山之内 正がショウを総括(後編)
山之内正が「HIGH END」で見たアナログレコード再生の最前線。最新モデルのサウンドとは?
ミュンヘンで5月18日から21日まで開催されたHighEnd 2017から筆者が注目した展示をピックアップして紹介しよう。後半はアナログオーディオに焦点を合わせ、音の印象にも触れながら振り返る。
HIGH ENDは以前からレコード関連の展示が他のイベントに比べて多いことで知られていたが、その勢いは最近さらに加速しているように見える。デモンストレーションで再生する音源はざっと半分ぐらいがLPレコードで、残りの多くはハイレゾなどファイル音源が占め、CDをメインに再生するブースは少数派になってしまった。ホール会場に出店したレコードショップは例年以上のにぎわいを見せ、品揃えも以前より充実して選ぶ楽しみが増えた。特にレコード愛好家なら強く興味を引かれるイベントの代表格である。
そんなアナログ好きを支えているのが、欧州メーカーが提供する再生機器の充実ぶりである。日本に輸入されていないブランドも含めてプレーヤーやアームを展示するメーカーが思いがけずたくさんあり、トランスローターに代表されるドイツの高級ターンテーブル専門ブランドに加え、プロジェクト、クリアオーディオ、トーレンスなど幅広いラインナップを擁するメーカーも少なくない。
老舗のなかではエラックが90周年記念モデルとしてミラコードを昨年末に復活させたし、今年は名門ブランドのブルメスターがレコードプレーヤーの開発に着手したことも話題を集めた(関連ニュース)。
■TechDASは超弩級アナログプレーヤー「AirForce ZERO」の旗艦技術を公開
そんななか、技術的に先鋭なアプローチにチャレンジしている日本メーカーの存在感が今年はひときわ目を引いた。ターンテーブルの場合、欧州メーカーは分厚いアクリルまたは金属製の重量級プラッターで慣性質量を高める手法が中心を占め、駆動方式やサスペンションにまで目を向けている例はそれほど多くない。それだけにエアサスペンションや吸着システムを突き詰めたTechDAS(テクダス)のアプローチはドイツでも年々注目が高まっているのだが、今年は同社が開発中のAirForce ZEROの基幹技術から一部を公開して、再び旋風を巻き起こした。
秋に予定する正式発表に先行して行われた今回のプレ発表では、タングステン製アッパープラッターとハイトルク型巨大モーターを初公開し、AirForce ZEROの可能性を来場者に強く印象付けた。
今回はベースモデルのAir Force ONE Premiumに前述の大型モーターとアッパープラッターを組み合わせるという構成でプロトタイプを出展した。プラッターのサイズは30cm径だったが、次の段階として40cm径への拡大も検討中とのこと。タングステンの比重は鉄の2倍以上、アルミの約6倍に相当するため、30cmでも持ち上げるのに苦労するほどの重さになり、40cm径となると容易には持ち上がらないほどの重量になるはずだ。もちろん音速でも他の素材を圧倒する。
その重量級プラッターを安定して駆動するには今回公開されたような大トルクのモーターが不可欠になり、システムとしてのサイズや価格もAir Force Oneを大きく上回ることが予想される。
エアフローティングと吸着システムを組み合わせる基本構造はシリーズ共通だが、圧力制御の機構を見直したAirForce One Premiumと同等またはそれ以上のメカニズムが導入されることは間違いなさそうだ。
会場では開発者の西川英章氏が自ら持参したLPレコードを用いてデモンストレーションを実施、その再生音からAirForce ZEROプロトタイプの恐るべきポテンシャルを垣間見ることができた。クライバー指揮バイエルン国立歌劇場《椿姫》、エラ&ルイ・アゲイン、ホイットニー・ヒューストン、Dialogueの4枚を聴いたが、なかでも菅野沖彦氏が録音した名盤Dialogueの鮮度の高いサウンドには度肝を抜かれた。
