レコードの本当の音に迫れる
最先端を追求するiFIだからこそのフォノEQ「iPhono」
時代によって異なる特性のレコードを正しく鳴らす
iFI(アイファイ)オーディオは、オーディオの世界に彗星のごとく出現したイギリスのブランドだ。その母体はAMR(Abbingdon Music Research)とハイエンドブランドだが、iFIオーディオは主にコンパクトモデルに特化した物作りを行っている。
その中核をなすmicroシリーズの筐体は、手のひらより少し大きいほどのサイズにすぎない。しかしながらその中には最先端のエレクトロニクスが組み込まれている。なかでも最新型USB DACのmicro iDSDは、DSD24.6MHzまでの対応というスーパーハイスペックを実現し、オーディオ界に大きなインパクトを与えた。こうした小型ながらも革新的なモデルを手がけるのは、トルステン・レッシュという人物。デジタルオーディオ界ではいまや「天才中の天才」といっても過言ではない地位を築く人物だが、彼は無類のアナログ&真空管愛好家でもある。彼によると、デジタルをアナログに近似させるには、とんでもないハイスペックが必要だというのは非常に興味深い。本機iPhonoは、そんなトルステン氏が手がけたフォノイコライザーだ。
iPhonoの電源部はアダプタ方式だが、機能は多彩。MM/MCはもちろんのこと、底部にあるディップスイッチの切り換えでさまざまな定数とサブソニックフィルターのON/OFFを選択することができる。驚くべきはイコライザーカーブを何種類にも選択できることだ。通常のRIAAに加えて、DECCA(FFRR)とCOLUMBIA等のポジション、そしてeRIAAというカーブも用意されている。これは位相特性と高域特性が良好ではない現代のLPをかけるためのものだ。
これだけ多くのポジションを設けた背景には、LPの逆イコライゼーション特性が時代や地域によってまちまちだというレッシュ氏の主張があるようだ。とはいえ、家庭での再生におけるイコライゼーションに関しては、極端に厳密にする必要はなく、聴感上好ましいポジションを選択すればよいと筆者個人は考えている。事実、試しにeRIAAのポジションを選択して試聴してみたが、音場・音像ともに非常に美しい、スーパーハイレゾとも言うべきモダンなサウンドが得られた。
クセのない素直なサウンド。音の色数の多さに驚かされる
試聴に用いた1980年代後半以降の盤をRIAAのポジション聴くと、クセのない素直なサウンドが得られる。クセがないのでカートリッジやプレーヤー固有の共振モードのようなものがよく伝わってくる。演奏の内容も的確に描き出すようで、熱い演奏はホットに、冷静な演奏はクールに聴こえる。ある種のヴィンテージ機のように全てを熱演タイプに染め上げてしまうようなことはない。
ジャズは非常にスリリング。ダイナミクスの変化に対して鋭敏に反応するので、ミュージシャンの伝えたいことが分かったような気分になってくる。また分解能が素晴らしく、大音量でもセッションのありさまが明瞭に提示される。ヴォーカルは歌手や録音によって聴き味が大きく異なるような印象だ。おそらくは、音色への追随性が非常に良好だからだろう。クラシックはアナログらしい豪快さもさることながら、音の色数の多さに驚かされた。使いこなしは決してやさしいものではないが、限りなく理想に近い音を追求できる超高性能フォノイコライザーである。
iFI(アイファイ)オーディオは、オーディオの世界に彗星のごとく出現したイギリスのブランドだ。その母体はAMR(Abbingdon Music Research)とハイエンドブランドだが、iFIオーディオは主にコンパクトモデルに特化した物作りを行っている。
その中核をなすmicroシリーズの筐体は、手のひらより少し大きいほどのサイズにすぎない。しかしながらその中には最先端のエレクトロニクスが組み込まれている。なかでも最新型USB DACのmicro iDSDは、DSD24.6MHzまでの対応というスーパーハイスペックを実現し、オーディオ界に大きなインパクトを与えた。こうした小型ながらも革新的なモデルを手がけるのは、トルステン・レッシュという人物。デジタルオーディオ界ではいまや「天才中の天才」といっても過言ではない地位を築く人物だが、彼は無類のアナログ&真空管愛好家でもある。彼によると、デジタルをアナログに近似させるには、とんでもないハイスペックが必要だというのは非常に興味深い。本機iPhonoは、そんなトルステン氏が手がけたフォノイコライザーだ。
iPhonoの電源部はアダプタ方式だが、機能は多彩。MM/MCはもちろんのこと、底部にあるディップスイッチの切り換えでさまざまな定数とサブソニックフィルターのON/OFFを選択することができる。驚くべきはイコライザーカーブを何種類にも選択できることだ。通常のRIAAに加えて、DECCA(FFRR)とCOLUMBIA等のポジション、そしてeRIAAというカーブも用意されている。これは位相特性と高域特性が良好ではない現代のLPをかけるためのものだ。
これだけ多くのポジションを設けた背景には、LPの逆イコライゼーション特性が時代や地域によってまちまちだというレッシュ氏の主張があるようだ。とはいえ、家庭での再生におけるイコライゼーションに関しては、極端に厳密にする必要はなく、聴感上好ましいポジションを選択すればよいと筆者個人は考えている。事実、試しにeRIAAのポジションを選択して試聴してみたが、音場・音像ともに非常に美しい、スーパーハイレゾとも言うべきモダンなサウンドが得られた。
クセのない素直なサウンド。音の色数の多さに驚かされる
試聴に用いた1980年代後半以降の盤をRIAAのポジション聴くと、クセのない素直なサウンドが得られる。クセがないのでカートリッジやプレーヤー固有の共振モードのようなものがよく伝わってくる。演奏の内容も的確に描き出すようで、熱い演奏はホットに、冷静な演奏はクールに聴こえる。ある種のヴィンテージ機のように全てを熱演タイプに染め上げてしまうようなことはない。
ジャズは非常にスリリング。ダイナミクスの変化に対して鋭敏に反応するので、ミュージシャンの伝えたいことが分かったような気分になってくる。また分解能が素晴らしく、大音量でもセッションのありさまが明瞭に提示される。ヴォーカルは歌手や録音によって聴き味が大きく異なるような印象だ。おそらくは、音色への追随性が非常に良好だからだろう。クラシックはアナログらしい豪快さもさることながら、音の色数の多さに驚かされた。使いこなしは決してやさしいものではないが、限りなく理想に近い音を追求できる超高性能フォノイコライザーである。
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