さらに強化されるPyramixサウンド
<HIGH END>MERGING、NADAC専用強化電源「POWER」を展示。FPGAボードなどRavenna対応もアピール
MERGINGは現在開催中のHIGH END 2017にて、同社の「NADAC」「NADAC PLAYER」専用の強化電源となる「POWER」と、同社が採用する伝送プロトコル「Ravenna」に対応させるためのFPGAボード、「ZMan」のプロトタイプを発表した。また、同社のブースでは新たにRavenna伝送に対応したプロダクトのデモンストレーションも行っており、来場者からの高い関心を集めている。
NADACは、同社が誇るDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)ソフトウェアであるPyamix Systemを構成するネットワークコンバーター、「Horus」と「Hapi」の技術を投入したコンシューマー向けラインアップとして開発されたモデル。同社のソフトウェア開発部門のチーフであるDominique Brulhart氏は兼ねてから強化電源ユニットとさまざまな機器に応用できるオプションボードの開発の意向を示してきたが、今回初めてその全貌が明らかになる形となった。
■「POWER」
POWERはNADACと同一のサイズで構成される強化電源ユニット。内部はリニア電源とスイッチング電源のハイブリッドで構成されることが特徴で、内部には大型のトロイダルトランスや大型のコンデンサーなど高品位なパーツを存分に投入して開発が進められている。
リニア電源は主にアナログオーディオ回路用に、スイッチング電源はデジタルで動作する回路用にそれぞれ電源を供給する仕組みとなる。特に内部にRoon Core等の一種のOSを搭載するNADAC PLAYERでは、起動時とアイドル時で使用する電流容量が変動することになるため、リニア電源ではなくスイッチング電源が必ず必要となるが、POWERではそうしたセクションにも極めて安定した良質な電源を供給することを可能とする。
NADAC/NADAC PLAYERとの接続に用いられるケーブルは大型のレモ端子を接続した極太のケーブル。中には10本の電源線が使用され、NADAC/NADAC PLAYER内部のそれぞれのセクションへ最適な電圧で電源を供給する仕組みとなっている。フロントパネルのカラーディスプレイには、供給している電源のステータスが表示される仕組みだ。
残念ながらまだまだ試作の段階にあるため内部の写真を公開することはできないが、現時点での回路構成は極めて大掛かりなもの。Brulhart氏によると「今回のPOWERの開発は、MERGINGの担当エンジニアが考えていることを全て投入した構成となる電源です。彼のこだわりは非常に強く、POWERはハイエンドオーディオにふさわしい極めて強力なパワーサプライとして出来上がりつつあります」とのことで、これまでスイッチング電源のみでの駆動だったNADAC/NADAC PLAYERのサウンドを大きく飛躍させる製品となることをアピールした。
なお、アップグレードにあたっては、従来のNADAC/NADAC PLAYERに搭載されたスイッチング電源回路を取り外し、同時に電源周りのプラグも変更されるハードウェアアップデートが必要となる予定とのこと。現時点での価格はまだ未定だが、75万円程度を目指して開発が進められているとのことだ。
■「Zman」
今回のHIGH END 2017でもう一つの注目を集めたのが、MERGINGが現在開発中のFPGAボード、Zman。これはCDプレーヤーやスピーカーシステムといったあらゆるコンポーネントに組み込むことで、それらの機器をMERGINGが採用する伝送プロコトル、Ravennaに対応させるというものだ。
ZmanそのものはMERGINGの製品だけではなく、他社の製品にもOEMで供給するべく開発が進められている。
そもそもMERGINGは、11.2MHz DSDやDXD、イマーシヴオーディオなど極めて情報量の多いデータを扱うレコーディングソリューションを供給している企業でもある。この情報量を効率的に伝送すべく、AUDIO Over IPのひとつであるRavennaを採用してきた。またオープンなプロコトルであることも、同社がRavennaを採用する大きな理由となっている。
このZmanのサイズは、別のAUDIO Over IP伝送プロコトルである「Dante」のボードと同じサイズとなっており、Dante対応システムの基板をZManに載せ替えて使用することも可能となっていることも特徴だ。
「Danteはサンプルレート等に制約がありますが、ZManはそうしたシステムを大きく変更することはなく、簡単にRavennaによる大容量伝送に切り換えることができる」とBrulhart氏はこのサイズを採用した理由を語る。もちろん、内部にはMERGINGのプログラミング技術がFPGAに実装されていることも見逃せないポイントだ。
Brulhart氏は以前の大阪ハイエンドオーディオショウにて、スイスの大学であるSUPSIとの協同で「JamSection」というインターネット回線を活用したライヴ・ミュージック・エコシステムの開発を進めていると話していたが、Zmanはそうした未来のMERGINGのソリューションにとっても極めて重要な意味を持つボードとなる。
■Ravenna対応を果たしたソリューション
MERGINGが採用するRavennaはコンシューマー分野での対応機がなかったが、このHIGH END 2017では新たに対応を果たしたコンシューマープロダクトも発表され話題を呼んでいる。
今回Ravenna対応が発表されたのが、DELAのオーディオサーバーとなる「N1」シリーズとAurenderのオーディオサーバー、そしてRoon OSを内部に組み込んだ「Roon OS ROCK」の3種類。Ravenna伝送に対応したこれらのサーバー機器を用いることで、NADACを始めとしたMERGINGのプロダクトのポテンシャルはさらに引き出されることになった。