これまで何度も聴いたレコードだが、ここまで力強くアグレッシブな音を聴いたのは今回が初めてだ。あらかじめスタッフが大きめの音量に設定したあと、西川氏は「まだ行ける」とさらにボリュームを大きく回し、隣のブースへの音漏れが心配になるほどの大音量に再設定。それでも飽和する様子はなく、モーターに由来するノイズやハウリングもまったく聞こえてこない。バスドラムはマッシブで密度が高く、サックスの音像は原寸大でライヴさながらの生々しい感触が蘇る。椿姫の序曲では完全な静寂からヴァイオリンの旋律が立ち上がり、群を抜く高S/Nを実現していることがわかる。
リスナーから感嘆の声が漏れるほど別次元の再生音を実現していたが、その性能を引き出すうえで不可欠なのが、独自の工夫に満ちたエアフローティングと吸着システムであることはいうまでもない。大音量再生時に盤面を叩いてもなんの影響も出ないが、吸着をオフにして叩けば途端に「ボンッ」いうノイズが出る。超低ノイズのハイトルクモーター、巨大なイナーシャ、そして精度の高いエアフローティングを組み合わせることで広大なダイナミックレンジを実現していることをあらためて実感した。
プロトタイプの段階でここまでの音が出ているということは、完成品ではいったいどこまで到達するのか、想像ができない。LPからどこまでの音を引き出せるのか、まさに限界に挑戦するプロジェクトと言うべきだろう。9月末から始まるインターナショナルオーディオショウでの公開を予定しているとのことなので、大いに楽しみである。
■DSオーディオの光電型カートリッジが注目される理由
先鋭かつ独自の技術を採用したアナログ関連製品として、DSオーディオの光電型カートリッジも見逃すことができない。同社のブースは昨年も大きな注目を集めていたが、同社代表の青柳氏によると今年は昨年以上に関心の強さを実感したという。
その反応の良さは、欧州で初めて公開した新製品「DS 002」のバランスの良い再生音に大きな理由がありそうだ。そして、専用イコライザーアンプを含めて4,000ユーロ程度という価格も強いインパクトをもたらしたことは疑いようがない。数多くの改良を重ねた上で手の届く範囲の価格を実現したことで、ドイツのレコード愛好家にとっても光電式カートリッジが一気に現実味を増したのだろう。日本国内でも40万円台半ばの価格はかなり身近になったと感じる人が多いと思うが、ドイツのオーディオファンも同じ感想を抱いたようだ。
筆者が訪れたときはAMGのGiroと組み合わせ、DS002の再生音を聴くことができた。付帯音が少なく透明感が高いことと、反応が早く忠実度の高い音色を上位機種から受け継ぎ、光電式カートリッジのメリットをはっきりと実感できる音だ。国内でもイベントなど試聴の機会は今後も予定されているようなので、まだ音を聴いていない人にはぜひ一度聴いてみることをお薦めする。
■オーディオテクニカ「AT-ART1000」の潜在能力を改めて実感した
昨年フラグシップのMC型カートリッジ「AT-ART1000」を発表したオーディオテクニカは試聴室の設計と再生システムを変更し、ダイレクトパワー方式のメリットがいっそうわかりやすい音を鳴らしていた。スタイラス直近にコイルを配した発電方式が原理的に有利なことは以前から知られていたが、高精度かつ安定した生産環境を実現したオーディオテクニカの取り組みは欧州のファンからも高い評価を獲得している。
プレーヤーは昨年と同様Vertere社の製品を使っていたが、より上位のRG-1をベースにしたシステムでART1000のS/Nの良さをあらためてアピール。フォノイコライザーアンプとプリアンプ、パワーアンプ、そしてスピーカーはいずれもFMアコースティックに統一していたので、ART1000にそなわる音色の美しさや繊細な表現力がいっそう伝わりやすくなったというのが第一印象である。
