いま注目度No.1のジャズシンガー・SHANTIが新アルバム『LOTUS FLOWER』への思いとこだわりを語る

公開日 2012/04/24 09:30 田中伊佐資
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2012年2月22日に日本コロムビアよりリリースしたニューアルバム『LOTUS FLOWER』が好調なSHANTI(シャンティ)。CD、および配信の売れ行きも高く、実力・人気共に日本のジャズシンガーとしてトップに踊り出た観がある。


ニューアルバムが好調なSHANTI
ここでは、そのアルバム制作について、オ―ディオ評論家の田中伊佐資氏が直接SHANTIご本人にお会いし、インタビューした内容をご紹介したい。

(季刊オーディオアクセサリー144号より転載/Photo by 大原朋美)


ミックスやマスタリングも最後まで立ち会って

田中 デビュー盤の『BORN TO SING』とセカンド・アルバムの『ROMANCE WITH ME』は「日本プロ音楽録音賞」を受賞しています。エンジニアの方も含めて音にたいへん配慮しているようですね。

SHANTI はい。あらかじめ用意された演奏テイクに声をかぶせるのではなく、どのアルバムも全て同時録音でやっています。全員が空気を一緒に共有しているというのはとっても大事で、それは音に出ますよね。また、ミックスやマスタリングも最後までバンドの仲間と一緒に立ち会っています。自分のイメージが最後の段階で変わってしまったら残念ですから。

田中 たとえばどのようなディレクションをしているんですか。


キュートなルックスながらプロデュース能力も高い実力派であることがインタビューで分かった
SHANTI 音の配置でずいぶん印象が変わりますから、コーラスはこの位置でとか、ギターはこのあたりでとか伝えています。声の質感も、ウェットなのかドライなのか、ベースの音も、ビーンッと前へ来る感じなのか、モコモコした感じなのか、とかニュアンスを伝えて、自分のセンスを打ち出したいと思っています。

田中 SHANTIさんご自身が、そこまでサウンドに関してディレクションしているとは、驚きました。

SHANTI ありがとうございます。実際、伝える時って、最初は勇気が要りますよ。でも、エンジニアの方の技術やノウハウを尊重しながら、ちゃんと伝えていくと、だんだん理解が深まって、いい感じでみんなで一緒に作っていく雰囲気になっていくんです。

田中 それは素晴らしいことですね。


逆境にあっても笑い飛ばせる心の余裕が必要ですよ

田中 今回は、ミニ・アルバムをはさんでフルアルバムとしては3枚目の最新作『LOTUS FLOWER』が届きました。意気込みを聞かせてください。

SHANTI いままではカヴァー曲が多かったので、ソングライターとしてずっとうずうずしていたんです。ファースト・アルバムは共作が多かったし。今回はひとりで書いた曲がほとんどですね。そこがこれまでと大きな違いです。

田中 作品を通して大きなテーマはありますか。

SHANTI たったいま、ひとりの人間として考えていること、感じていることをストレートに伝えたいと思いました。ロックやポップスなど音楽ジャンルに関係なく「これがSHANTIですよ」というメッセージ性を強くしています。またアルバム1枚を聴いてみて、聴き手が明るくてハッピーになるような作品に仕上げました。遊び心を持たせたかったんですね。どんな逆境でも自分を笑い飛ばせる心の余裕が日常生活に必要ですよ。

田中 実際には忙しい生活があっても?!