もともとプロオーディオソリューションを開発してきたMERGINGにとって、コンシューマーでRavenna伝送を浸透させることもひとつのテーマとなっていたが、今回の発表によりその目的の一部が達成されたことになる。先述したJamSectionも含めて、レコーディングソリューションを提供する企業ならではのコンシューマー提案に、会場では注目が集まっている。
NADACは、同社が誇るDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)ソフトウェアであるPyamix Systemを構成するネットワークコンバーター、「Horus」と「Hapi」の技術を投入したコンシューマー向けラインアップとして開発されたモデル。同社のソフトウェア開発部門のチーフであるDominique Brulhart氏は兼ねてから強化電源ユニットとさまざまな機器に応用できるオプションボードの開発の意向を示してきたが、今回初めてその全貌が明らかになる形となった。
■「POWER」
POWERはNADACと同一のサイズで構成される強化電源ユニット。内部はリニア電源とスイッチング電源のハイブリッドで構成されることが特徴で、内部には大型のトロイダルトランスや大型のコンデンサーなど高品位なパーツを存分に投入して開発が進められている。
リニア電源は主にアナログオーディオ回路用に、スイッチング電源はデジタルで動作する回路用にそれぞれ電源を供給する仕組みとなる。特に内部にRoon Core等の一種のOSを搭載するNADAC PLAYERでは、起動時とアイドル時で使用する電流容量が変動することになるため、リニア電源ではなくスイッチング電源が必ず必要となるが、POWERではそうしたセクションにも極めて安定した良質な電源を供給することを可能とする。
NADAC/NADAC PLAYERとの接続に用いられるケーブルは大型のレモ端子を接続した極太のケーブル。中には10本の電源線が使用され、NADAC/NADAC PLAYER内部のそれぞれのセクションへ最適な電圧で電源を供給する仕組みとなっている。フロントパネルのカラーディスプレイには、供給している電源のステータスが表示される仕組みだ。
残念ながらまだまだ試作の段階にあるため内部の写真を公開することはできないが、現時点での回路構成は極めて大掛かりなもの。Brulhart氏によると「今回のPOWERの開発は、MERGINGの担当エンジニアが考えていることを全て投入した構成となる電源です。彼のこだわりは非常に強く、POWERはハイエンドオーディオにふさわしい極めて強力なパワーサプライとして出来上がりつつあります」とのことで、これまでスイッチング電源のみでの駆動だったNADAC/NADAC PLAYERのサウンドを大きく飛躍させる製品となることをアピールした。
なお、アップグレードにあたっては、従来のNADAC/NADAC PLAYERに搭載されたスイッチング電源回路を取り外し、同時に電源周りのプラグも変更されるハードウェアアップデートが必要となる予定とのこと。現時点での価格はまだ未定だが、75万円程度を目指して開発が進められているとのことだ。
■「Zman」
今回のHIGH END 2017でもう一つの注目を集めたのが、MERGINGが現在開発中のFPGAボード、Zman。これはCDプレーヤーやスピーカーシステムといったあらゆるコンポーネントに組み込むことで、それらの機器をMERGINGが採用する伝送プロコトル、Ravennaに対応させるというものだ。
ZmanそのものはMERGINGの製品だけではなく、他社の製品にもOEMで供給するべく開発が進められている。
そもそもMERGINGは、11.2MHz DSDやDXD、イマーシヴオーディオなど極めて情報量の多いデータを扱うレコーディングソリューションを供給している企業でもある。この情報量を効率的に伝送すべく、AUDIO Over IPのひとつであるRavennaを採用してきた。またオープンなプロコトルであることも、同社がRavennaを採用する大きな理由となっている。
このZmanのサイズは、別のAUDIO Over IP伝送プロコトルである「Dante」のボードと同じサイズとなっており、Dante対応システムの基板をZManに載せ替えて使用することも可能となっていることも特徴だ。
「Danteはサンプルレート等に制約がありますが、ZManはそうしたシステムを大きく変更することはなく、簡単にRavennaによる大容量伝送に切り換えることができる」とBrulhart氏はこのサイズを採用した理由を語る。もちろん、内部にはMERGINGのプログラミング技術がFPGAに実装されていることも見逃せないポイントだ。
Brulhart氏は以前の大阪ハイエンドオーディオショウにて、スイスの大学であるSUPSIとの協同で「JamSection」というインターネット回線を活用したライヴ・ミュージック・エコシステムの開発を進めていると話していたが、Zmanはそうした未来のMERGINGのソリューションにとっても極めて重要な意味を持つボードとなる。
■Ravenna対応を果たしたソリューション
MERGINGが採用するRavennaはコンシューマー分野での対応機がなかったが、このHIGH END 2017では新たに対応を果たしたコンシューマープロダクトも発表され話題を呼んでいる。
今回Ravenna対応が発表されたのが、DELAのオーディオサーバーとなる「N1」シリーズとAurenderのオーディオサーバー、そしてRoon OSを内部に組み込んだ「Roon OS ROCK」の3種類。Ravenna伝送に対応したこれらのサーバー機器を用いることで、NADACを始めとしたMERGINGのプロダクトのポテンシャルはさらに引き出されることになった。
もともとプロオーディオソリューションを開発してきたMERGINGにとって、コンシューマーでRavenna伝送を浸透させることもひとつのテーマとなっていたが、今回の発表によりその目的の一部が達成されたことになる。先述したJamSectionも含めて、レコーディングソリューションを提供する企業ならではのコンシューマー提案に、会場では注目が集まっている。