実際のところ、筆者が同社の試聴室で聴いたサウンドは、静寂感や繊細な表現力だけでなく、ART1000に潜在的にそなわる力強さを強く印象付けるものだった。特にジャズのビッグバンドの演奏は音圧とスピード感がデジタル音源ではなかなか体験できない領域に到達しており、楽器の実在感や息遣い、そして複数のホーン楽器がユニゾンで演奏したときのエネルギー密度の高さに強い印象を受けた。
カートリッジはシステムの再生音を強く支配するコンポーネントだが、アンプやスピーカーの表現力に余裕が生まれると、そのカートリッジ本来の特徴や個性がいっそう強く浮かび上がるという面もある。このカートリッジの再生音は昨年から何度も聴いているが、今回のHIGH ENDでは別の側面を体験することができ、興味深かった。
■引き続き欧州ファンに大人気のTechnics「SL-1200シリーズ」
ここまで紹介してきた3社に代表されるように、アナログオーディオの分野でも日本のブランドは大きな存在感を示すようになった。もちろん、SL-1200シリーズを復活させたテクニクスは今年も大きな注目を集め、この3年で再び欧州での評価を確立、レコードファンの間にじわじわと浸透しつつある。日本発売予定はないそうだが、個人的にはSL-1200GRのブラック仕上げモデルの存在に興味を持った。
■レーザー制御のリニアトラッキングアームに注目
ドイツにも旺盛な開発意欲を見せているメーカーの例があることを最後に紹介しておこう。レーザー制御の精密なリニアアーム「DTT-01C」を組み込んだDerenevilleの「Modulaire MkIII」である。トーンアームとスピンドルの距離や角度を精密に測定して完全なトラッキングを実現し、レコードの音溝に対して水平方向の力が一切かからない理想的な動作を実現したとされる。同社のプレーヤーシステムはコンピューター制御を導入した構成が話題を呼び、数年前には「世界最高額のレコードプレーヤー」と紹介されたこともある。そのときは65万ドルという途方もない価格が設定されていたが、今回のシステムもそれに準じるはずだ。
残念なのはこのリニアトラッキングアームでトレースした音を実際には会期中に一度も聴けていないこと。精密さは群を抜くし、高度に自動化されているのだが、動作の安定性には課題がありそうだ。
HIGH ENDは以前からレコード関連の展示が他のイベントに比べて多いことで知られていたが、その勢いは最近さらに加速しているように見える。デモンストレーションで再生する音源はざっと半分ぐらいがLPレコードで、残りの多くはハイレゾなどファイル音源が占め、CDをメインに再生するブースは少数派になってしまった。ホール会場に出店したレコードショップは例年以上のにぎわいを見せ、品揃えも以前より充実して選ぶ楽しみが増えた。特にレコード愛好家なら強く興味を引かれるイベントの代表格である。
そんなアナログ好きを支えているのが、欧州メーカーが提供する再生機器の充実ぶりである。日本に輸入されていないブランドも含めてプレーヤーやアームを展示するメーカーが思いがけずたくさんあり、トランスローターに代表されるドイツの高級ターンテーブル専門ブランドに加え、プロジェクト、クリアオーディオ、トーレンスなど幅広いラインナップを擁するメーカーも少なくない。
老舗のなかではエラックが90周年記念モデルとしてミラコードを昨年末に復活させたし、今年は名門ブランドのブルメスターがレコードプレーヤーの開発に着手したことも話題を集めた(関連ニュース)。
■TechDASは超弩級アナログプレーヤー「AirForce ZERO」の旗艦技術を公開
そんななか、技術的に先鋭なアプローチにチャレンジしている日本メーカーの存在感が今年はひときわ目を引いた。ターンテーブルの場合、欧州メーカーは分厚いアクリルまたは金属製の重量級プラッターで慣性質量を高める手法が中心を占め、駆動方式やサスペンションにまで目を向けている例はそれほど多くない。それだけにエアサスペンションや吸着システムを突き詰めたTechDAS(テクダス)のアプローチはドイツでも年々注目が高まっているのだが、今年は同社が開発中のAirForce ZEROの基幹技術から一部を公開して、再び旋風を巻き起こした。
