗練と多様化がいっそう進んでいるという印象を受けた。
D/Aコンバーターの分野はプレーヤーやアンプを上回るほど製品の数が多く、それらのほぼすべてがUSB入力を搭載。ヘッドホンアンプやプリアンプと一体化したモデルも目を引く。
身近な価格帯のコンポーネントで世界的に大きなシェアを獲得したケンブリッジオーディオは新世代のネットワークオーディオプレーヤーやD/Aコンバーターなど強力な製品を複数投入し、ネットオーディオに重点を置いた開発姿勢を鮮明にした。
エアーが発表したQA-9は、PCオーディオの多様化を象徴する製品の一つだ。USB-DACのQB-9とデザインを統一した同社の新しいA/Dコンバーターで、アナログレコード音源をA/D変換し、パソコンでライブラリ化する用途に的を絞った製品だ。
会場の様々な展示を通して実感したのは、良い音にアクセスするルートが以前よりも増えているという事実だ。以前は大出力の高級アンプ、大型スピーカーを揃えなければ聴けなかったような音が、もっと現実的なサイズ、価格で楽しめるようになっている。CESのハイパフォーマンスオーディオ展示は着実な進化を遂げているのである。
3方向に星形に伸びる廊下の両側に各社の展示スペースが並ぶフロアが2.5階分あり、その上層階には大きめのスイートが20部屋ほど点在。さらに少し距離の離れたコンベンション棟にも何社か展示を行っているし、1部屋に複数のブランドが展示しているケースも多いので、ハイエンドオーディオの展示としてはかなり規模は大きい方だろう。
それだけのブースがあるので早めに歩いてもすべて見終えるには2日はかかる。おなじみの顔に遭遇して話し込んだりすることもあるから、実際には2日でもなかなか終わらない。だが、これだけ集中的に見ると、やはりいろいろな収穫があるものだ。特に、最近のハイエンドオーディオ市場でどんな製品や話題が注目を集めているのか、大きな動きを知る絶好のチャンスだ。
今年の展示会場から実感したのは、しばらく前の最盛期ほどではないものの、直近の1〜2年に比べて出展社数、内容ともにやや活気を取り戻し、米国のハイエンドオーディオ市場が粘り強く生き延びようとしている事実だ。
特に、最近の世界共通の潮流であるネットオーディオ、PCオーディオの活況ぶりは個々米国と欧州で勢いを増し、確実に定着していることは間違いない。コンベンションセンター(LVCC)でのスマートホン、タブレット、ヘッドホン関連の展示の盛り上がりぶりはいうまでもないが、ハイエンドの世界でもオーディオの変化と進化は現在進行形で着実に歩みを進めているのだ。
以前はパソコンを音源に使っているブランドが何社か点在するという程度だったのだが、いまやNAS、パソコン、iPadのいずれかを置いていないブースを探す方が大変なほど、ファイル再生はごく当たり前の光景になっている。
CESは他のショウと違って来場者は販売店の仕入れ担当者などプロフェッショナルが中心で、一般のオーディオファンはほとんどいないのだが、彼らもそうした環境の変化はよく心得ていて、上手に見て回っている。接続済みのパソコンやiPadでハイレゾファイルを自ら選び、フォーマットの違いを聴き比べたりしているのだ。CDがメインソースの頃は説明担当者に頼んでディスクをかけてもらうというスタイルだったので、そこにもちょっとした様変わりが起きている。
ハイエンドブランドのなかには、ネットオーディオ、PCオーディオへの各社各様の姿勢を具体的な製品の形で提示し、新時代へのステートメントとして公開しているところが少なくない。いずれのブランドもその取り組みは半端なものではなく、独自性を追求しつつ徹底した作り込みを行って、存在感のある製品を提案。ハイレゾ音源はこれまでで最もクオリティの高いソースだから、その真価を引き出すために技術を結集するという姿勢をうかがうことができる。
写真で紹介しているブルメスター、ブラデリウス、メリディアンなど、特に欧州の新旧著名ブランドの牽引力は強力だ。
英国のリンがいちはやく提唱し、開拓した分野なので、当初はリンとの違いをどう提案するかという試行錯誤もあった。しかし、最近は各社独自のアプローチを洗練させていることが特徴で、高解像度ディスプレイを搭載するなど操作インターフェースの工夫や、ストレージ内蔵など、主に使い勝手の改善を狙っているブランドが目立つ。
「洗練」というキーワードは、ハイエンドのカテゴリーだけではなく、USBオーディオを中心にした手軽なオーディオ製品にも当てはまる。この分野の展示は以前よりずっとにぎやかになっていることに加え、洗練と多様化がいっそう進んでいるという印象を受けた。
D/Aコンバーターの分野はプレーヤーやアンプを上回るほど製品の数が多く、それらのほぼすべてがUSB入力を搭載。ヘッドホンアンプやプリアンプと一体化したモデルも目を引く。
身近な価格帯のコンポーネントで世界的に大きなシェアを獲得したケンブリッジオーディオは新世代のネットワークオーディオプレーヤーやD/Aコンバーターなど強力な製品を複数投入し、ネットオーディオに重点を置いた開発姿勢を鮮明にした。
エアーが発表したQA-9は、PCオーディオの多様化を象徴する製品の一つだ。USB-DACのQB-9とデザインを統一した同社の新しいA/Dコンバーターで、アナログレコード音源をA/D変換し、パソコンでライブラリ化する用途に的を絞った製品だ。
会場の様々な展示を通して実感したのは、良い音にアクセスするルートが以前よりも増えているという事実だ。以前は大出力の高級アンプ、大型スピーカーを揃えなければ聴けなかったような音が、もっと現実的なサイズ、価格で楽しめるようになっている。CESのハイパフォーマンスオーディオ展示は着実な進化を遂げているのである。