SHANTI そうですね。私自身、レコーディング・スケジュールはタイトで余裕がなかったですけど(笑)。昨年、夏のヨーロッパ・ツアーが終わってからすぐに作曲してアレンジ、そのままレコーディングでした。

田中 ヨーロッパ・ツアーはどこを回ったのですか。

SHANTI フランス、ドイツ、ポルトガル、スペイン4か所計6公演です。私の知名度に関係なく、どんな音楽をやっているのかにもこだわらず、数百人規模でお客さんが集まってくれました。皆さん音楽にとてもどん欲ですね。やりがいを感じました。と同時に日本で暮らしている自分のアイデンティティを再確認しましたね。

田中 それがソング・ライティングに反映されていると思います。ところでカヴァー曲のセレクトも絶妙ですね。

SHANTI カヴァー曲は入れなくてもいいかなと思っていたんですね。でも「WEARY」はライヴで歌っていて、よくお客さんからCDで聴きたいとリクエストがもらっていたんですね。「SAVING ALL MY LOVE FOR YOU」は、たまたまジャム・セッションで歌ったところ好評だったので採用しました。いいアイデアは素直に受け入れるタイプなんです。

田中 「SAVING ALL〜」は大ヒット曲ということでプレッシャーはなかったですか。

SHANTI 特になかったですね。ホイットニー・ヒューストンのように歌いたいと思っていないし、自分が好きなR&Bやソウルなどのコンテンポラリーな要素がある曲なので。ただ「OVERJOYED」を歌うことについては抵抗がありました。誰が歌ってもスティーヴィー・ワンダーの声しか聴こえて来ないような曲ですよ。でもギタリストの西山‘HANK’史翁さんのアレンジが素晴らしくて、挑戦したくなりました。

田中 ファンからのリクエストで採用した曲もあるとか?

SHANTI はい。最後のボーナストラック「ESTRADA BRANCA(THIS HAPPY MADNESS)」は、ファンの皆さんからのリクエストで収録候補に挙がっていたんです。去年クリヤマコトさんとミニツアーをやってみて楽しかったので、ぜひクリヤさんと、ということで共演させてもらいました。アルバムの締めにふさわしい出来映えですから聴いてみてくださいね。

田中 本日はありがとうございました。


■SHANTI(シャンティ):ヴォーカリスト/シンガーソングライター

幼い頃から様々な音楽に触れ、小学生の時、聖歌隊で賛美歌を歌い、ミュージカルも経験。1997年バークリー音楽院サマースクール留学帰国後、CMの作詞作曲、ナレーション、ライヴ活動等を開始。桑田佳祐、サディスティックミカバンド、CHAR、小林桂、マリーン、TAKE6などと共演。2010年のメジャーデビューして以来、アルバム全てがiTunesジャズチャート1位に。2011年よりNHK BS1「地球テレビ〜エルムンド」金曜日MCなどTVでも活躍。日本オーディオ協会「日本プロ音楽賞」にてアルバム『Born to Sing』が優秀賞を、『Romance with me』 が最優秀賞を受賞。絵画や写真など歌手活動以外でも多彩な才能を開花させている。



2012年2月22日に発売されたニューアルバム『LOTUS FLOWER』
■SHANTI新アルバム『LOTUS FLOWER』 
2012年2月22日発売
初回DVD付限定盤:COZY-648-9 [2枚組]¥3,150
通常盤:COCB-53991¥2,800
収録曲
1.MEMORIZE(SHANTI)
2.SUNSHINE(SHANTI/小沼ようすけ&SHANTI)
3.LOTUS FLOWER(SHANTI/Hank Nishiyama&SHANTI)
4.SAVING ALL MY LOVE FOR YOU(Gerald Goffin&Michael Masser)
5.CANDY(SHANTI)
6.I ALEADY LOVE YOU(SHANTI)
7.STANDING ON THE OUTSIDE OF LOVE(SHANTI)
8.WEARY(Amel Larrieux&Laru Larrieux)
9.LOTUS FLOWER 〜NK's break time
10.GALAXY(SHANTI)
11.OVERJOYED(Stevie Wonder)
12.<Bonus Track>
ESTRADA BRANCA(THIS HAPPY MADNESS)
(Vinicius de Moraes&Gene Lees/Antonio Carlos Jobim)
* 初回盤には上記楽曲の入ったCDのほか4曲映像入りのDVDがつきます


■そのほかのSHANTIのアルバム

『Born to Sing』COCB-53916

『Romance with me』COCB-53964

『Sunny and Blue』 COCB−53970

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