秋に予定する正式発表に先行して行われた今回のプレ発表では、タングステン製アッパープラッターとハイトルク型巨大モーターを初公開し、AirForce ZEROの可能性を来場者に強く印象付けた。
今回はベースモデルのAir Force ONE Premiumに前述の大型モーターとアッパープラッターを組み合わせるという構成でプロトタイプを出展した。プラッターのサイズは30cm径だったが、次の段階として40cm径への拡大も検討中とのこと。タングステンの比重は鉄の2倍以上、アルミの約6倍に相当するため、30cmでも持ち上げるのに苦労するほどの重さになり、40cm径となると容易には持ち上がらないほどの重量になるはずだ。もちろん音速でも他の素材を圧倒する。
その重量級プラッターを安定して駆動するには今回公開されたような大トルクのモーターが不可欠になり、システムとしてのサイズや価格もAir Force Oneを大きく上回ることが予想される。
エアフローティングと吸着システムを組み合わせる基本構造はシリーズ共通だが、圧力制御の機構を見直したAirForce One Premiumと同等またはそれ以上のメカニズムが導入されることは間違いなさそうだ。
会場では開発者の西川英章氏が自ら持参したLPレコードを用いてデモンストレーションを実施、その再生音からAirForce ZEROプロトタイプの恐るべきポテンシャルを垣間見ることができた。クライバー指揮バイエルン国立歌劇場《椿姫》、エラ&ルイ・アゲイン、ホイットニー・ヒューストン、Dialogueの4枚を聴いたが、なかでも菅野沖彦氏が録音した名盤Dialogueの鮮度の高いサウンドには度肝を抜かれた。
これまで何度も聴いたレコードだが、ここまで力強くアグレッシブな音を聴いたのは今回が初めてだ。あらかじめスタッフが大きめの音量に設定したあと、西川氏は「まだ行ける」とさらにボリュームを大きく回し、隣のブースへの音漏れが心配になるほどの大音量に再設定。それでも飽和する様子はなく、モーターに由来するノイズやハウリングもまったく聞こえてこない。バスドラムはマッシブで密度が高く、サックスの音像は原寸大でライヴさながらの生々しい感触が蘇る。椿姫の序曲では完全な静寂からヴァイオリンの旋律が立ち上がり、群を抜く高S/Nを実現していることがわかる。
リスナーから感嘆の声が漏れるほど別次元の再生音を実現していたが、その性能を引き出すうえで不可欠なのが、独自の工夫に満ちたエアフローティングと吸着システムであることはいうまでもない。大音量再生時に盤面を叩いてもなんの影響も出ないが、吸着をオフにして叩けば途端に「ボンッ」いうノイズが出る。超低ノイズのハイトルクモーター、巨大なイナーシャ、そして精度の高いエアフローティングを組み合わせることで広大なダイナミックレンジを実現していることをあらためて実感した。
プロトタイプの段階でここまでの音が出ているということは、完成品ではいったいどこまで到達するのか、想像ができない。LPからどこまでの音を引き出せるのか、まさに限界に挑戦するプロジェクトと言うべきだろう。9月末から始まるインターナショナルオーディオショウでの公開を予定しているとのことなので、大いに楽しみである。
■DSオーディオの光電型カートリッジが注目される理由
先鋭かつ独自の技術を採用したアナログ関連製品として、DSオーディオの光電型カートリッジも見逃すことができない。同社のブースは昨年も大きな注目を集めていたが、同社代表の青柳氏によると今年は昨年以上に関心の強さを実感したという。
その反応の良さは、欧州で初めて公開した新製品「DS 002」のバランスの良い再生音に大きな理由がありそうだ。そして、専用イコライザーアンプを含めて4,000ユーロ程度という価格も強いインパクトをもたらしたことは疑いようがない。数多くの改良を重ねた上で手の届く範囲の価格を実現したことで、ドイツのレコード愛好家にとっても光電式カートリッジが一気に現実味を増したのだろう。日本国内でも40万円台半ばの価格はかなり身近になったと感じる人が多いと思うが、ドイツのオーディオファンも同じ感想を抱いたようだ。
