ベートーヴェンの交響曲シリーズ6作品

TACET、“ハーフスピード・マスタリング”や“逆再生”機構を施したアナログレコード

公開日 2017/05/12 14:59 編集部:小野佳希
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ハイ・ファイ・ジャパンは、ソースを半分の速度で再生し、カッティングレースも同様に半分の速度で動作させてラッカー盤を製作する「ハーフスピード・マスタリング」や、針先が音溝内周から外周へ向かって通常とは逆に動く逆再生機構を施すなどしたアナログレコードを6月に発売する。

ハーフスピード・マスタリングと逆再生の両方を採用した TACET L240「交響曲第5番 Cマイナー 作品67」

同社が取り扱う独TACET(タチェット)レーベルのLPの新作。ベートーヴェンの交響曲をシリーズとして用意し、いずれも演奏はポーランド室内フィルハーモニー管弦楽団、指揮がヴォイチェフ・ライスキ。6作品中5作品でハーフスピード・マスタリングを、2作品で逆再生を採用している。

ハーフスピード・マスタリングでは基本的に、ソースを半分の速度で再生し、カッティングレースも同様に半分の速度で動作させてラッカー盤を製作。でき上がったラッカー盤を通常の速度で再生すれば、全て元のテンポとピッチで再生されるというわけだ。ハーフスピード・マスタリングはより正確で明瞭、精細なカッティングを可能にするという。

ハーフスピードではテンポが遅くなるだけでなく、ピッチも2の関数で低下。例えば40kHzの音も一般的な録音の20kHzと同じように記録される。これによって電気系ではより高い周波数まで扱うことができ、カッティング・スタイラスはあらゆるディテールをラッカー層の中に静かに刻み込んでゆくという。

逆再生の作品では、ターンテーブルは通常どおり、順方向に回転するが、音楽は逆方向の内周から外周へ向かって再生される。なお、通常のように針を外周に降ろしてしまったとしても、リードアウト・グルーブのループをずっと走り続けるだけであるため、機器を壊すなどの不具合が起こることはない。

同レーベルでは、この独特な方法を採用した理由として、ターンテーブルの回転数は一定であるため通常のレコードでは、トーンアームが内側へ入るほど単位当たりの長さに対してより多くの情報を詰め込まなければならないことが背景にあると説明。

例えば針先がレコードの回転方向へ40cm動いたときと、10,000Hzの信号に対しての振動は前後にわずか1mm。音が小さなときはそれでも動作するが、音量が大きくなると溝の刻みが深くなり、高域の減衰、歪みなどの問題が起きてくるとする。

非常に小さな音で始まり極度の大音量で終わる「ボレロ」のような楽曲では、逆再生にすれば、マスタリング・システムの感触はずっとよくなり、これによって通常より大きめに再生することができ、バックグラウンド・ノイズとのコントラストがいっそう明瞭になって音質向上につながるとしている。

作品ラインナップは下記の通り。

■TACET L238「交響曲第1, 2+8番」:9,800円(2枚組)
チューブ・サウンド
ハーフスピード・マスタリング

■TACET L239「交響曲第3+4番」:9,800円(2枚組)
チューブ・サウンド
ハーフスピード・マスタリング

■TACET L240「交響曲第5番 Cマイナー 作品67」:4,900円
チューブ・サウンド
ハーフスピード・マスタリング
Side 2 : 逆再生 play backwards!

■TACET L241「交響曲第6番 Fマイナー 「パストラーレ」 作品68」:4,900円
チューブ・サウンド
ハーフスピード・マスタリング

■TACET L242「交響曲第7番 Aマイナー 作品92」:4,900円
チューブ・サウンド
ハーフスピード・マスタリング

■TACET L219「交響曲第9番 Dマイナー 作品125」:9,800円(2枚組)
チューブ・サウンド
Side 4 : 逆再生 play backwards!

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