筆者が訪れたときはAMGのGiroと組み合わせ、DS002の再生音を聴くことができた。付帯音が少なく透明感が高いことと、反応が早く忠実度の高い音色を上位機種から受け継ぎ、光電式カートリッジのメリットをはっきりと実感できる音だ。国内でもイベントなど試聴の機会は今後も予定されているようなので、まだ音を聴いていない人にはぜひ一度聴いてみることをお薦めする。
■オーディオテクニカ「AT-ART1000」の潜在能力を改めて実感した
昨年フラグシップのMC型カートリッジ「AT-ART1000」を発表したオーディオテクニカは試聴室の設計と再生システムを変更し、ダイレクトパワー方式のメリットがいっそうわかりやすい音を鳴らしていた。スタイラス直近にコイルを配した発電方式が原理的に有利なことは以前から知られていたが、高精度かつ安定した生産環境を実現したオーディオテクニカの取り組みは欧州のファンからも高い評価を獲得している。
プレーヤーは昨年と同様Vertere社の製品を使っていたが、より上位のRG-1をベースにしたシステムでART1000のS/Nの良さをあらためてアピール。フォノイコライザーアンプとプリアンプ、パワーアンプ、そしてスピーカーはいずれもFMアコースティックに統一していたので、ART1000にそなわる音色の美しさや繊細な表現力がいっそう伝わりやすくなったというのが第一印象である。
実際のところ、筆者が同社の試聴室で聴いたサウンドは、静寂感や繊細な表現力だけでなく、ART1000に潜在的にそなわる力強さを強く印象付けるものだった。特にジャズのビッグバンドの演奏は音圧とスピード感がデジタル音源ではなかなか体験できない領域に到達しており、楽器の実在感や息遣い、そして複数のホーン楽器がユニゾンで演奏したときのエネルギー密度の高さに強い印象を受けた。
カートリッジはシステムの再生音を強く支配するコンポーネントだが、アンプやスピーカーの表現力に余裕が生まれると、そのカートリッジ本来の特徴や個性がいっそう強く浮かび上がるという面もある。このカートリッジの再生音は昨年から何度も聴いているが、今回のHIGH ENDでは別の側面を体験することができ、興味深かった。
■引き続き欧州ファンに大人気のTechnics「SL-1200シリーズ」
ここまで紹介してきた3社に代表されるように、アナログオーディオの分野でも日本のブランドは大きな存在感を示すようになった。もちろん、SL-1200シリーズを復活させたテクニクスは今年も大きな注目を集め、この3年で再び欧州での評価を確立、レコードファンの間にじわじわと浸透しつつある。日本発売予定はないそうだが、個人的にはSL-1200GRのブラック仕上げモデルの存在に興味を持った。
■レーザー制御のリニアトラッキングアームに注目
ドイツにも旺盛な開発意欲を見せているメーカーの例があることを最後に紹介しておこう。レーザー制御の精密なリニアアーム「DTT-01C」を組み込んだDerenevilleの「Modulaire MkIII」である。トーンアームとスピンドルの距離や角度を精密に測定して完全なトラッキングを実現し、レコードの音溝に対して水平方向の力が一切かからない理想的な動作を実現したとされる。同社のプレーヤーシステムはコンピューター制御を導入した構成が話題を呼び、数年前には「世界最高額のレコードプレーヤー」と紹介されたこともある。そのときは65万ドルという途方もない価格が設定されていたが、今回のシステムもそれに準じるはずだ。
残念なのはこのリニアトラッキングアームでトレースした音を実際には会期中に一度も聴けていないこと。精密さは群を抜くし、高度に自動化されているのだが、動作の安定性には課題がありそうだ。